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神に選ばれたので、好き勝手に生きます  作者: 櫻木サヱ
転生したので自由に生きます

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8/19

冒険者ギルド騒動

「上位種……!」


フィアの声は、

今までで一番緊張していた。


森の奥。


木々を揺らしながら、

“それ”が近づいてくる。


ドシン。


ドシン。


一歩ごとに地面が揺れた。


「お、おい……」


姿が見えた瞬間、

思わず声が漏れる。


デカい。


いや、

デカすぎる。


黒い毛皮。

鋭い牙。

赤黒い瞳。


狼。


だが、

普通の狼じゃない。


三メートルはある。


しかも周囲に、

黒い靄みたいな魔力が漂っていた。


《シャドウウルフ・ロード》


頭の中へ、

自然に情報が流れ込む。


《危険度:B級》

《群れの上位個体》

《高い知能を有する》


……なんで分かるんだ俺。


これも解析か?


フィアが低く呟く。


「最悪……」


「そんな強いのか?」


「B級魔物」


「へぇ」


「普通の冒険者パーティなら全滅」


「……」


へぇじゃなかった。


めちゃくちゃヤバいじゃん。


シャドウウルフ・ロードは、

こちらを睨みつける。


そして。


視線が止まった。


俺の右手。


紋章。


「……グルルルル」


低い唸り声。


明らかに警戒している。


「?」


なんだ?


その瞬間。


ロードが吠えた。


「ガアアアアアッ!!」


爆発的な速度。


デカいくせに速すぎる。


「っ!」


フィアが前へ出る。


剣閃。


だが。


ガキィィン!!


弾かれた。


「なっ!?」


フィアが後ろへ飛ばされる。


「フィア!」


「大丈夫!」


着地したフィアの顔が険しい。


「硬い……!」


ロードはニヤリと笑ったように見えた。


知能がある。


しかもかなり高い。


次の瞬間。


ロードの口元に黒い光が集まる。


「まずい!」


フィアが叫ぶ。


直後。


黒い閃光が放たれた。


ドゴォォォン!!


地面が爆発する。


「うおっ!?」


熱風。


衝撃。


普通に魔法まで使ってきた。


強すぎない?


ロードはさらに突っ込んでくる。


フィアが迎え撃つ。


剣と牙が激突。


火花。


速すぎて見えない。


でも。


押されてる。


フィアの方が不利だ。


「っ……!」


フィアが吹き飛ばされる。


地面を転がる。


「フィア!」


「来ないで!」


彼女は立ち上がる。


だが、

口元から血が流れていた。


かなりヤバい。


俺は右手を見る。


紋章が熱い。


使えば倒せる。


多分。


でも。


「……加減できる気がしねぇ」


またクレーター作りそう。


最悪、

フィアまで巻き込む。


迷ったその瞬間。


ロードがフィアへ飛びかかった。


速い。


間に合わない。


考えるより先に、

身体が動いていた。


「止まれ!!」


右手を突き出す。


瞬間。


空間が軋んだ。


ロードの動きが止まる。


完全停止。


「今だ!」


フィアが反応した。


銀閃。


剣が走る。


だが。


ガギィィン!!


弾かれた。


「硬っ!?」


ロードの首には、

浅い傷しかついていない。


その瞬間。


停止が解除された。


「ガァァァッ!!」


ロードが暴れる。


まずい。


近い!


咄嗟に、

俺はロードへ手を向けた。


頭の中で、

強くイメージする。


――吹き飛べ。


瞬間。


ドォォォン!!


見えない衝撃が炸裂した。


ロードの巨体が、

森の奥まで吹き飛ぶ。


木々が何本も倒れた。


「…………」


静寂。


フィアがゆっくり俺を見る。


赤い瞳が完全に引いていた。


「ユーマ」


「はい」


「本当に人間?」


失礼だな!?


だがその時。


森の奥から、

再び咆哮が響いた。


「グルァァァアアアアッ!!」


ロードが立ち上がる。


しかも。


さっきより魔力が増えていた。


周囲の空気が歪む。


《危険度上昇》

《暴走状態へ移行》


頭の中に情報が流れる。


「うわぁ……」


ゲームのボス第二形態みたいになった。


ロードの身体が膨れ上がる。


黒い魔力が渦を巻く。


フィアが青ざめた。


「逃げる」


「え?」


「今の私たちじゃ無理」


珍しく即決だった。


つまりそれくらい危険。


ロードが咆哮する。


空気が震える。


そして。


「……ん?」


突然、

俺の右手が強く光った。


紋章が脈打つ。


頭の中に、

新しい“理解”が流れ込む。


《権能解放:重力支配》


「……は?」


次の瞬間。


ロードの巨体が、

地面へ叩き潰された。


ドゴォォォォォンッ!!!!


「!?」


超重力。


地面が陥没する。


ロードが苦しそうに吠える。


動けない。


まるで、

山に押し潰されているみたいだった。


「え」


フィアが固まる。


俺も固まってる。



何これ。


怖。

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