第2章 第三話:伏見稲荷大社での苦行(後編)
御神木と沢山の鳥居に囲まれた神域の中。
三人は黙々と上りの階段を上っていた。
途中、奥社で御朱印をもらったのち、頂上にある一ノ峰の参拝所を目指して歩き出した。
しばらく登っていくと、美波が額に大粒の汗をかきながらさとしに聞いた。
「あとどれくらいで着くんですかね?」
「さっき途中の立て看板にあと約20分ってあった気がするから、あと10分ぐらいじゃないかな……」
汗をぬぐいながらさとしが答えた。
「美鈴さんは大丈夫ですか?」
その問いに弱々しく微笑む美鈴であった。
(しゃべるのも大変ってことかな……)
さとしはあえて美鈴の後ろに回り、背中を軽く支えるように押してあげた。
「あともう少しですから頑張りましょうね!」
それを見ていた美波が、
「私も背中押してください!」
「美波は若いんだから自分で頑張りなさい」
さとしがたしなめた。
「ええー。……なら、こうしてあげます!」
そういうと今度は美波が美鈴の背中を押すさとしの後ろに回ると両手でさとしの背中を押した。
その光景は仲良し家族そのものであった。
そんなこんなで階段を上り続けていくと待ちに待った頂上(一ノ峰)へとたどり着いた。
一ノ峰の参拝所は本殿に比べるとこじんまりとしているが、その醸し出される雰囲気はとても厳かなものであった。
「やっと着いたー!」
美波が喜びの声を上げた。
「お疲れさま。二人ともよく頑張ったね。頑張った二人にご褒美を用意したよ」
そういうと、奥社でこっそりと購入した三つの御守りのうち、その二つを二人に渡した。
その御守りは「白狐守」という狐の顔を模した御守りで、小さな可愛い鈴が付いていた。開運招福、心願成就、幸運来福といった御利益があるとの事。
さとしはこの御守りを三人の共通のアイテムとして持つことを考えたのであった。
「三人で初めてきた神社の記念として、これからは三人で御朱印をもらいに行く際には肌身離さず持っていくのはどうかと思ったんだけどどうかな?」
「「大賛成」」
親子二人息ぴったりであった。
「これが俺たち三人、『御朱印集め隊』のマスコットで決定だな!」
「なんかさらに三人が一つになった感じがしますね」
美波が嬉しそうに話していた。
頂上で参拝をした三人は昇ってきた道とは別ルートで山を下りていく。
帰りは行きとは違い足取りも軽やかに四ツ辻まで戻ってくることが出来た。
四ツ辻まで戻ってきた三人はそこのある茶屋で休憩をすることにする。
三人は仲良くソフトクリームを購入する。
この茶屋は視界が開けており、京都の町を一望できると有名なお店であった。
早速購入したソフトクリームを頬張る。
火照っていた身体を冷たい甘さが包み込み、疲れた細胞の一つひとつに染み渡っていくようだった。
その三人の目の前には奇麗に晴れ渡った空と京都の美しい街並みが広がっていた。




