第2章 第十五話:叡山電鉄巡り(修学院駅・鷺森神社)
田中神社を後にした三人は、元田中駅から電車に乗り、3駅先にある修学院駅にやって来ていた。
この修学院駅であるが、叡山電鉄の運行上の要となる主要駅であり、アニメの聖地や観光・暮らしの拠点として、とても多彩な魅力を持つ駅である。
駅のすぐ隣に、叡電のすべての車両が集まる車両基地があり、ホームや踏切から、出番を待つさまざまな色やデザインのレトロな1両編成の電車や、観光列車の『ひえい』や『きらら』を間近で見ることができるため、鉄道ファンや子どもたちに大人気のスポットにもなっている。
また、京都アニメーションが制作した大人気アニメ『けいおん!』の舞台として、世界的に非常に有名な駅で、オープニングや本編に、この修学院駅のホーム、改札口や北山通の踏切、周辺のモスカフェなどが忠実に再現された姿で何度も登場している。今でも多くのファンが聖地巡礼に訪れる特別な場所である。
「さとしさん、ここで駅とかモスカフェの写真を撮ってもいいですか?友人に『けいおん!』が好きな子がいて写真撮って送ってって言っていたので」
「全然かまわないよ。ゆっくり撮るといい。それにしても『けいおん!』が好きってことは相手は男の子かな?」
さとしがニヤつきながら美波に聞いた。
「女の子ですよ。もう、さとしさんったら心配性なんだから。……私はさとしさん一筋だから安心してくださいね」
頬を赤く染める美波であった。
「……はいはい、大人をあんまりからかうもんじゃないよ。俺が本気にしちゃったらどうするんだい」
「それこそどんとこいですよ!」
そんな美波の発言に苦笑するさとしであった。
「あなた、さとしさんに会うまでは幼馴染の話ばかりしてなかったかしら?」
その時横から、美鈴の冷静なツッコミが入った。
「ちょ、ちょっと。お母さん、さとしさんが勘違いするようなこと言わないでよ!あんな薄情な男はもう忘れたんだから……。いい女は過去を振り返らないものなのよ」
「ほら、そんなことより早く写真を撮っておいで」
「はーい」
美波は元気に返事をすると、スマホ片手に写真を撮り始めた。
美波が写真を撮り終わると、三人は鷺森神社へと向かって歩き出したのであった。
ーーー
歩き出して約10分ほどたった時。
「さとしさん、まだつかないんでしょうか?何気に上り坂なのがきついです……」
「ナビによるともうすぐ着けると思うんだけど……。確かにこの坂は何気にきついね」
そんな会話をしている横で美鈴は口数が極端に減っていた。
そこからさらに進んで行くと、道の横に鷺森神社と書かれた石碑を発見した。
「やっと到着なんですね!」
美波が喜ぶが、本殿まではまだまだ長い坂を上らなくてはならないようだった。
口数が少なくなる三人。それから5分ほど歩いてようやく本殿へつながる階段が出てきた。
息を切らしながら、無言で階段を上った三人は階段を上り切ると同時に言葉を発した。
「「「ついたー!」」」
鷺森神社は、先にも述べたが『スサノオノミコト』を主祭神とする神社で、主祭神がヤマタノオロチを退治し、櫛名田比売命を妻に娶ったことから、夫婦和合や良縁を授かる御利益があるとされている神社である。とくに、良縁を結ぶとされる『縁結びの石』はスサノオノミコトが最初に詠んだ和歌にちなんで『八重垣』と呼ばれている。
「この神社は縁結びや夫婦和合の御利益があるみたいだよ」
さとしのその言葉に二人が反応する。
「それなら私とさとしさんの良縁を確かなものにしてもらわないといけませんね!」
美波がそう言えば美鈴も負けじと、
「私とさとしさんなら、はたから見れば夫婦みたいなものですから、夫婦和合の方がいいかもしれませんね」
そう言って流し目をさとしに送った。
「二人ともお世辞がうまいんだから。もし本当なら、二人ともに奥さんになってもらうしかないですね」
そう言って笑うのであった。
お参りを済ませ、御朱印をもらった三人。
ここでもらった御朱印は中央の鷺森神社のスタンプの上に大きな文字が書かれていた。
「さとしさん、真ん中の大きな文字はなんて書いてあるか読めますか?」
「これはね、『鬚咫天王』と書いてあるんだよ。これはスサノオノミコトの特別な御神号だそうだよ」
さとしに尊敬のまなざしを向ける二人であった。
「それじゃそろそろ駅まで戻ろうか。帰りは下り坂だから行きほど大変じゃないだろうしね」
上がってきたときの様に息を切らせることもなく、駅に向かって軽快に歩いていくのであった。
第2章第15話をお読みいただきありがとうございます。
この鷺森神社ですが、実際に修学院駅から歩いて昇って行きましたが、地味にきつかったことを覚えています。
また行くかと聞かれたらちょっと躊躇してしまうかも……。
まだ行かれたことのない方で徒歩で向かう場合はそれなりに覚悟してから挑んでください(笑)。
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明日も朝7時40分に投稿する予定ですのでよろしくお願いします。




