第2章最終話 第二十九話:京都駅の別れ
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昼食を終えた三人はコインロッカーから荷物を取り出すと、みどりの窓口にて、さとしは東京方面、美波たちは広島方面への新幹線の切符を購入する。
切符を購入した三人は、駅のお土産コーナーを見て回る。ここでさとしは昨日決めたブラックサンダーとプレッツェルを購入し、さらに超お得意様用に生八つ橋を10個ほど購入した。自宅用にも別に2箱購入している。そして兄用にカールのチーズ味も購入してカバンに詰め込んだ。
「凄い量のお土産ですね」
美波が素直な感想を述べた。
「大半がお客さん用だね。お店やっていると色々もらうことも多いから、こういう時に少しでも返していかないとね。二人は何を買ったんだい?」
「私は学校の友達用にプレッツェルとブラックサンダーを買いましたよ!ちなみに、私を裏切った幼馴染とその恋人にはプレッツェルだけを上げることにします……」
そういうとプレッツェルを食べて、「辛い辛い」とのたうち回る二人を想像して、不気味な笑顔を浮かべる美波であった。
「私はご近所と職場用に生八つ橋をいくつか買っていきますよ」
無難な選択をする美鈴であった。
そうこうしているうちにさとしの乗る新幹線の時間が徐々に迫って来ていた。
「それでは私はそろそろ駅のホームに移動しますね。今回はとても楽しかったです。次回また二人に会えるのを楽しみにしていますからね!」
そういうさとしに美鈴が待ったをかけた。
「さとしさん、ちょっといいかしら」
そう言うと美鈴は美波に目配せをすると、二人はさとしの左右にやってきた。
二人は背伸びをすると、「チュ」っとさとしのほほに口づけをしたのであった。
「今回の旅を企画してくれたさとしさんへの私達からのお礼です。あとは、私たちがいなくても浮気しちゃダメですからね!」
美波は顔を真っ赤にしながらまくしたてた。
さとしは少しの間固まっていたが、意識を取り戻すと顔を赤くした。
「さとしさん、そろそろいってください。このままだといつまでも離れたくなくなってしまいますから……」
そう言うと美鈴はさとしの背中を押したのだった。
さとしはそのまま歩き出すと、時折振り返って二人に大きく手を振っていた。
そのときさとしは気が付かなかったが、美波の目にはうっすら涙が浮かんでいたのであった。
ーーー
東京行の新幹線「のぞみ」に乗り込んださとしは、自分の指定席に座るとスマホを取り出し、美波と美鈴と三人のグループラインを開いた。
そして、三原方面の新幹線に乗る二人へ向けてラインをする。
『秋風吹かば 笑顔おこせよ 僕の花 我なしとて 笑顔忘れそ』
その歌を詠んだ二人が新大阪で東京行の新幹線に乗り換えることを真剣に悩んだことは、さとしに知らされることはなかった。
第2章の最終話をお読みいただきありがとうございます。
作中でさとしが送ったLINEの歌ですが、元ネタの道真公の歌(東風吹かば…)をもじって、
『秋風吹かば 笑顔おこせよ 僕の花 我なしとて 笑顔忘れそ』
というオリジナル?の和歌にしてみました。
意訳すると「秋風が吹いたら笑顔を咲かせておくれ、僕がいなくても笑顔を忘れないでね」という、さとしなりの精いっぱいの不器用なメッセージです。
別れの寂しさもありつつ、二人の笑顔を願うさとしの気持ちが伝わっていたら嬉しいですね!
今後、第三章をどうするかは未定です。皆様のご意見などありましたら感想欄までお願いします。




