第2章 第二十八話:市比賣神社(いちひめじんじゃ)
文子天満宮を後にした三人は、そこからほど近い場所にある『市比賣神社』へとやって来ていた。
この神社は延暦14年(795)、藤原冬嗣が垣武天皇の命により、官営市場東市・西市の守護神として創建された。神社の御祭神は『 市寸嶋比賣之命、多紀理比賣之命、多岐都比賣之命、神大市比賣之命、下照比賣之命』であり、全て女神さまである。マンションの1階にある小さな神社であるが、『女人厄除祈祷』で知られ、全国から多くの女性がお参りに訪れる。
「さっきは住宅街にありましたけど、今度はマンションの1階にある神社なんですね」
「京都の町に完全に入り込んでいるよね。ちなみにこの神社の御祭神は5柱とも全て女神様で、女人厄除祈祷が有名だね」
「なら私達にぴったりのご利益がある神社なんですね!」
「ならしっかりとお参りしてお願いしなくちゃいけないわね」
さとしは気合を入れている二人を見ていた。
「なら早速お参りしましょうか」
そう言って三人で並んでお参りをする。
しかし、さとしが終わっても美波と美鈴はまだお祈りをしていた。
(女神様、お願いですから、さとしさんと幸せになれます様に!)
(女神様、私とさとしさんが家族になれます様に!)
お願いを祈り終わるのはほぼ同時であった。
「二人ともじっくりお祈りしてましたけど、なにをお願いしたんですか?」
「「秘密です(よ)!」」
二人は声を揃えてそう答えると、社務所へ移動して御朱印をいただき、授与品コーナーに目を向けた。
そして二人は「女人お守」を購入していた。ちなみにこの御守りは全ての女性が幸せになれます様にと祈祷された御守りで、皇室にも献上されている由緒正しいものである。
御朱印をもらい、お守を購入した三人は京都駅を目指し、京阪本線の京都五条駅を目指して歩きだいしたのであった。
ーーー
京都駅に着いた三人は少し早めの昼食をとることにする。
三人が入ったお店は京都駅に併設されている和食レストランで『京やさい料理 接方来』という名前であった。
このお店は、旬の京野菜を主役にした創作和食や伝統的な京料理を気軽に楽しめる人気のお店である。
それぞれ気に入ったものを注文した三人。
美波が不意につぶやいた。
「これを食べ終わったら、さとしさんとお別れしないといけないんですね……」
ションボリとする美波に、さとしが優しく声をかける。
「どうせまたすぐに会えるさ!今度の行き先もすでに決まっているんだしね」
「そうよ。その時に『勉強が間に合わなくて行けない』なんてことにならないように、しっかり頑張らないとね」
美鈴もそう言って娘の背中を押す。
しんみりしていた美波だったが、料理がテーブルに届くと、食いしん坊の本領発揮とばかりに元気よく箸を伸ばし始めた。
「素材の持ち味を活かしたおばんざいが、すごくいい味出してますね」
「この釜飯もおいしくて、いくらでも食べられちゃいそう」
「和の温もりあふれる内装も素敵よね」
三人とも、お店の料理と雰囲気にすっかり大満足だったのであった。
食事が終わり、お茶を飲んで一息つく三人だった。
いよいよ別れの時間が近づいていた。
第2章第28話をお読みいただきありがとうございます。
第2章も残すところ明日投稿する第29話だけとなりました。
予想以上に京都編が長くなってしまいましたが、色々調べたり、スマホにある写真を見ながら思い出したりして書くのがとても面白かったです。
第3章が愛知県編になるか、埼玉・東京編になるかはまだ決めていませんが、そちらも書くことがあったらよろしくお願いします。
皆様からの熱い応援をお待ちしております。応援の際には、ブックマークを付けてから評価を入れていただけると嬉しいです。
明日も7時40分に投稿しますのでよろしくお願いします。




