第2章 第十七話:叡山電鉄巡り(鞍馬寺、由岐神社)
川床料理を堪能した三人は貴船口に戻り、電車で終点である鞍馬駅へとやって来ていた。
鞍馬駅を出ると、三人を大きな天狗の顔が迎えてくれた。
鞍馬は昔から天狗伝説で知られる山里であり、目の前にそびえ立つ鞍馬山は、天狗の住処であるといわれている。
「さとしさん、大きな天狗の像がありますよ!ここでみんなで写真撮りましょうよ!」
美波が大きな天狗の像を見てはしゃいでいた。
「記念にいいかもしれないね。美鈴さんもいいですか?」
「もちろんよ。私だけ仲間外れなんていやよ」
さとしが駅から出てきた老夫婦にスマホを渡し、撮影をお願いした。
「それでは撮りますよ。……3、2、1、……はい!もう一枚撮っておきますね。……はい、チーズ」
さとしは老夫婦にお礼を言ってスマホを受け取った。その際、老夫婦の旦那さんがさとしを見た後に二人を見てほほ笑んだ。
「ご家族でご旅行ですか?仲がよろしくて素敵ですね」
「え、ええ……、まあ、そんなところのような、違うような……」
しどろもどろになるさとしであった。
ーーー
老夫婦と別れた三人は鞍馬寺の仁王門をくぐり、日本一短い鉄道と言われる鞍馬山ケーブルに乗った。
ケーブルは緑深い樹々が生い茂る中を約2分かけて上まで連れていく。
鞍馬寺の多宝塔の間に到着した三人はまず最初に鞍馬寺の本殿金堂へとお参りすることにした。
「さとしさん、鞍馬寺でも御朱印をもらうんですか?」
さとしが美波の問いに答えた。
「基本的に神社とお寺は分けて御朱印をもらうのがマナーらしくてね。だから僕は今は神社の御朱印しか集めていないんだよ。もし興味があるならここで御朱印帳を新しく買って、お寺専用の御朱印帳として使うのもありかな。」
「さとしさんが集めていないなら私もパスでいいかな。……やっぱりさとしさんと一緒がいいから……」
美波が少し頬を染めていた。
「美鈴さんは鞍馬寺の御朱印、どうしますか?」
「私もさとしさんと一緒にするわ。私だけ仲間外れは嫌っていったでしょ」
美鈴はさとしにウィンクをして微笑んでいた。
鞍馬寺のお参りを済ませた三人は、本来の目的地である由岐神社を目指して歩きだしたのであった。
ーーー
由岐神社まで歩いて約20分ほどで到着した。
この由岐神社は、強いパワーが宿る鞍馬山にある唯一の神社である。平安時代に天変地異や動乱などが相次いだため、天下泰平と万民幸福を祈念して、京都の御所からこの地に遷宮されたものであるその遷宮の様子を今に伝える鞍馬の火祭は、京都でも有数の迫力あるお祭りとして人気である。
「この鞍馬山の澄んだ空気を吸い込むと、なんだか心が洗われる気がするよ」
そう言って大きく深呼吸するさとしであった。
そしてそれをまねる二人であった。
「ホントに心が洗われる気がします」
「ホントね。私の心もきれいになっていく気がするわ」
「なら二人とも底なしの食欲という欲望が少しはなくなりましたか?」
さとしがふざけて言うと、
「「食欲は別腹です(よ)!」」
やっぱり似た者同士の食いしん坊親子であった。
お参りを済ませて御朱印を頂いた三人。
ここの御朱印には鞍馬ならではというべきか、天狗のスタンプが押されていた。
その天狗にスタンプを見ていた美波が、顔を上げてさとしの方を向いた。
「さとしさん、もし私たちが天狗にさらわれたら助けに来てくれますか?」
「もちろん助けに行くさ!だって二人とも俺にとって(せっかく得られた御朱印集めの仲間として)大切な人たちだからね」
さとしが力強く、そして当たり前のことだという風にいうのを聞いて顔を赤くしながらも、うっとりとした表情でさとしを見つめる二人であった。
(もうこれは私へのプロポーズと言っても過言ではないよね!):美波
(これはもう一刻も早く夫と離婚して、さとしさんの気持ちにこたえないと……):美鈴
(せっかくできた御朱印集めの仲間なんだから、天狗になんて負けてられないよな!):さとし
思い思いに勝手なことを考える三人。
そんな三人を鞍馬山の天狗が静かに見守っていた。
第2章第17話をお読みいただきありがとうございます。
この話では鞍馬での一幕を書かせてもらいました。この鞍馬に関してもいったことはないので想像&資料を使っての執筆になっています。なので、これを読んでいきたくなってしまった場合には、事前に自分でも調べてから向かってくださいね(笑)。
今回最後に三人とも勘違いをする落ちを入れてみました。
美波:(もうこれは私へのプロポーズと言っても過言ではないよね!)➡過言です!
美鈴:(これはもう一刻も早く夫と離婚して、さとしさんの気持ちにこたえないと……)➡早まらないで!
さとし:(せっかくできた御朱印集めの仲間なんだから、天狗になんて負けてられないよな!)➡早くプロポーズしたと思われてる誤解を解きなさい!
この後三人の関係がどうなるのかお楽しみに。
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明日も朝7時40分ごろに投稿する予定ですので、よろしくお願いします。




