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第20話 町ぐるみの共犯
俺の調査は、次第に家族を不幸のどん底に突き落としていった。 「また、亮介のことか」 妻は、俺が夜な夜な机に向かっている姿を見て、そう冷たく言った。
「もう、やめてくれ。この町で生きていくんだ。田辺さんとこのことは、触れないのが一番だ」
息子は、俺の調査のせいで学校でいじめに遭い、友達がいなくなった。
「なんで、僕の友達は、みんないなくなっちゃうんだよ!」
息子が泣きながらそう叫んだ時も、俺はただ黙って、地図に赤い線を引いていた。 俺の執念は、次第に呪いへと変わっていった。俺自身が、呪いの一部になってしまったのだ。
俺は、村人たちに話を聞き回った。だが、誰もが口を閉ざす。
「昔もそうだったわ。あの家の娘が十八になる年は、決まって梅雨が長引くんだって」
「可哀想にねえ。でも、それが町の平穏のためなら……仕方ないのかしらね」
酒屋の店主、老いた漁師、近所の老人。皆が、同じことを言う。彼らは、田辺家の呪いを「町の平穏のため」に受け入れていた。
俺は、怒りで体が震えた。誰もが、弟の犠牲の上に成り立つ「平穏」を享受しながら、見て見ぬふりを続けている。この町ぐるみで、五十年もの間、秘密は守られてきたのだ。




