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神に選ばれたので、好き勝手に生きます  作者: 櫻木サヱ
転生したので自由に生きます

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4/7

外れスキル判定

「高位魔法なんて初めて見た」


フィアは真顔だった。


その赤い瞳は、

驚いてはいるものの、

警戒より純粋な感心の色が強い。


……助かった。


神権ってバレたらヤバそうだし。


「え、えーっと……まあ、ちょっと特殊で」


「無詠唱であれほどの威力……」


フィアが倒れた魔狼を見る。


地面は大きく陥没していた。


普通に隠しきれてない。


「かなりの実力者?」


「いや全然」


「嘘」


即答だった。


「……」


フィアさん鋭すぎません?


彼女は剣についた血を払い、

静かに鞘へ収めた。


「でも助かった。ありがとう」


「お、おう」


少しだけ、

フィアの雰囲気が柔らかくなった気がした。


最初のピリピリ感が減っている。


まあ命助けたしな。


「行く」


「あ、うん」


再び森を歩き始める。


だが今度は、

フィアがちらちら俺を見るようになった。


なんか気まずい。


「あのさ」


「何?」


「高位魔法って珍しいの?」


俺が聞くと、

フィアは少し驚いた顔をした。


「……本当に何も知らないのね」


「まあ」


「魔法は才能が必要」


フィアは淡々と説明する。


「普通の人は初級魔法しか使えない」


火を出す。

水を出す。

風を起こす。


そういう簡単な魔法でも、

使えれば十分すごいらしい。


「中級以上を扱えるだけで優秀。高位魔法は国に数人レベル」


「へぇ……」


じゃあ俺、

かなりヤバいことしてるのでは?


いや、

“高位魔法レベル”ならまだマシか。


神権そのものを見られてないだけ助かった。


「ユーマは魔導師?」


「いや、よく分からん」


「……?」


フィアが怪訝そうな顔をする。


そりゃそうだ。


自分でもよく分かってない。


そんな会話をしながら歩いていると、

森の景色が少しずつ変わり始めた。


木々が減り、

道らしきものが見えてくる。


そして。


「おお……!」


思わず声が漏れた。


巨大な石壁。


門。


その周囲を行き交う人々。


完全にファンタジー世界の街だった。


「ここが、ラウルの街」


フィアが言う。


門の前には兵士らしき男たちが立っていた。


鎧。

槍。

剣。


マジで異世界だ。


テンション上がる。


「すげぇ……」


「田舎街だけど」


いや十分すごい。


屋台まである。


獣人っぽい人もいる。


耳!!

尻尾!!


異世界感が強すぎる。


門番がこちらを見る。


「お、フィアじゃねぇか」


知り合いらしい。


門番のおっさんは笑いながら近づいてきた。


「また森に行ってたのか?」


「依頼帰り」


「相変わらず無茶するなぁ」


そこで、

おっさんの視線が俺へ向く。


「そっちの兄ちゃんは?」


「あー……」


どう説明しよう。


するとフィアが先に答えた。


「森で倒れてた」


「は?」


「記憶が曖昧らしい」


え。


フィアさん?


勝手に設定盛った?


だが、

門番は妙に納得した顔になった。


「魔物に襲われたか?」


「多分そんな感じ」


フィア、

めちゃくちゃ自然に話を合わせてくれる。


助かる。


「災難だったなぁ」


門番は俺を見て苦笑した。


「まあ、ラウルはそこまで悪い街じゃねぇ。ゆっくりするといい」


「あ、どうも」


そのまま、

俺たちは街の中へ入った。


石畳の道。


並ぶ店。


行き交う人々。


パンの匂い。

肉を焼く匂い。


子供たちの笑い声。


完全に異世界RPG。


「うわぁ……」


「田舎者みたい」


フィアが少し呆れた顔をする。


「いやだって異世――」


危ない。


言いかけた。


「異世?」


「異世界レベルで驚いたって意味」


「……変な言葉」


ごまかせたか?


フィアは少し不思議そうだったが、

深く追及はしてこなかった。


助かった……。


その時。


ぐぅぅぅぅ……。


腹が鳴った。


めちゃくちゃ大きな音だった。


「……」


「……」


フィアがこちらを見る。


死ぬほど気まずい。


そういえば、

最後に飯食ったのいつだ?


事故の前か。


つまりかなり空腹だ。


フィアは少し黙った後、

小さくため息を吐いた。


「お金は?」


「ない」


「……でしょうね」


彼女は頭を押さえる。


なんか申し訳ない。


「とりあえず宿」


「え?」


「そのまま野宿させると死にそう」


そんなに?


でも確かに、

今の俺って完全に無一文なんだよな。


異世界生活、

開始数時間で詰みかけてる。


フィアは歩き出す。


「来て」


「いいのか?」


「助けてもらった借り」


そう言いながらも、

どこか呆れた顔だった。


数分後。


到着したのは、

木造の大きな建物だった。


看板には、

剣と盾のマーク。


「冒険者ギルド」


おお。


テンプレ来た。


中へ入る。


途端に、

騒がしい空気が押し寄せた。


酒。

笑い声。

怒鳴り声。


武器を持った男たち。


受付嬢。


完全に冒険者ギルドだ。


テンション上がる。


「おい、フィアだ」


「また依頼帰りか?」


「相変わらず美人だなぁ」


周囲がざわつく。


どうやらフィアは有名らしい。


でも彼女は慣れているのか、

完全スルーだった。


受付へ向かう。


受付嬢が笑顔を浮かべた。


「おかえりなさい、フィアさん」


「依頼達成」


「確認しますね」


その間、

俺は周囲をキョロキョロ見ていた。


壁には大量の紙。


依頼書か。


魔物討伐。

薬草採取。

護衛依頼。


ゲームそのままだ。


すげぇ。


すると。


「……誰だ?」


低い声。


振り向くと、

大柄な男が立っていた。


筋肉の塊みたいな男。


斧を背負っている。


いかにも荒くれ冒険者。


「フィア、お前の連れか?」


「そう」


「へぇ?」


男が俺を見る。


値踏みするみたいな視線。


なんか嫌な感じだ。


「随分弱そうじゃねぇか」


「……」


「新人か?」


まあ実際、

今の俺って見た目普通の高校生だしな。


フィアは面倒そうに答える。


「事情持ち」


「ふーん」


男はニヤニヤ笑った。


そして。


「ならスキル判定はまだか?」


「スキル判定?」


俺が聞くと、

男が笑った。


「なんだ、そんなことも知らねぇのか」


完全に田舎者扱いだ。


「この世界じゃ十五になると“スキル”が発現する」


男は自分の胸を叩いた。


「俺のスキルは《怪力》だ」


筋肉自慢みたいだな。


「スキル次第で人生決まる。強けりゃ英雄、弱けりゃゴミ」


随分シビアだ。


「で、ギルドには判定水晶ってのがある」


男はニヤリと笑う。


「試してみるか?」

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