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三十話 ビネートサン

 

「では、僭越ながらわたくしめが今回の依頼について説明させていただきます」


 僕は口を閉じてあくびをしながら、今回が依頼についての説明会だということもあり、どんなんだったかというのを思い出していた。

 僕たちは今回、ゴブリンの集落を潰すという依頼を受けた。

 この依頼はゴブリンの巣を叩くという規模が大きいものであるからか、僕たち以外にも複数のチームが受けている。


 ちなみに今、胡散臭い喋り方をしている大体三十代中盤ぐらいに見える男の人は、今回の司令塔らしい。

 あんまり戦えそうには見えないけど、司令塔だからそんなもんなのかな?

 あとこの依頼を複数のチームで受けているということから改めて思ったんだけど、エスパルト村でバカみたいな数のゴブリンを僕と、ルヴィエさんと、村の力自慢であるデリックさんで相手したのはかなりの大事だったんだなと思った。

 というか、あの時ルヴィエさんがいなかったら、不味いとかいうレベルじゃなかったんじゃないかと思ってる。

 それこそ、国単位が動くとは言わなくても、領主が全力で解決するような問題だと。

 いまいちどれぐらいのことが不味いことなのかが分かってないから、なんとも言えないけど。


「まあといっても、事前どうするかはある程度分かっているとは思いますが」


 僕たちがこの依頼を受けるときに、受付の人からどういった依頼なのかという説明と依頼の概要が書かれた紙を渡されていた。

 その時の説明では、二組のチーム同士で分かれて戦うということと、ゴブリンの集落に行くこと自体に二日かかるから、道中の村で一泊するということを言っていた。

 僕としては他のチームと組むのも帰りも含めて四日はかかって、さらには道中の村で一泊を二回することを考えると、まったくもって受けたいとは思えない、というか受けたくない依頼だ。

 でも、僕が断りづらい性格である、プラス関係が浅いダンフォードさんとモルトハウスさんがいる中では嫌だとは言えなかった。

 今は嫌だといえばよかったかなと、若干後悔しているけど。


「……というような割り振りとなっています。では、別れて下さい」

 

 ボーとしながら考え事をしていたら、説明が終わっていたみたいだな。

 組むチームの割り振りについても言ってたぽいけど、……まあ何とかなるだろ。





「あんたたちがエスクウェス学園のチームI 班だね」


「はい」


 多分これから組む相手が声を掛けてきて、それにエルディーさんが答えた。


 ……なんかふと思ったんだけど、これまでは別にチームI班っていう名前に何とも思ってなかったけど、ギルドで人から口に出して呼ばれると、何というか、実践知らずの温室育ちっていう感じがするな。

 学校で養成された、力だけはあるけど実践は全然、みたいな感じで。

 実際そういう面がないわけではないと思うし、周りにもそういう風に思われていてもおかしくないよな。

 しかも、うちのチームは美少女二人と金持ち一人と根暗が一人だし。

 

「あたいはピネートサンでリーダーをやっている、ヴェロニカ・ウィンパー。今回はよろしく頼むよ」


「よろしくお願いします」


 僕とエルディーさんとダンフォードさんとモルトハウスさんで、ウィンパーさんに挨拶を返す。


 ビネートサンというのはパーティー名なのかな?

ウィンパーさんは、見た目も口調も雰囲気からも、頼れる姉御って感じがするな。


「俺はエヴァン・バーク。剣や魔法、弓も使える何でもござれの何でも屋だ。これからよろしく頼むぜ」


「よろしくお願いします」


 そういって、パークさんはエルディーさんとダンフォードさんの方へと手を指しだす。

 それに対して、エルディーさんが手を差し出そうとすると――、


「あんた!何初対面の子の手を握ろうとしてるんだよ!」


 ウィンパーさんがバークさんの手をはたく。


「いたた。……これから仲よくしようってことで、握手しようとしただけじゃないですかぁ」


「あんたじゃなかったら、そういうつもりだとも思えるけどね。それに、わざわざ女の子の方に手を差し出している時点であんたの腹積もりは分かってるんだよ!」


 なるほど。下心で握手しようとしたということか。

 僕たちの方じゃなくて、エルディーさんたちに握手しようとしたからおかしいなとは思ったけど。

 見た目的にはイケメンで軽薄な感じがするから、イメージ通りではあるけど。


「いやいや、別に何か考えてそっちの可愛い二人に手を差し出したわけじゃないですよ」


「じゃあ、そっちの男の子たちと握手しなよ。……いいかい?」


「あ、はい。大丈夫です」


 握手することで丸く収まりそうなので、僕は右手をバークさんの方に差し出す。


「んじゃ、よろしく」


「はい。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 僕とモルトハウスさんは、バークさんに握手をする。

 さっきも感じたけど、意外とモルトハウスさんはよろしくお願いしますとか言ったり、握手とかに応じるんだなと思った。

 そんなことするつもりはないとか言いそうだから。


「俺はアーヴィン・スタンディングだ。お前ら、俺たちの足引っ張るんじゃねーぞ」


 高圧的な態度を取ってきたスタンディングさんは、腰に剣の鞘を身に着けているから剣士かな?

 僕の第一印象は、生意気なガキ大将だな。


「あんたも見習いのくせに、生意気言ってんじゃないよ!」


 僕がよろしくお願いしますと言おうとする前に、ウィンパーさんはスタンディングさんのことをげんこつで殴った。

 それによってスタンディングさんは、頭を抑えながらも恨めしそうな目でこっちを見てくる。

 いや、お前が悪いだろと思ったが、口には出さなかった。


「えっと、僕はアンブローズ・バークです。エヴァン兄さんの弟で、見習いとしてビネートサンに所属しています。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」

 

 高い声できれいな顔立ちだし、大人しい感じがするから一瞬女の子かと思ったけど、弟ってことは男なんだな。


 スタンディングさんがウィンパーさんに叱られた時と、今の弟の方のバークさんの自己紹介で見習いっていう単語が出てきたな。 

 最初、兄の方のバークさんとウィンパーさんは二十代中盤ぐらいで、弟の方のバークさんとスタンディングは僕ぐらいと同じぐらいに見えたから、歪というか変だなと思ったけど、そういうことか。

 

「じゃあ次は、あんたたちのことを教えてくれるかい?」


 そうウィンパーさんが言った後、エルディーさん、ダンフォードさん、僕、モルトハウスさんの順番で自己紹介をして、お互いの紹介が終わったので解散となった。


高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。

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