第十六話:初めての宿泊体験
綺麗な月が夜空に浮かんでいた。
時刻は夜9時を指していた。
ホテルに戻ってきた二人は、コンビニで買った飲み物やお土産屋さんで購入したものをもってエレベーターへ乗り込んだ。
タクシーの中で上機嫌だった美波はここにきて急に緊張し始める。
急に無口になった美波に対してさとしが声をかけた。
「さっきから急に無口になったけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫だから!」
美波は上ずった声で答えた。
(相当緊張してるみたいだな……。緊張をほぐしてやれればいいんだけど)
「そうだ。今日は結構歩いたから足が疲れてるだろ。お風呂入ったらマッサージしてあげるよ」
「え、そんな。私よりさとしさんの方が車の運転なんかもしてて疲れてるんじゃないですか?」
逆に美波がさとしの心配をした。
「俺はいつも御朱印集める時は3日間で10万歩とか歩くこともあるから全然平気だよ」
「でも……、年下の私だけがやってもらうなんて」
遠慮してしまう美波に対してさとしが提案した。
「それなら美波にも俺のマッサージをしてもらおうかな。やり方は教えるからさ」
「うまくやれるかわからないけど頑張ってみますね」
「初めてだからって痛くしないでくれよ」
とちょっと下品な冗談を言うさとし。
その言葉の意味に気が付いた美波が
「さとしさんの……エッチ……」
美波は顔を赤くしてつぶやいた。
「その反応はずるいぞ!こっちまで恥ずかしくなるじゃないか」
同じく顔を赤くしてしまうさとしであった。
二人はお互いに赤くした顔を見合わせると、お互いの赤い顔を見て噴き出してしまう。
「なんか緊張してるんが馬鹿みたいに思えてきました。私は初めてなんだからちゃんと導いてくださいね」
さっきのお返しとばかりに顔を赤くしながらさとしをからかうように言うと、逃げるようにお風呂にお湯を張りに行ってしまった。
お風呂に湯船が張り終わると美波から先にお風呂に入ってもらい、そのあとにさとしが入った。
ホテル備え付きの浴衣に着替えた二人は備え付きに椅子に座り、買ってきたゼリー(淡雪花)とチーズタルトを美波が幸せそうに食べていく。
さとしもゼリーを食べてみる。
爽やかな瀬戸田レモンが香るゼリーを、ぷるんとしたレモン味のマシュマロで挟んだ和洋折衷スイーツで、しゃりっ、ぷるんとした唯一無二の食感で、宝石のように美しい見た目をしていた。
スイーツを食べて満足した美波。
「ならそろそろ始めようか。まずは俺がやるからそのベッドでうつ伏せになってごらん」
美波は言われた通りうつ伏せになった。
大きなバスタオルを体にかけてやり、最初は全身をさすってあげる。
何気にこれだけでもかなり気持ちよかったりする。
その後、指圧を始める。肩に親指を当てて押し込んでいくと美波の体に力が入った。
その反応を見て力の調整をしていくさとしであった。
美波も指圧に慣れてきたらしく、時々美波の寝息が聞こえてきたりした。
全身の指圧を終え、最後に全身をまたさすっておしまいにする。
仕事の時には横向や仰向けなどでもやるが今日はうつ伏せだけで終わりにした。
その一番の理由はすでに美波が寝入ってしまっており、起こすのがかわいそうだったからである。
眠る美波に掛布団をかけてやり部屋の電気を入り口の明かりを残して消し、さとしもベッドに入り眠りについた。
ーーー
次の日の朝美波が先に目を覚ましていた。美波は着替えをもって洗面所に入っていった。
その音でさとしが目を覚ます。寝ぼけているさとしはいつものように何気なくトイレに行こうと洗面所が使用中かの確認をすることなく開けてしまう。
そして扉を開いた先には浴衣を脱いで下着姿になった美波の姿があった。
まるでスローモーションの世界の中にいるように感じられた。
上下ともに白の下着以外身にまっとっていない美波の身体は均整がとれておりとても美しい身体をしていた。
二人はお互いに顔を見合わせて固まってしまう。
ほんの数秒であったがその時間はとても長く感じられた。
その時間を解いたのは美波が悲鳴を上げながら投げた、歯磨き用に置かれていたプラスチックのコップがさとしに顔面にヒットした瞬間であった。
食いしん坊たちの御朱印集め紀行をお読みいただきありがとうございます。
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次の投稿時期は基本的に未定です。この作品はメインの「幼馴染の境界線」の投稿の合間に作成していきますので、ランダムな投稿になると思います。




