第3章 第十八話:川越散策(神社は靴屋さんの前に)
熊野神社を後にした三人は川越駅の方面に向かって歩いていた。
「さとしさん、今度はなんて言う神社に行くんですか?」
美波が行き先を尋ねた。
「今度行くのは『かえる神社』っていう名前の神社だよ」
「カエルってあのカエルですか?」
美波が少し嫌そうな顔をする。
「美波の言っているのがどのカエルかはわからないけど、両生類のカエルだね」
そう言って笑うさとしであった。
「でもカエルを祀っているなんて珍しい神社なのね」
美鈴が素直な感想を口にした。
「この神社は実はとあるお店の店主が私設で作った神社なんですよ。御神体は『かえる石』と呼ばれているんですが、ガマガエルで有名な筑波山と富士山でお祓いを受けた、霊験あらたかなカエルの形をした石が祀られていて、お参りの際に撫でることができるそうですよ」
「そうなんですね。でもカエルが関係するお店ってなんだろう?傘屋さんとかかな……」
「最近話に聞く、カエルの小物なんかが買えるカエル雑貨のお店じゃないかしら?」
美波と美鈴がそれぞれの予想を口にした。
「残念、二人とも発想はいいんですけどね。なら大ヒントを上げましょう!この神社はお店の店主で、山岳ガイドとしても活動する『宮司さん』が、『登山客や旅人が安全に帰ってこられるように』という願いを込めて2006年に私設で創建した神社なんですよ」
さとしのヒント聞いた美波が口を開く。
「っていうことは、山登りに関する商品を扱ってるお店ですか?」
「それだとちょっと幅が広すぎるかな。ヒントは……」
そう言うとさとしは美波の足もとを見たのだった。
「足元……。あっ、わかりました!靴屋さんだ!」
「そう。正解は靴屋さんでした。それじゃ次の問題です。登山の安全祈願以外に、どんなご利益があるとされているでしょうか?ヒントは『かえる』という文字が付く言葉だね」
美波と美鈴が真剣な表情で考えるのであった。
最初に答えたのは美鈴であった。
「なら私の願望を込めて、『若返る』って言うのはどうかしら」
「正解です!それもご利益の一つとして書かれていますね。でも美鈴さんは今のままでも十分若くて綺麗だと思いますけどね」
「もう、さとしさんたら……」
そう言ってうれしそうに頬を染める美鈴であった。
それを見た美波は少し頬を膨らませていた。
「いい雰囲気のところ悪いですけど、『考える』なんて言うのはどうですか?」
「あ、ああ。それも正解だ。二人とも発想が豊かで凄いな。学業成就の御利益もあるんだよ。高3の美波にはピッタリだね」
「私もさとしさんといい雰囲気になれるのが良かったです!……それなら私がちゃんと勉強頑張ったら、ご褒美に私の行きたいところに連れて行ってくださいよ!」
「仕方がないなぁ。でもそうだね、ちゃんと頑張ったら連れて行ってあげるよ」
「やったー!約束ですからね!」
そう言ってその場で飛び跳ねる美波であった。
「ちなみに他には『自分を変える』で心機一転や目標達成なんてものや、『欲しいものが買える』で金運アップや買い物成就の御利益があるって言われてるんですよ」
「たくさんのご利益があるのね。ちゃんと祈っておかないといけないわね」
「私もちゃんとお参りして、さとしさんとのデートをゲットしないとだしね!」
そんな話をしていると、3人はウォーキングシューズ専門店『ナチュリーラ』の店先に到着した。
店先には小さな社殿が設置されており、ご神体の『かえる石』はもちろんのこと、お賽銭箱や鈴もちゃんと設置されていた。
三人はその小さな社殿の前に立ち、お参りを済ませると、店内に入り御朱印を頂いた。
頂いた御朱印には可愛らしいカエルの印が押されており、とても子供や女性受けするものになっていた。
「この御朱印とっても可愛いですね!私、少しだけカエルが好きになったかも」
美波はそう言って笑うのであった。
「ならカエルが好きになった記念にこの『お願いがえる』の御守りをみんなで持っておこうか」
そう言ってさとしは御朱印と共にこっそりと買った、可愛いカエル御守りを美波と美鈴に渡したのであった。
それぞれの願いが叶うことをこの御守りとカエル石が静かに見守っているように感じた三人であった。
第3章第17話をお読みいただきありがとうございます。
今回は『かえる神社』のお話を書かせていただきました。
私は前回川越に行った際に、この『かえる神社』を探したんですが、残念ながら見つけられず断念した神社になります。
今回この話を書いていてもう一度挑戦したい気持ちが沸き上がってきてしまいました(笑)。
皆さんの住んでいる地域にもこういった変わった神社があったら、是非情報をお願いします。
お願い:ブックマーク及び評価☆での応援をお待ちしています。その皆様からの応援が作者の神社を見つけられなかった悔しい気持ちを癒してくれるでしょう(笑)。




