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十話 盗賊に襲われちゃった 上




 はあ、しんどい。

 なんでしんどいのかというと、この世界に来てこういう森の中で歩くのは少し慣れてきたけど、こんな悪道を四十、五十分近く歩くなんてことはなかったからだ。

 初めて依頼で森みたいな自然が生い茂っているところに入ったときは、足場が悪いから疲れるし、ふとももらへんに植物の葉とかがあったりするし、虫が足にひっついてたりで本気で萎えた。

 あと泣き言を言いたかったけど、ルヴィエさんが一緒にいる中でそういうことを言うのが怖いというか、なんというか……、言いづらいのも地味につらかった。

 言っても意味がないし。


「おい、そこにいる奴ら止まれ!」


 ボーっとそんな考え事をしながら歩いていたところにいきなり右耳から野太い男の声が聞こえて体がびくっとした。

 そして、声が聞こえてきた方角に体を向けると、ザ、山賊といった見た目の柄の悪い男達がいた。





 最近暇で暇で仕方なかった俺は、いつもだったらばっくれる学校からの依頼について行くことにした。そこそこの数の女とヤッてきた俺でも、そうそう見ないべっぴんがいることだし。

 まあでも失敗だったなと後悔している。今のところ、道の悪い森の中を延々と歩いてるだけだからだ。

 レインちゃんかアリエルちゃんとやれるんだったら、それでもおつりが来るんだけど。

いつもの俺だったら無理矢理行くレベルの女なんだが、アリエルちゃんもレインちゃんもそういうのが出来ないぐらいの実力者だから手が出しにくい。

 でも、レインちゃんはどんだけ腕が立つのか分からないから無理だとしても、最近アリエルちゃんのほうはいけるんじゃないかと思ってる。アリエルちゃんは気が強いように見えるが、芯がなさそうに見えるし。


「おい、そこにいる奴ら止まれ!」


 俺は声のする方を向くと、そこそこな使い手に見える厳ついおっさんとその取り巻きっぽいのがいた。


「お前ら、大人しく俺たちについてこい。そうすれば、痛い目に遭わなくて済むぞ」


 おい、おい、もしかしてこれお楽しみタイムか?

 あくまで合法的に人をいたぶるのが大好きな俺は、おっさん達の顔がボコボコに膨れ上げるまで殴りつける光景が思い浮かぶ。


「な、なによ、あなたたち!?……その首輪をはめている女の子はなに?」


 アリエルちゃんは嫌悪とおびえが混ざったような表情でボロボロな服を着た少女を見た。

 首をはめられている女は、風呂に入れて恰好を良くすればかなりいけそうな容姿をしている。というか、おびえてるアリエルちゃん、すげーそそるな。


「ああ、これか。ちょうど二ヶ月ぐらい前に見つけたやつでな~。最初はピーピー鳴いてうるさかったんだが、最近は声も出さなくなって具合もいいしお気に入りだな。で、これがなんなのかというと、お前達の先輩だよ!」


 厳ついおっさんの言葉の後に取り巻き達は一斉に汚い笑い声を上げた。


「ああ、ちなみにお前達に逃げ道はない」


 俺は辺りを見回すと、俺たちを囲むようにして取り巻き達が立っていた。


「あなたたち、覚悟はいいのでしょうね」


 レインちゃんは一切ひるんだ様子はなく座った目でリーダーぽいおっさんのことを見ている。

 レインちゃんの実力はよくは知らないけど、よくこれだけの数相手に強気に出れるなー。


「おお、コワイコワイ。もしかしたら、お前は俺たちをどうとでもできると思ってるかも知れないが、こっちにはこれがいることを忘れないでくれよ」


 レインちゃんは首輪がつながれている少女を見て、歯を食いしばる。

 アリエルちゃんは怯えちゃってるし、レインちゃんはあの奴隷少女がいるせいで手が出せなそうじゃないか。

 男どもも、一人は恐怖で歯をガタガタさせてるし、もう一人はボーっとしているし。

 おいおいおい、これって……チャンスじゃないか?


「おっさん、俺も仲間に入れてくれよ」


 多分だけど、元パーティーメンバーは驚いた表情でこっちを見てるだろう。

 まあでも、おさらばするわけだし関係ない。ああでも、そのうちの二人は長い付き合いになるか。


「……なるほど。だが、言葉だけじゃ駄目なことぐらい分かるな」


 しばらく黙ってて何考えてるんだと思ったが、そういうことか。

 実力的に、あいつらの仲間になったら幹部クラスになることは間違いないが、今は敵対――いや、ただ狩られるだけの家畜でしかないからな。

 アリエルちゃんとレインちゃんを傷つける訳にもいかないし、適当に男どもでも半殺しにしてやるか。


「じゃあ、死んでくれ名前も覚えてない元パーティーメンバー君」


 一応殺す気はないが、こう言えばびびるだろうと思って口に出した。

 そして、風魔法を腕に纏い名前も覚えてない元パーティーメンバーを力いっぱいにぶん殴った。


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