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第2章 第七話:平安神宮(お参り編)

八坂神社から円山公園を通り抜けた一行は、ほどなくして平安神宮の参道に到着した。

目の前には、参拝者を威圧するほど巨大な大鳥居が空を切り裂くようにして佇んでいる。

こちらの参道にも所狭しと屋台が並び、その誘惑に足を止めそうになる食いしん坊の二人を、さとしが半ば引きずるようにして平安神宮の門へと先導していった。

ちなみにこの大鳥居であるが、神社の少し手前、岡崎の街の道路をまたぐように立つ大鳥居は、高さが24.4メートル、幅が18.2メートルもあり、国の登録有形文化財になっている。昭和天皇の即位を記念して昭和4年(1929年)に建てられたもので、京都のランドマークのひとつである。


門をくぐった三人は眼前に広がる光景に息を飲んだ。

そこにはスペースをゆったりと使った境内と、空の青に太極殿の朱色が鮮やかに映え、平安の雅を思わせる雰囲気が漂っていた。


「凄いですね……。まさに平安時代って感じがします……」


美波が感動しながらつぶやいた。


「そうだよね。ただ、ここが作られた時代は意外と最近なんだよ。確か明治28年ごろだったんじゃないかな」


「えっ。それならなんで平安京なんて名前を付けたんですか?」

不思議そうなさとしに尋ねた。


「それはこの神社が平安京の遷都から1100年を記念して作られたレプリカだったからなんだよ」


「そうだったのね。それでこんなにきれいなのね」

綺麗な建物を見ながら美鈴が納得した表情をしていた。


ちなみに平安京であるが、1895年(明治28年)、平安京が誕生(延暦13年・794年)してからちょうど1100年目を記念する「平安遷都千百年紀念祭」が開催され、その象徴(記念殿)として建てられたのが平安神宮である。幕末の戦乱によって、当時の京都の街は激しく荒廃しており、さらに明治維新によって日本の首都が東京へと移り、天皇も東京へ移動してしまう。これによって京都の人口は激減し、産業も衰退してしまっていた。そこで行われた町おこしの計画が「平安遷都千百年紀念祭」であった。


3人はお参りをするため社殿へとやってきた。


「ちなみにこの社殿なんだけど、1200年前の王宮を再現したのもなんだってさ」


さとしの説明を聞いた美波が。


「ならさとしさんが天皇陛下で私が皇后さまですね」

そう言って上目遣いでさとしの顔を楽しそうに覗き込んだ。


「それを言うなら私が皇后の方が年齢的に釣り合いがあってるわよ」

美鈴がそう言って割り込んできた。


「私の方が若いし、お世継ぎだって作らないといけないんだから、断然私の方がいいはずよ!」


「まだお母さんだってもう一人ぐらいいけるわよ!2人目は結構安産だっていうし……」


親子で火花を散らす二人をいさめるさとしであった。

「二人とも、こんな場所で何をやっているんですか。静かにしないとだめですよ」


注意されて二人は周りの人たちから面白そうに見られていることに気づき、小さくなってしまった。

そんな二人にため息をつくさとしであったが、その表情はどこか楽しげであった。


「そういえば以前聞いた話なんですけど、私には聖武天皇の血が流れているらしいですよ。まあ、めちゃくちゃ薄まっているでしょうけどね」

そう言って笑うさとしであった。


三人はお参りを済ませると、御朱印を頂いた。

平安神宮の御朱印は平安神宮という文字の書かれた赤いスタンプの上に、墨で平安神宮と書かれただけのいたってシンプルなものであった。


「私こう言うシンプルな御朱印ってなんだか身が引き締まり感じがして好きだわ」


「私はさっきもらった錦天満宮みたいな、もう少しいろんなスタンプがあったりする方が好きかな。撫で牛のスタンプ可愛かったし。さとしさんはどっちが好きですか?」

美波がそう言うと、美鈴と美波はまっすぐにさとしを見て尋ねた。


(これって御朱印のことだよね……。二人のことじゃないよね)


「僕はどちらも趣があって好きですよ。どちらにも良いところがありますから」

無難な答えを選んださとしであった。


「どうやらここは引き分けみたいね、お母さん」

「そうね、美波。でも次は私がもらうからね」

二人はさとしに聞こえない音量で静かに火花を散らしていた。


「そういえば平安神宮には奇麗な庭園があるみたいなんですけど行ってみませんか?」


「行きたいです!なんか平山郁夫美術館の庭園デートを思い出しますよね」


そう言ってさとしの右手と自信の左手をつなぐ美波であった。


「日本庭園なんて私たち落ち着いた大人にぴったりなデートコースじゃない」


そう言って美鈴は美波がつないだ手とは反対のさとしの左手と手をつないだ。

二人に手を握られ、とまどうさとしであったが二人の楽しそうな表情を見てそのまま流されてしまうのであった。


(減る物でもないし、かまわないか。それに俺だって美人二人に手をつながれて、悪い気はしないしな……)


三人は仲良く手をつないだまま庭園(神苑)の入口へと向かっていくのであった。

庭園でこの三人がどんなやり取りをするのかを平安神宮の御祭神である第五十代・桓武天皇が楽しそうに見守っていた。


第2章第7話をお読みいただきありがとうございます。


今回は平安神宮でのお話になります。私が行ったときはまだ知らなかったんですが、この間「ブラタモリ」にて平安神宮の特集をやっていたのを見たときに、明治28年五造られた建物であったと初めて知り、今回はこれを話に組み込もうと考えていました。

そしてここ平安神宮は有名は恋愛関連のパワースポット。ここで美波と美鈴の静かなるバトルが始まっています。


今後の展開が気になる方や、この物語を読んで旅行に行きたくなった方などは、是非ブックマーク&評価☆で応援お願いします。


次回は平安神宮の庭園(神苑)編になります。

※メインで投稿を行っている『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』もよろしくお願いします。

二人の幼馴染を中心とした恋愛物になります。



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