第十三話:広島の中心地で夕ご飯
西の空に傾いていた。時間は夕方5時過ぎである。
広島駅に着いた二人は美鈴さんへのお土産とさとしの治療院に来る患者さんへのお土産を購入することにした。広島駅のお土産屋さんは、新幹線口(北口)側の2階フロアに集中しており、主に「ekieおみやげ館」と「新駅ビル minamoa」、そして「新幹線改札内」の3つのエリアに分かれていた。
今回二人は2階にある新幹線口改札前のekieおみやげ館に行ってみた。
店内はとても広く沢山のお土産屋さんが並んでいた。
さとしはまず初めに患者さんと両親や兄家族用にもみじ饅頭を大量に購入し、自宅へ郵送してもらうことにした。
そして今度は二人で美鈴さん用のお土産探しを始めた。
「美鈴さんはどんなものが好きなんだい?」
「甘いものも、辛いものも大好きだよ。さとしさんこの淡雪花っていうゼリーおいしそうですよ。よかったら部屋に買って帰って一緒に食べましょうよ!」
目を輝かせる美波。
「相変わらずに食いしん坊だな、美波は。なら部屋で食べるように買って帰るか。」
商品を持ってレジに並ぶさとし。
「お母さんへのお土産探しておきますね」
そう言って再度、お土産探索に入る美波であった。
最終的に美鈴さんへのお土産は「メープルもみじフィナンシェ」という、 カナダ産のメープルシロップを贅沢に使った洋菓子で、外はサクッ、中はしっとりとしていて香ばしいのが特徴のお菓子を選んだ。
最終的にそれに決まった理由は美波が食べたかったからであるが……。
(美波も美鈴さんも似た者同士だし、おそらく問題ないだろう)
お土産を買い終えた二人は一番の目的である広島風お好み焼きを食べるために移動を開始する。
目指すはekie1階にある、お好み焼きの名店が集まった専門フロアで、名前は「廣島ぶちうま通り」。
廣島ぶちうま通りに着いた二人はその雰囲気に圧倒された。
「さとしさん、見てください。右も左もお好み焼き屋さんだらけですよ」
鼻息を荒くする美波。
「これだけあると、どのお店にしようか迷ってしまうな」
お店を見比べておろおろするさとし。
「もうこうなったらインスピレーションですよ!」
そういってさとしの手を引っ張って、いい匂いを漂わせる一軒のお好み焼き屋さんへ突入した。
(こういう時の美波の勢いには助けられるよな。俺だけだったらずっと悩んでしまいそうだ)
2人が入ったお店の名前は「みっちゃん総本店」という名前であった。後で知ったことだが、「みっちゃん総本店」は広島風お好み焼きのスタイルである、お好みソースの開発や、キャベツと麺を重ねる焼き方を戦後ゼロから生み出した、「元祖」の直系店であるとの事だった。このお店のコンセプトは毎日食べても飽きない「毎日食べられるお好み焼き」だそうで、キャベツの甘みを最大限に引き出し、特製の少し甘めなお好みソースで仕上げる王道の1枚だそうだ。
店内は活気ある熱気と、お好みソースが鉄板で焦げる香ばしい匂いで満ちていた。
2人はトッピングにお勧めされたイカ天と餅を加えたものをそれぞれ注文し、半分ずつに分けることにした。
目の前で調理されるお好み焼きを、今にもよだれをたらしそうな顔で見ている美波。
「見ているだけでおなかがすいてきちゃいますよね!早く食べたいです」
「不本意ではあるけど、今回ばかりは俺も全く同じ意見だよ」
さとしと美波のお腹がシンクロするようにグーと鳴っていた。
そしてそれを聞いた二人はお互いの顔を見て笑いあっていた。
できたお好み焼きをへらで切り分けて食べる二人。
「最近は東京なんかでも食べられるようになったけど、やっぱり本場で食べるお好み焼きは一味も二味も違うな!」
「なら私が完全にマスターしてさとしさんとの新居で作ってあげますね」
目を輝かせる美波であった。
「期待しないで待ってるよ」
楽しそうに笑いながら答えるさとしであった。
さとしと美波は2人でいることの心地よさを感じていた。
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次の投稿時期は基本的に未定です。この作品はメインの「幼馴染の境界線」の投稿の合間に作成していきますので、ランダムな投稿になると思います。




