表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水に取られた ー零れる刻限ー (改訂版)  作者: 大西さん
第四章 五十年、待っていた男
PR
20/30

第20話 町ぐるみの共犯

俺の調査は、次第に家族を不幸のどん底に突き落としていった。 「また、亮介のことか」 妻は、俺が夜な夜な机に向かっている姿を見て、そう冷たく言った。


「もう、やめてくれ。この町で生きていくんだ。田辺さんとこのことは、触れないのが一番だ」


息子は、俺の調査のせいで学校でいじめに遭い、友達がいなくなった。


「なんで、僕の友達は、みんないなくなっちゃうんだよ!」


息子が泣きながらそう叫んだ時も、俺はただ黙って、地図に赤い線を引いていた。 俺の執念は、次第に呪いへと変わっていった。俺自身が、呪いの一部になってしまったのだ。


俺は、村人たちに話を聞き回った。だが、誰もが口を閉ざす。


「昔もそうだったわ。あの家の娘が十八になる年は、決まって梅雨が長引くんだって」


「可哀想にねえ。でも、それが町の平穏のためなら……仕方ないのかしらね」


酒屋の店主、老いた漁師、近所の老人。皆が、同じことを言う。彼らは、田辺家の呪いを「町の平穏のため」に受け入れていた。


俺は、怒りで体が震えた。誰もが、弟の犠牲の上に成り立つ「平穏」を享受しながら、見て見ぬふりを続けている。この町ぐるみで、五十年もの間、秘密は守られてきたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ