第3章 第六話:美波の初職業体験
もう下書きのストックがありません(-_-;)ブックマークと評価でオラに執筆するための元気を!
時間は10時25分。今日は昔からの知り合いしか患者として予約を取っていない。
そして1人目の患者さんがやってきた。
「小澤君、おはよう。今日はよろしくね」
「おはようございます。了解です」
彼とはさとしが専門学校に通っていた時にやっていたバイト先で出会い、バイトをやめた後も時々飲みに行ったりしている人間の一人である。年齢はまだ30代前半の男性だ。
施術室に移動したのち、さとしが美波を紹介する。
「この子は『内海美波』。俺の弟子第1号だ!」
「内海美波です。今日はよろしくお願いします。」
「彼は小澤君。彼とは少し趣味が近かったこともあってね、10年来の友人だよ」
「小澤です。今日はよろしくお願いします」
挨拶を済ませたのち、小澤をうつ伏せに寝かせて、施術を開始する。
「美波、最初は見ていてね」
さとしはそう言うと小澤の背中をさすり始めたのであった。
手のひら全体で体をさする軽擦方や親指でゆっくりと押し込んでいく指圧、筋肉をほぐすのと同時に状態を確認する揉捏法などを駆使して、全体の筋肉をほぐしていく。
美波はそんなプロの施術を行うさとしを真剣なまなざしで見つめていた。
(さとしさんかっこいい。さすがはプロって感じがする。いつもの少しふざけた感じもいいけど、この真剣なまなざしのギャップも素敵!)
美波の目は恋する乙女のものになっていた。
約30分ほどで背中側全体をほぐしたさとしが、一旦手を止め、美波を見た。
「それじゃ美波、昨日の練習の成果を試してみようか」
「はい、わかりました。小澤さんよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくです」
さとしは美波と立ち位置を交代し、小澤に声をかけた。
「小澤君も何かあったら我慢しないで遠慮なく言ってね。それじゃ美波初めて見て」
こうして美波の初めての身内以外への施術が始まったのであった。
真剣な表情で昨日やったことを思い出しながら施術を行っていく美波。
さとしはそんな美波のことをじっと見つめていた。
(美波は本当にまじめでいい子だよな。それにいつもの食いしん坊な美波と違って、真剣な表情の美波は綺麗だよな……)
さとしはそんなことを思いながら美波を見ていた。
10分ほどして美波が手を止めさとしの方を振り向いた。
「師匠、終わりました」
「お、おう、そうか。なかなか良かったと思うよ」
(いかんいかん、仕事仕事)
意識を仕事に戻し、小澤に感想を聞く。
「小澤君、美波の施術はどうだった?」
「初めてにしてはなかなか良かったと思いますよ。しいて言うならもう少し緩急やじっくり押したりするのができるとよかったかも」
「だそうだよ。とりあえず初めてとしては合格なんじゃないかな。後はこの仕事をやることになったら練習あるのみだね」
そう言ってさとしは美波に笑顔を向けた。
それを聞いた美波はほっとするのと同時に嬉しさがこみあげて来て、満面の笑みを浮かべていた。
その後施術の続きをさとしが再度引き継ぎ約60分間の施術を終えた。
小澤も満足して、さとしと美波にお礼を言って帰っていったのであった。
さとしは午前の仕事を終えた美波に尋ねてみた。
「初めて患者さんに施術してみてどうだった?」
「最初は凄い緊張しましたけど、帰り際に笑顔でお礼言ってもらえてとても嬉しかったです!」
満足気な表情を見せる美波。
「美波にはこの仕事は向いているかもしれないな。『患者さんを笑顔にする』っていうその気持ち忘れないようにね」
「はい、師匠!」
こうして午前の仕事を終えたのであった。
二人は施術で使ったベッドを消毒し、次の患者さんがすぐにでも入れるようにセットすると、美鈴が作ってくれているお昼ご飯を頂くべく、二階へと上がって行くのであった。
第3章第6話をお読みいただきありがとうございます。
今回は美波の職場体験の話のため、御朱印も観光もグルメも一切出てこない、おそらく初めてのお話になっています。真剣なまなざしで仕事をするさとしを見て惚れ直す美波と、真剣な表情の美波を見てドキッとさせられるさとし。この二人が今後どうなるのか暖かい目で見守ってあげてください。
あと登場した小澤君ですが、実際の友人兼患者さんを名前を少し変えて登場させてもらいました。
あとでその旨だけ本人に伝えておきます(笑)。
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