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二十七話 一週間のパーティーメンバー


「あたしはアリエル・エルディー。これから一週間、よろしくね」


 ……はあ。確かにチームを組むのは誰でもいいとは思っていたけど、よりにもよってなんでエルディーさんと組むことになるのかな?

 僕が強制的にチームを組まされるのがいいと思っていたのは、誰かから誘われるような人間でもないし、自分から誘えるような積極性がないというのと、唯一気まずくて組みたくないと思っていたエルディーさんと組まなくていい理由になると思ったからだ。

 だからこういうことにはならないと思っていたんだけど……。まあ、組みづらい相手とチームで行動するっていうことが今回の目的のだとしたら、エルディーさんと組むことになったのは納得ではあるけど。


「私はミリアム・ダンフォードです。短い間ですけど、よろしくお願いします」


 次はあの風紀委員のダンフォードさんだ。

 この人はいろいろと融通が利かなそうだから、一緒に組むとなると面倒くさそう。


「俺はカール・モルトハウスだ、よろしく」


 モルトハウスさんは、確か銀髪の不良っぽい見た目をしたカルヴィンって人の手下としていた人だ。

 さらに言うと、ルヴィエさんにセクハラまがいなことをいって瞬殺された人でもある。

 というか今思ったんだけど、この人、二年生じゃなかったんだな。


「福崎です。よろしくお願いします」


 で、最後は僕。

 ……なんでこんな、出来る限り厄介そうなことになりそうな人間を集めたチームなんだ?

 エルディーさんとは気まずいし、ダンフォードさんとモルトハウスさんは単体でも厄介そうなのに、混ぜたら絶対にろくなことにならないだろ。


「なあ、自己紹介も終わったことだし、俺と遊ばないか?」


 モルトハウスさんは決め顔で、エルディーさんとダンフォードさんにイケメンだったら許される誘い方をする。

 なお、モルトハウスさんはほんの一瞬見ただけだったらイケメンであるような気もしなくもないという感じの顔なので、かっこつけているのを見ているこっちが恥ずかしくなる。

 しかも、僕がなんとなくイケメンに感じているのは、日本人だからなんとなく金髪だという理由な気がするから、この世界の人からしたらそんなことも感じないような気もするし。

 それに、いざこざあった仲なのによくダンフォードさんも誘えるよな。まあ、単純にモルトハウスさんがダンフォードさんのことをよく覚えてないだけな気もするけど。


「嫌です」


「……ごめんなさい」


 ダンフォードさんは即答し、エルディーさんもやんわりと断る。

 

「そんなこと言わずにさ、ヌディバでおごるからさぁ」


 え、確かヌディバって、ここらへんで一番値が張るレストランじゃなかったっけ?クラスメイトがそんな話をしていた気がする。

 というか、指にダイヤみたいなのがはめ込まれている指輪をはめてるし、胸に金のネックレスみたいなのも掛けてるから、モルトハウスさんってめちゃくちゃ金持ちなのかもしれない。

 ……なるほど。金持ちで意外とモテてるから、あんなイケメンムーブが出来るのか。

 納得はできたけど、見ていて恥ずかしいことには変わりないな。というか、むしろそっちの方が調子に乗っている感じがして恥ずかしいし。

 

「断ります」


 なんとなく予想はついていたけど、ダンフォードさん、即断ったな。めちゃくちゃ嫌悪感がある感じで。

 

「えっと、ごめんなさい」


 エルディーさんも続いて断った。

 まあ、もし高級店につられて遊びに行きたくなったとしても一回断ってるし、パーティーメンバーの一人が嫌悪感を丸出しで断ってるなかで、ついて行きづらいよな。

 エルディーさんがついて行きたかったのかどうかは知らないけど。


「そうか、気が変わったら言ってくれよ」


 そう言ってモルトハウスさんは去っていった。

 意外と素直に引くんだな。


「何なんですか、あいつは!まだ解散とも言ってないのにどこか行っちゃいましたし!」


 モルトハウスさんがあまりにも自然だったから気づかなかったけど、ダンフォードさんの言っている通り、特に解散とか言ってないのにどこかに行っちゃったな。


「まあまあ。自己紹介も終わったから、そろそろ解散でも良かったわけだし、いいんじゃない?」


「ですが、互いの得意魔法の紹介やフォーメーションを決めないといけないじゃないですか!少なくともリーダー決めぐらいはしないといけないと思います!」


「まあ、そうだけど……」


 エルディーさん、普通に可愛そうだな。

 別に何もエルディーさんが悪くないのに、切れ気味な感じで迫られて。


「はあ、あんなのがいなくとも一人いないのでは話し合いになりませんし、私も用事があるのでここらへんで解散してもいいですか?」


「え!?いや、まあ……、そうね、各々解散でいいかもしれないわね」


「そうですか。では、失礼します」


 モルトハウスさんにどうこう言ってたけど、ダンフォードさんも結構勝手じゃないかと思いつつ、去る後姿を見送る。


「……福崎君はどうする?」


「えっと……。この後に特に何もないなら、解散でいいんじゃないですか?」


「……そうね」


「じゃあ、僕も自分の部屋に戻りますね」


 いままでほとんど交友関係を持ってこなかった自分としては、エルディーさんとどう接すればいいか分からないから、気持ちエルディーさんと一緒にいるのが嫌だという雰囲気は感じさせないことを意識しながらも、この場から去ることを選択する。

 あの身勝手な行動をした二人の後にこうやって立ち去るのは、どうなのかなと思わなくもないけど。


「あの、福崎君」


「何ですか?」


「……あたしのこと、どう思ってる?」


「えっ……」


 いきなりことに、僕は思考が止まり固まってしまう。


「ごめん、言いづらいこと聞いちゃって。じゃあ、また次の月曜日ね」


 エルディーさんは早口で、逃げるように去っていった。

 エルディーさんが去って何とか頭が働き始めてから思ったんだけど、僕が何も言わなかったことで不満を持っているけど言いづらくて黙っていたとか勘違いされそうだよな……。

 なんか言えばよかったな。


……それにしても僕がエルディーさんのことをどう思っているのか、か。

 もともと、僕は人のことを嫌うということがあまりないというのもあって、エルディーさんのことを嫌っているわけではないと思う。

 ただなんか、どう接すればいいのかが分からないというだけな気がしている。

 このまま関わらないというのは、僕とエルディーさんとルヴィエさんのパーティーが解散することになったとしても、少なくとも一週間は無理だし、エルディーさんとこのままでいいのかなと思っている自分もいる。

 その思いは、何となく気まずい人がいるのが嫌だという感覚なのか、エルディーさんと気まずいままが嫌だという感情から来るものなのかは分からない。

 ……でも、少なくともそんな風な考えが浮かんだということは、このままは嫌だと思っているのかもしれないな。


高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。

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