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食いしん坊たちの御朱印集め紀行  作者: サッサン
第1章:瀬戸内海とお墓参りと運命の出会い

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第四話:美術館デート【加筆&修正】(26年6月17日)

美波に引っ張られる形で平山郁夫美術館の門の前にやってきた。

美術館の門は和風の立派なものであり、その門をくぐると立派な日本庭園が視界の先に広がっていた。


「以前来たときはあまり気にしなかったが、こうやって改めて見てみると立派なものだな」

庭に目を向けながらついため息が出てしまう。


「こんな大きな庭付きの家に住めたら最高ですよね」

美波はさとしの腕に絡みつきながら素直な感想を述べた。


「俺は庭のお手入れのことを考えると、たまにこうして見に来るぐらいでいいかな」


「なら私がまたお付き合いしてあげますからちゃんと声かけてくださいね」


その美波の発言に苦笑するさとしであった。


(しかし女性とこんな風に腕を組んだのはどれくらいぶりだろうか……。なんか意識すると微妙に緊張してきたかも……)


そんなことを考えながら話をしていると美術館の建物にたどり着いていた。

中の受付で二人分の料金を払い、順路に沿って館内を回っていく。

すると美波はひときわ大きな絵の前で止まり、まっすぐにその絵を見つめた。

その絵の題名は『天かける白い橋』。2000年に描かれたもので、横幅5.4メートルを超え、しまなみ海道の「来島海峡大橋」が幻想的に描かれている。青い海と緑の島々を跨ぐ白い橋のダイナミックな美しさは、地元の人々や旅行者に深く愛されている作品である。


「これは壮観だね……。ため息が出てしまうよ」

じっとその絵を見つめる二人。さとしが視線を横にいる美波に向けると、真剣な表情で絵を見つめるその姿は、絵の世界へ静かに溶け込んでいるように感じ、自分の心臓が高鳴るのを感じた。

まっすぐに絵を見ている美波が一人で語りだした。


「私子供の頃にこの絵を見たとき、あまりの迫力に圧倒されてしばらく固まって動けなくなっちゃったんですよ。だから本当に何か大きな壁や嫌な現実にぶつかった時には再度これを見に来て元気を分けてもらおうと思っていたんですよね」


美波は視線を絵から離すことなく語った。


「その気持ちちょっとわかるかも……」


(悩みや嫌なことについては聞かない方がいいよな……)


その後もゆっくりと館内を見て回った二人は受け付け横にある「オアシス」という名の喫茶室へやってきていた。

壁には砂漠をいくキャラバン隊の大きな絵が飾られており、つい見いってしまう。また、窓の外に目を向けてみるとそこには奇麗な日本庭園が広がっていた。


「何にする?ここは俺が出すから好きに選んでいいよ」


「うーん、それなら、はるかジュースとカフェコンジェラードにします」


(カフェコンジェラードなんて大人な感じが魅力的な私にぴったりよね!)


「なら俺は瀬戸田産のレモンを使ったレモンスカッシュと、甘味は美波と同じものにしようかな」


『はるか』とはかんきつの種類の一つのようで、これで絞ったジュースは濃厚な甘さと後味のすっきりさが人気らしい。カフェコンジェラードは濃厚なエスプレッソにドルチェのラッテアイスを浮かべたちょっと大人の甘味である。


「そういえば美波は今は何歳なの?」


「18ですよ。サトシさんは?」


「42歳だよ」


(42ならお母さんの1つ下ね。あの人とは8つ違いだしぎりセーフね!)


「サトシさん結構若く見られません?」


「30くらいまでは逆に年上に見られていたけど、30以降は年相応か若く見られるようになったかな。オレの年だと美波の親御さんとタメだったりするんじゃないか?」


「お母さんがサトシさんの一つ上で、あの人は確か8つ上になるんじゃないかな……」

あの人といった時、一瞬顔をしかめたのをさとしは見逃さなかった。


(あの人って多分お父さんだよな……。仲が悪いのかな?もしかして俺に父親代わりを求めているとか?)


そうこうしているうちに注文した品がやってきた。


「このレモンスカッシュは瀬戸田の味がするね」

わざと腕を組み批評家のような渋い顔をするさとし。


「瀬戸田の味ってどんな味なんですか?」

美波は笑いながら問い返した。


「気分だよ、気分。それにこっちの甘味もエスプレッソの苦みとアイスの甘さが混ざってとても食べやすいよ」


「それなら私にもわかりますよ。私結構好きかもです。それにハルカジュースも甘いのに後味がすっきりしていておいしいです。……一口飲んでみます?」

いたずらっ子のような顔ではるかジュースをさとしの前へ出してきた。


「なら一口だけ」と言って何でもないことのように飲んでしまう。


「うん確かに濃厚な甘さがあるのに飲み終わった後はすっきりしてるね。美波も飲んでみるかい?」

さとしの態度にむすっとしていた美波に、今度はさとしがレモンスカッシュを勧めてみた。


「も、もらいます」

上ずった声で答える美波。


(これって間接キスよね……。って、これぐらいで今までこんなに緊張したことなかったのに何で……)


「どうだい?瀬戸田の味を感じただろ?」

その余裕そうな態度が気に入らない美波であったが、同時に高鳴る心臓の音に戸惑いを感じていた。



食いしん坊たちの御朱印集め紀行をお読みいただきありがとうございます。

今回は美術館でのデート風景にスポットを当ててみました。

美波の初々しい姿ご覧いただけましたでしょうか(笑)


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