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四十話 ビネートサンとの別れ


 ギルドでの報酬は今回の依頼で三つに分かれたチームの代表者に渡されたので、今からチームの代表者であるウィンパーさんから報酬を渡されることになった。


「いやー、それにしても寂しくなるなー。特に、アリエルちゃんとミリアムちゃんと別れちゃうのは」


「あはは」


「……」


 兄の方のバークさんのナンパまがいなのりに、エルディーさんは苦笑いをダンフォードさんに至っては無反応だった。


「エヴァン!最後の最後で二人が反応しづらいことを言うんじゃないよ!」


 ウィンパーさんが兄の方のバークさんの頭をはたく。

 会ってすぐに男女関係なく名前呼びをして来るような人だけあって、兄の方のバークさんは相変わらずだなと思いながら、二人のやり取りを見てこういうのも大事なんだろうなんてちょっとだけ思った。


「まあ、あたいもエルディーとダンフォードだけじゃなくて、あんたたちと別れるのは少し寂しいけどね……。じゃあ、これを受け取りな」


 ウィンパーさんはかなりの金額が入っているであろう袋を、僕たち一人一人に渡してきた。

 別れるのは寂しいと言われてちょっとだけ気恥ずかしく思いながらウィンパーさんから受け取った袋は、想像以上に重かった。


「それにしても、I班のみんなはかなり優秀でマジで助かったぜ」


「そうだね。チームとして組む相手が学生だと聞いていた時は正直期待してなかったけど、あんたたちのおかげで今回の依頼は乗り越えられたと思っているよ」


「いえいえそんな」


「いえ」


「……」


「えっと……」


 兄の方のバークさんとウィンパーさんが僕たちのことをいきなりほめてきた。

エルディーさんが謙遜した感じで、ダンフォードさんは短く一言、モルトハウスさんは特に反応せず、僕はどう反応すればいいか分からなくて言葉を詰まらせた。


「そんな謙遜しなくていいよ。魔法の腕だけだったらそこそこな可能性はあるとは思っていたけど、度胸まで据わってるんだから。大したもんだよ」


「ありがとうございます」


 ウィンパーさんの言葉に、エルディーさんだけが反応した。

 僕とエルディーさんはあの白い化け物よりヤバいやつに襲われたことがあったからと言いたいところだけど、今回の僕は途中まで日和ってたからウィンパーさんの言葉をあんまり肯定しづらい。


「……このままだらだらと話していたい気持ちもあるけど、それじゃきりがないしね。そろそろお開きにしようか」


「そうですね」


 これでお別れか……。

 こういうのはいつも早く終わってほしいなと思う人間だから今回もそういう気持ちはあるけど、ほんのちょっとだけ名残惜しいという気持ちもある。


「じゃあな、I班のみんな。また一緒に依頼でも受けようぜ」


「じゃあな」


「皆さん、ありがとうございました」


「あんたたちとなら、また組むことになっても歓迎するよ」


 兄の方のバークさんは親しげに、スタンディングさんはそっけなく、弟の方のバークさんは丁寧に、ウィンパーさんはいつも通りの感じで別れの挨拶をした。


「ありがとうございました」


 別に示し合わせたわけじゃないけど、僕たち四人はきれいに声をハモらせた。




 

「それにしても、あの子たち優秀だったな。正直、今回の依頼はI班がいなかったら全滅もありえたからな」


「確か、エルディーと福崎がうまく足止めをして、モルトハウスがとどめを刺したっていう話だったね」


「そうそう。だから将来性なんて加味しなくても、うちに来てくれたらかなりの戦力として期待できてたと思うぜ」


 あの子たちがうちのパーティーにか……。悪くないかもしれないねぇ。

 ……まあでも、高みを目指していた昔ならともかくほとんど惰性で冒険者を続けている今、うちのパーティーに誘うつもりにはなれないがね。


「俺、ちょっと外行ってくる」


 あたいはアーヴィンが普段通りに見えて実は気合が入っているのを気づきながらも、ギルドから出ていく姿を見守った。

 I班の子たちと組むことになると話したときは、学校なんかに通っている軟弱な奴らとなんか組みたくねえなんて言っていたのに、結果的にはその軟弱者に助けられたから思うところがあるだろうね、アーヴィンは。

 少ししたら、いつもの場所でいつも以上に気合を入れて剣を振ってるだろうね。


 まああたいもI班の子たちに会う前は使えないだろうと思っていたし、会った後も度胸なしと世間知らずの集まりで、ダンフォードとモルトハウスの相性が悪く見えるのにしっかりとしたまとめ役もいないから、今回の依頼中にでもすぐにパーティー崩壊を起こしてもおかしくないと思っていたしね。

 

「んじゃあ、俺も適当にそこらへんぶらぶらしてくるわ」


 エヴァンもアーヴィンに続いてギルドから出ていく。

 適当にぶらぶらしてくるなんて言ってるけど、大方アーヴィンに稽古をつけに行くつもりなんだろう。

 あんなことを言いながらも面倒見がいいからね、エヴァンは。


「アンブローズ、あんたはI班をどう思った?」


「えっと、とても頼りになる方たちだと思いました」


 アンブローズはいつも遠慮してこういうことを言うけど、今回はすぐに答えたから本当に思っていそうだ。

 ……それにしても、こういうおどおどしている姿を見ていると相変わらずBランク相当の実力者には見えないね。

 正直アンブローズはこんなCランクとBランクの間ぐらいの実力のパーティーにいていいような器じゃない。

 アーヴィンだってあと三、四年すればBランクの実力者になれるような才能があるのに、アンブローズは二、三年すれば――下手すればもっと早くAランク級の実力者に、もしかしたら将来的には世界に数えられるくらいしかいないSランク冒険者になれるような天才だとあたいは思っている。

 何故なら戦いなんてしたこともなかったアンブローズが、たった一年で戦闘能力だけで言ったらCランク相当のあたいを超えているからね。


「あんたはI班の子たちと一緒にパーティーを組みたいと思った?」


「えっ……、いえ……」


 最近、うちのパーティーなんかで縛らすには惜しい才能を持っているこの子に、大手のクランに入団試験をたのんだんだけど……。

 

「そうかい」


 この子の反応や性格を考えると、また違う道があるのかもしれないねぇ。


高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。

マイナスなものだとしても、感想も書いてくれるとうれしいです。

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