四十一話 帰って来てから
気まずい状態だったエルディーさんに相性が悪そうなダンフォードさんとモルトハウスさんでパーティーを組み、ビネートサンというベテランっぽい人が所属していた別のパーティーとの合同で、依頼中にいまだに正体が分かってない白い化け物に襲われるなんてことがあったりもしたが、僕は無事にエスクウェス学園に戻ってきていた。
精神的な疲れはあるけど。
「ねえ、福崎君」
「はい」
「私と別行動をしていた間は何をしていたの?」
「えっと……。ゴブリンの巣を潰すっていう依頼を受けたんですけど、そこでビネートサンていうベテランのパーティーと組むことになったんですよ。ゴブリンの巣を潰すのはそんなに苦労しなかっ――」
「ねえ、そういうことを聞きたいんじゃないって分かっているわよね」
「えっと、まあ……」
いや、怖いって!
ルヴィエさん、絶対に怒ってるって!
真面目にどうしよう……。
僕はビネートサンの人たちと別れた後、ようやっと帰って自分の部屋でのびのびできるなって思っていた。
けど、帰っている途中でルヴィエさんのことを思い出して、というか薄々不味いなと思って先送りにしていたことを直視しなきゃいけない状況になっていっているのを理解してしまって、その時にはもう僕は正直帰りたくなくなっていた。
だから、ルヴィエさんと会った時にこういう状況になるかもしれないなと思っていたけど、これから僕を問い詰めてこようとしているのを感じさせられて怖い。
「じゃあ、私が何を聞きたいのかを言ってみて」
「えっと……、そのなんかしっかりやってるか、みたいな感じですかね?」
「しっかりって何を」
「しっかりと体を動かしたりとか、特訓でやっていたこととかを向こうでもやっていたかということですかね?」
「そうよ。それで?」
「それでというのは……。あんまりやってないです、すみません」
僕がちょっとでも時間を稼ごうとしたら、ルヴィエさんが人を殺す目をしていたので素直にエルディーさんにやれと言われていたことをほぼやってなかったことを口にした。
「あまりやってないということは少しはやっていたということよね?」
「……はい」
「どのくらいやっていたの?」
「なんか、向こうに行って三日間ぐらいはやっていました」
三日ぐらいはやっていたとは言ったけど、二日目は一日目の四分の三ぐらいの時間になって三日目は二日目の半分の時間っていう感じだったから、三日目はほとんどやっていない。
口には出さないけど。
「……はあ、本当にしょうがないわね、あなたは」
ルヴィエさんからさっきまでの張りつめた空気がなくなった。
怒りが呆れに変わっただけな気もするけど、とりあえずよかった……。
「嘘をついているようだったらどうしてあげようかと思っていたけど……、嘘はついていなさそうだし話を進めましょうか」
「はい」
嘘をついていることがばれたらひどい目に合いそうだと思っていたから、素直に話してよかったぁ。
「正直、同級生であるあなたに稽古をつけるということだけではなく特訓自体も強制させるというのはどうなのかしらと思っていたの。でも、何も言わなかったとはいえ私がいないだけで必要な時以外に体を動かさなくなるということが分かって決めたわ。あなたを私の家に招いて集中特訓させることを」
「えっ……。それってすぐですか?」
「そうね。明日か明後日にはここを出るつもりよ」
「……もしかして、何日間かやるんですか?」
「そうよ。対抗戦が始まるまでの二週間、みっちりとね」
何をするかは知らないけど、わざわざここでやらないというのが嫌な予感しかしないんだけど。
「そんな顔をしてもダメよ」
「はい」
嫌すぎて顔に出てたみたいだ。
「それって、学校休むことになるんですかね?大丈夫なんですか?」
「心配しなくとも大丈夫よ。大会の一か月前からなら、大会に備えてという理由であれば休むことが出来るのよ」
「そうなんですか。……でもそれって、ずる休みとかできちゃいませんか?」
「出来はするでしょうけど、そんなことをするならそれまでということなんでしょう」
「なるほど」
たまに感じるけど、この学校すごくエリート気質だよな。
こういう自主的に自らを高めるっていう勤勉な感じ、やっぱり僕の性に合わないな。そういう校風だとさぼってしまう性格だということも含めて。
「じゃあ、決まりね」
「……はい」
あのへんな化け物と戦ったんだから、少しぐらいゆっくりする時間ぐらい暮れてもいいんじゃないかと思いつつも僕は頷いた。
高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。
マイナスなものだとしても、感想も書いてくれるとうれしいです。




