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食いしん坊たちの御朱印集め紀行  作者: サッサン
第1章:瀬戸内海とお墓参りと運命の出会い

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第十七話:家に帰るまでが旅行です

ホテルで帰りの準備をしている二人。


「さとしさん、……おでこ大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ。もう赤くなってた部分も元に戻ってるし。それよりもノックもしないで開けちゃって悪かったね」


「私もカギをちゃんと掛けてなかったんで。それに……将来責任取ってもらえればいいので!」


「こんなおじさんの何がいいんだか……。ある程度準備できたら朝食を食べに行こうか」


「はーい」


二人は朝食会場のある23階へと移動する。

朝食会場はホテル最上階にある「スカイラウンジ トップ オブ ヒロシマ」である。

ブッフェスタイルであり、ホテル最上階ならではのロケーションで、瀬戸内海の穏やかな海とそこに浮かぶ島々、そして広島の街並みを360度のパノラマビューで眺めながら優雅な朝食を楽しむことができる。

目の前で調理してくれるライブキッチンのお好み焼きや、ジューシーな「牡蠣カレー」をはじめ、広島菜漬や藻塩など、広島のローカル食材が満載である。それ以外にも王道のオムレツやソーセージなどの洋食から、地魚を使った和食まで和洋バラエティ豊かなメニューが食べ放題であった。

美波もさとしもお皿にたくさんの料理をもって席に着いた。

美波は牡蠣カレーが特に気に入ったようだ。

ちなみにさとしのお気に入りは広島発祥の乳業メーカーである「チチヤスヨーグルト」で、チチヤスならではの技術で、プレーンなのに酸っぱくなく、乳本来の優しい甘みが引き立つ味わいが気に入ったのであった。

心行くまで食事と景色を楽しんだ二人は再度部屋へ戻り帰りの準備の仕上げをする。

歯磨きなども終え、ホテルを出る二人は車に乗り込む。

今日の予定は広島城へ行き、その後東照宮へ行くことにしていた。


「最初は広島城へ行こうか。広島に来たからには一度は見ておかないとね」


広島城は、広島市中区の街なかに位置する。豊臣秀吉の五大老の一人・毛利輝元によって築かれた歴史ある平城で、別名「鯉城」とも呼ばれ、プロ野球チーム「広島東洋カープ」の名前の由来にもなった、広島の街のシンボルである。

ちなみに1589年に築城が始まった際、この一帯の広大な干潟に毛利氏が「広島」と名付けたのが現在の県名・市名のルーツであるといわれている。

広島城に着いた二人が見学したお城は、1945年の原子爆弾の爆風によって完全に倒壊した当時の城に代わり、1958年に広島復興のシンボルとして外観を忠実に再現されたお城であった。

その後同じ敷地内にある護国神社のお参りと御朱印を頂いた。

護国神社とは国家のために尊い命を捧げられた英霊を祀る、全国の各都道府県に建てられた特別な神社のことで、広島の護国神社は1868年の戊辰戦争から大東亜戦争(第二次世界大戦)に至るまでの広島県ゆかりの英霊約9万2千柱をお祀りしている。

その後二人は車で広島東照宮へと向かう。

お城を後にした二人は広島駅の近くにある広島東照宮へと向かった。

東照宮へ向かう車の中で美波がさとしに尋ねた。


「さとしさん、東照宮って日本に何箇所あるんですか?」


「全国で47か所あるって聞いたことがあるかな」


「そんなに沢山あるんですね」


目を大きく見開いている美波。


「江戸時代には500~700社の東照宮が建てられたみたいだよ」


「そんなにあったんですね。なんだかありがたみが薄くなっちゃいそうですね……」


「そんなことはないさ。その証拠に東照宮がありがたいとされる4つの理由があるんだよ」


「4つですか?」


「そう。1つ目は『平和と安泰』の神様としてだね。 260年もの間、日本国内で大きな戦争が一度も起きなかったのは、世界史を見ても驚異的な奇跡だからね。そのため、国家や社会の平和だけでなく、「家内安全」や「人生の平穏」を守る強力なパワーがあるとされているんだよ。」


美波は真剣にさとしの話を聞いていた。


「二つ目は『出世・大願成就』の神様としてだね。家康公は幼少期に人質生活を送るなど、人生の半分以上を耐え忍び、最後に天下統一を成し遂げただろ。だからどんな逆境からでも這い上がる勝負運や出世運・大願成就の御利益が絶大と言われているんだよ。そして3つ目はね『魔除け』の聖地としてだね。全国にある東照宮は、江戸の街や広島の城下町などを守るため、当時の最先端の風水に基づいて『最も強いパワーが集まる重要な方角』に意図的に配置されているんだ。だから、そこにいるだけで邪気が払われるパワースポットなんだよ。」


「そうなんですね。それだけ御利益があるなら確かに作りたくなるのかも」

納得する美波にさとしが問題を出した。


「ここで問題です。最後の一つは何でしょうか?ヒントは家康公かな」


「家康さんがヒントなんですか?……あー、もしかして長生きできるとか?」

何かを思いついたというように答えた。


「鋭いね!そうなんだよ。正解は『長寿・健康』の神様としてだね。家康公は当時としては驚異的な75歳まで健康に生きたことから、『延命長寿』や『無病息災』の神様としても非常にありがたがられているんだよ」


そんな話をしていると車は広島東照宮の駐車場に到着した。

神社へ続く階段の先には朱塗りの立派な門があり、門の上側には『長尾山』と書かれた文字を見て取れた。門でお辞儀をし、中へと入っていくふたり。

ここでも参拝を済ませ、御朱印を頂くために社務所へと移動した。

ここで頂けた御朱印には葵の御紋が大きくスタンプされていた。

美波がそれを見て目を輝かせた。


「なんか葵の御紋が入っていると御利益がありそうですよね!」


「さっきと言ってることが真逆なんだが……」

あきれるさとしであった。


「さとしさん、見てください。ここに獅子舞のおみくじがありますよ!一緒にやってみませんか?」


「面白そうだな。一つやってみようか」

二人は獅子おみくじを1つずつ選んで購入した。

さとしの運勢は吉で大体はよい内容が書かれていた。


「さとしさんは結婚の欄はどうなってましたか?」


「『すでに表れている。後は自分の心次第』だってさ。いったいどこにいるのやら……」


「それってどう考えても私のことじゃないですか!私は『精進すればのちに叶う』でしたよ。私頑張るのでちゃんとお嫁さんにもらってくださいね」


美波は目を輝かせ、上目遣いにさとしの顔を見つめた。


ーーー


東照宮の参拝を終えた二人は、三原への帰路に就いた。広島駅から三原までは約70キロの距離である。

広島東ICから約30分ほど進んだ東広島市にある小谷サービスエリアで休憩がてら昼食をとることにした。

今回はフードコートで食べることにした二人。


「今回まだ尾道ラーメンを食べていなかったから俺はこれにしようかな」


「なら私は尾道ラーメンとチャーハンのセットにします」


相変わらずの食いしん坊キャラを発揮する美波であった。

尾道ラーメンの特徴は、スープのベースは、鶏ガラなどの動物系だしに、瀬戸内海産の煮干しや小魚の旨みを加えたすっきりとした醤油味である。あっさりしたスープの表面にはミンチ状の大きな豚の背脂がたっぷりと浮いており、これがスープに独特の甘みと深いコク、こってり感をプラスしている。麺は少し幅のある平打ちのストレート麺で、コシが強く、スープや背脂をしっかりと引き揚げるため、口に入れた瞬間に一体感を味わえるようになっている。


「やっぱりこっちに来たからには、一度は食べておきたかったからよかったよ」


「このスープとチャーハンとの相性もばっちりですよ。一口食べてみてください!」


そういうとレンゲにチャーハンをすくい、さとしの目の前に差し出す。さとしはそれをひな鳥が親鳥から餌をもらうかのように口を開けて受け入れた。


「これは確かに合うかもしれないね」


「さとしさんもそう思いますよね」


そして再度チャーハンをすくって美波は自らのお口に運んだ。

そして口に入れた時にふと気が付いてしまった。


(これって恋人同士がやるあの伝説の「あーん」と間接キスのダブルコンボでは!)


急に顔を赤くする美波を見て、さとしも自分の行った行動に気が付き視線をそらした。

周りから見れば、その光景は付き合いたての初々しい恋人同士にしか見えなかったであろう。

食事を終え、再度車に乗り込んだ二人は三原の内海家へと向かって車を発進させた。


ーーー


午後2時ごろ、車は内海家の自宅前に到着した。

1泊二日の御朱印集めの旅を終えて帰ってきた二人には、出発前に比べ確実に確かな絆が生まれていた。

ただこの絆を何と呼べばいいのかはまだ誰にもわからなかった。


食いしん坊たちの御朱印集め紀行をお読みいただきありがとうございます。

今回広島城から始まり護国神社、東照宮を経てSAでのイチャイチャを描いてみました。

無事に自宅へへ帰ってきた二人はこれでもう二度と会えなくなってしまうのか……。

明日の話をお待ちください。


この話を気に入ってくれた方はぜひブックマーク及び評価☆で応援よろしくお願いします。


明日も朝7時半からの投稿になります。

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