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これが戦争、これも戦争2

28

 ちょっと皆さん、空気というか目の色というか変えすぎじゃなりません?

 なんかもう、何でバレた!? って考えてるのが丸わかりですよ?


「貴公は我が帝国がドラゴンにドコカノン王国を襲わせようとした。と、そう言っているのか?」

「まさか。そんなことしませんよね? そんなことをするのは外道も外道。国家の信用が地に落ちるようなマネをする馬鹿はいませんよ」

「う、うむ。当然だな」

「それに、万が一にもそんなことをしようとするなら、自分たちの身元がわからないようにするでしょうから、たかだか冒険者にわかるはずがありませんよ。いや、でもあいつらはあれでも四級だったので、案外独自の調査で真実を突き止めたのかな?」


 なんとか悟らせまいとしているが、目に見えてハインリヒは動揺している。

 おいおい、陛下。経験値足りなくない? きょどり過ぎじゃないですか?

 まぁ、まともに皇帝が出張るようなレベルの外交交渉もない状況で在位5年じゃ経験値もそんなもんか?

 それとも、裏で暗躍して優位に立っていたと思っていたら最初から計画が失敗してピエロになってたのがそんなにショックでした?


「ん? そう言えば、死ぬ間際にこいつで真実を明らかにしてくれって渡されたものがあったなぁ……ちょっと確認していただけますか?」


 追い打ちをかけるためにそう言いながら俺はポケットに手を入れる。

 まぁ、実際は義兄に頼んで確認用の男爵家の認め石を借りただけだから、牽制ぐらいにしかならないけど……馬鹿が引っかかってくれないかな?


「私は見たことがない家紋が描かれた認め石なんですが……」

「そんなはずはない!」


 叫ぶような言葉に手を止める。

 俺は内心で拍手喝采したいのを我慢して声のした方へとゆっくり振り返る。

 あ、やべ……笑いそう。

 振り返ってから誰の言葉か確認するのは簡単だった。

 顔を真っ赤にして俺を睨んでいたのは先ほどの太った男だ。

 あれあれぇ?

 どうしたんですかおデブちゃん。

 しまったって顔してももう遅いよ?

 あれですか? さっきのも自分が考えた作戦が失敗するはずないとか、そんな自惚れからの発言だったんですか?

 どれだけ自分のうかつさを悔やんだところで、皇帝と外国の重鎮が謁見している場で口にしたんだから、それはもう公式発言なんですぜ?


「なにが、そんなはずはないのですかな?」


 しっかし、牽制が上手くいけばいいとは思ったけど、まさか成功するとは思わなかったよ。

 何の根拠もなく自分たちより下だと思い込んでいる憎きドコカノン王国に自分たちの計画がことごとく邪魔されるのがそんなに気にくわなかったの?

 まだ牽制した後に煽ってすらいないんですけど?


「いや……それは……」

「なぜ認め石の家紋を確認してもいないのにそんなことはないと言い切れるのですか?」

「だからそれは……」

「待て戦爵、その者は愛国心が強くてな。我が帝国の人間がそのようなことをするはずがないと思ってのことだろう」

「いえいえ、認め石を見て家紋を確認するだけだというのに見る前から否定するのは後ろ暗いことがあるからでしょう? 工作を命じた者に認め石を持たせていなかったのだからそんなものあるはずがないと、そう言っているとしか思えませんが?」


 向き直ってハインリヒと真っ直ぐにらみ合う。

 外交なんていちゃもんの付け合いだ。

 アビゲイルの言葉は表に出せないので証拠は提示できないが、完全に黒な帝国だからいちゃもんとも言い切れないか?

 まぁ、本来の証拠とは違う形のいちゃもんで証拠の代わりにしてやれば、こっちはそれを証拠だと言い切ってやればいい。


「貴公は我が帝国と戦争をしたいのかね?」

「したいのはそっちだろ?」


 さぁ、どうするんだい皇帝陛下?

 睨むようにこちらを見てくるハインリヒにこちらは不敵な笑みを持って返してやる。


「これはなんとも……言いがかりも甚だしい。我が帝国は平和を望んでいるのだよ」

「平和を望む者は大陸統一なんていう多くの血が流れる野望は持たないんではないですかね?」

「帝国による大陸統一はこの大陸を本来の正しい形に戻すために必要なことだ。帝国の名の下に民は平和を享受する。それがこの大陸の正しい姿だ。それを望むのは間違っていないだろう?」


 これを本気で言っているとしたら馬鹿だとしか思えないな。

 少なくとも帝国が大陸を統一していたなんて記録はドコカノン王国には存在しないし、他の国でも鼻で笑うような戯れ言だ。

 国土は広くても上が馬鹿なせいで国力は他の国とどっこいどっこいがいいところなのに「本当ならおいらたちは大陸の覇者なのだぁ」(笑)ってお前……


「寝言は寝ながら言うんだな」

「き、貴様っ!」

「ありえない話というしかないが、万が一……いや、0に限りなく近い可能性で、帝国が大陸を統一していた事実があったとしようだ。だが、今はそんな帝国の統一時代とはまったく違う大陸に複数の国家がある形に何百年も前からなっている。それを何百年、何千年も昔の状態に戻すことに何の意味があるんだ? 無駄な血を流してまで形を崩そうとしている奴らが平和を望んでいるとか言っても寝言だとしか思えねえよ」


 帝国って本当に馬鹿だな。

 あれだろ?

 帝国はもともと大陸を統一していた巨大国家であり、現在の帝国はその時代に優等民として栄えていた人間の子孫なので、他の国の人間は皆自分たちよりも劣った存在だとか教育してるんだろ?

 これって選民思想って言っていいのかね? 端で聞いていると阿呆すぎて笑えるんだけど?

 自分たちは優れているから大陸を統一するって本気で信じてるんだとしたら恥ずかしくならないのかね?


「貴公は帝国を馬鹿にしているのか!?」

「うん」

「…………は?」

「いや、だからイエスだって」


 馬鹿にしてるよ?

 内心でそう思うだけじゃなくて、はっきり言葉にしてるじゃん。


「戦争だ! 我がルファート帝国はドコカノン王国に宣戦を布告する! 偉大なる帝国を虚仮にされて黙っていられるものか!」

「はい了解。開戦はいつにします? 7日後くらいで構いませんか?」


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