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三十九話 報酬


 僕とエルディーさんはちょくちょく会話をはさみながらギルドに到着した。

 ギルドの中に備え付けてある時計を見ると、午後二時四十分を指していた。

 ギルドにはいろいろと情報が書かれている掲示板があるんだけど、それに張り紙で集落を形成しているゴブリンの討伐の依頼を受けた方は午後三時に集合してくださいと書かれていることから分かる通り、二十分ほど早く着いている。


「やっぱり、ちょっと早かったみたいね」


「そうですね」


 僕はエルディーさんに同意しながら、僕たちと同じ依頼を受けた人が今ぐらいの時間には来ているのかなということが気になって、辺りを見回してみた。

 辺りを見回してみた結果、多分一緒の依頼を受けた人達だと思われる五人組のパーティーは見つけたけど、それ以外は見つからなかった。

 僕が人のことが覚えるのが苦手だから見逃がしているだけかもしれないけど。


「あたし、そこらへんで買い物して来るわね」


「あ、はい。分かりました」


 僕が返事をした後、エルディーさんはギルドの出口へと向かっていった。


「わたし、やっぱり無理」


 ギルド内のいろいろな会話が飛び交っている中、特段声が大きかったわけではないけど僕が同じ依頼を受けた人たちと思われる集団らへんから聞こえてきたので、気になって目を向けた。


「そうか。ミル、ネイアを宿まで連れてってくれないか?」


「うん、わかった」


 リーダーっぽい男の人に同意したミルという名前の女の人は、気分悪そうにしているネイアという女の人の肩を支えながらギルドから出ていった。

 僕の記憶が正しければ、ゴブリンの集落に向かう前に見ていた時はもっと和気あいあいとした気がするけど、気分が悪くなって帰ってしまう人がいることからも分かる通り、かなり暗い雰囲気だ。

 あの化け物に襲われた時に死んじゃった人が何人かいたはずだから、もしかしたらパーティーメンバーに亡くなった人がいたのかもしれないな。


「それにしてもさー、あの白い化け物、まじでやばかったよな」


「ほんとそれ!正直終わったかと思ったもん」


「俺もそれ思った。ほんと助かってよかったわ」


 僕は見覚えがあるようなないようなって感じだけど、話の内容的に今ギルドに入ってきて会話している二人組は同じ依頼を受けた人達っぽいな。


「ねえ、ちょっとそこ、黙ってくんない」


 ネイアとかいう人が所属しているであろうパーティーメンバーっぽい女の人、かなり喧嘩腰だな。

 気分が悪くなって宿に帰ったネイアとかいう人が所属しているチームがいるのに、あの化け物のことを軽い感じで話しているのは、そりゃ不味いよな……。

 二人組も悪気があるわけじゃないだろうし、話している内容自体も人の神経を逆なでするものではな――まあ、亡くなった人がいるという事実があるのに助かってよかったみたいなことを言うのは良くないか。

 それでも、そういうことに気が付かなくて言っちゃうのはしょうがないとは思うけど。


「はあ?なんでそんなこと言われなくちゃならないんだよ」


 楽しく話をしていたところにいきなり関係ないやつに喧嘩腰で声を掛けてきたからだろうか、二人組の片割れがイラついていた。


「わかんないの?そんなことも気づけ――」


「おい、お前ら」


 喧嘩になりそうなところに、大体三十歳ぐらいに見える威圧感のある男の人が言い合いしている間に入った。


「……何だよ」


「お前たちが楽しく話してんのは分かるが、あの化け物に襲われて死んじまった奴がいる中で、ここであの化け物についての話をするのは無神経っていうのは分かるか?」


 二人組は威圧感のある男の人にそう言われて、喧嘩腰だった女の人の方に視線を向ける。


「……悪かったな」


 二人組の中の言い合いをしてた方が謝罪した。

 そして、その二人組は何も言わずにギルドから出ていった。

 

 僕はもうすぐ時間になるけど、と思ったけど、まあ居づらいだろうしギリギリで来るつもりなのだろう。

 あのまま言い合いをしてヒートアップしていくだろうなと予測していたから、特に大きな騒ぎにならなくて良かったな。





 あの一色触発の場面の後は特に何事もなくギルドでの集合時間となり、学校の教室ぐらいの広さがある部屋にギルドの職員を含めた依頼を受けた人達で集まっていた。


「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」


 ギルドの職員の人が頭を下げる。

 ギルドで受付をしている人とかを見た時から思っていたけど、ギルドの職員とかは顔立ちが整っている人が多いのかな?

 そういう人たちが表に立った方が冒険者たち――特に男をやる気にさせやすいとかありそうだし、ギルドの職員は特に美人がなりやすいとかあるのかもしれないな。


「私はマリアン・ティンダルと申します。本日は達成した依頼の報酬についての話をした後、報酬の受け渡しをさせていただきます」


 報酬か……。

 確か、今回受けた依頼は全体で百万ぐらいだった気がする。

 僕はそれを最初に知った時は百万!?って思った。

 でも勿論のこと一人当たり百万じゃないから、今回の依頼を受けた人数がどんくらいかは正確には知らないけど、見た感じ大体一人当たり五万より少ないぐらいだろう。

 三日かけて五万なら特別少ないとは言えないかもしれないけど、命もかかってるわけだしあんまり割に合ってないよなとは思ってしまう。

 しかもあんな化け物に襲われて。

 そんなこと言いだしたら、冒険者っていう職業自体の否定になっちゃうかもしれないけど。

 ……そう考えると、自分は冒険者っていうのに向いてないのかもしれないな。

 もともと物欲も薄いから、お金を稼ぎたいとかいう欲求もないし。


「今回の依頼の報酬なのですが、予期せぬ出来事があったということを考えて八百万ホープとなっております」


 八百万という数字の大きさからか、周りから嬉しそうに声が上がる。

 ただ、仲間を失ったと僕が思っているパーティーの反応は薄かった。

 依頼の報酬が増えたぐらいじゃ、パーティーメンバーを失ったのに喜べないよな。 

 八百万を山分けしたら一人当たり三十五万~四十万ぐらいになるかもしれないけど、僕としてもあの化け物と戦って四十万じゃ割に合わないと思っているし。


 僕はそういえばと思って辺りを見回してみると、あの時たしなめられた二人組は静かにしていた。

 ギルドに入ってきたときの様子を見るにこういう時は騒ぎそうな感じがしたけど、ちゃんと反省してるんだな。


「皆さん、お静かにしてください」


 特段大きい声というわけではないが、耳にすっと入ってくるような声が部屋の中を響き渡る。

 それによって、報酬の大きさに声を上げていた人たちは黙る。


「では、ここで報酬をお渡ししたいと思います」


 ギルドの職員はパンパンに詰まった袋を取り出す。

 ……あの袋の中に入っているものが二、三十分の一になるというのは分かっているけど、なんだかんだお金で膨れている袋には迫力があるな。

 僕はそんなことを思いながら、うちのパーティーの代表者であるウィンパーさんが報酬を受け取る姿を見ていた。

高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。

マイナスなものだとしても、感想も書いてくれるとうれしいです。

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