暴走魔物討伐戦
「あなた、“神の力”を持っていますね?」
鉱山内が静まり返った。
……終わった。
完全にバレた。
俺は引きつった笑みを浮かべる。
「いやぁ、何のことだか」
「誤魔化し下手」
フィアのツッコミが鋭い。
神殿の少女は、
じっと俺を見ていた。
青い瞳が真剣すぎる。
逃げられる気がしない。
「普通の魔法ではありません」
少女は静かに言う。
「空間停止。
超重力。
異常解析能力」
全部言われた。
フルコンボだ。
「しかも、あの守護者は神聖術すら侵食していました」
少女の表情が険しくなる。
「通常の人間では対抗不可能です」
ギルドマスターが腕を組む。
「つまり?」
少女はゆっくり答えた。
「神格干渉系統」
なんかすごい単語出た。
冒険者たちもざわつく。
「神格……?」
「なんだそりゃ」
少女は視線を俺へ向けたまま続ける。
「伝承級です」
空気が凍った。
伝承級。
多分、
この世界でかなりヤバい言葉なんだろう。
ギルドマスターですら眉をひそめている。
俺は冷や汗を流した。
やめて。
目立ちたくない。
その時。
ゴゴゴゴゴ……!!
突然、
鉱山全体が揺れた。
「!?」
天井から岩が落ちる。
奥から、
不気味な咆哮が響いた。
「まだいるのか!?」
フィアが剣を構える。
《解析》が警告を表示する。
《超高濃度魔力反応》
《汚染領域 拡大中》
え。
まだ終わってない?
次の瞬間。
床が砕けた。
ドガァァァァン!!
巨大な腕が、
地中から突き出される。
「うおっ!?」
冒険者たちが後退する。
地面が崩れる。
そして。
“それ”が姿を現した。
巨大。
異常。
黒い肉塊。
何本もの腕。
全身に赤い目。
見てるだけで吐き気がする。
《汚染融合体》
《危険度:A+》
「A+!?」
なんでどんどん強くなるんだよ!?
融合体は咆哮した。
「■■■■■■■■■!!」
衝撃波。
鉱山の壁が砕ける。
冒険者たちが吹き飛ばされた。
「ぐあっ!?」
「っ……!」
フィアも踏ん張るので精一杯だ。
少女――神殿の子も顔をしかめる。
「まずい……!」
融合体の周囲から、
黒い靄が溢れ出す。
それに触れた岩が、
ドロドロに溶けた。
毒!?
《解析》が即反応。
《超高濃度汚染》
《接触危険》
ヤバすぎる。
ギルドマスターが叫ぶ。
「撤退だ!!」
だが。
融合体の腕が振り下ろされた。
ドゴォォォォン!!
出口付近が崩壊する。
「なっ……!」
道を塞がれた。
完全に閉じ込められた。
空気が凍る。
冒険者たちの顔から血の気が引いた。
融合体はゆっくりこちらへ近づいてくる。
まるで、
獲物を楽しむみたいに。
「……ユーマ」
フィアが低く呟く。
赤い瞳がこちらを見る。
「倒せる?」
「え」
いきなり!?
いやでも。
多分。
やろうと思えばできる。
問題は。
「加減が分からん」
また鉱山ごと吹き飛ばしそう。
すると神殿の少女が、
静かに俺の前へ立った。
「……なら、私が制御を補助します」
「へ?」
「あなたの力は出力が異常です」
少女は真っ直ぐ俺を見る。
「ですが制御が未熟」
ぐうの音も出ない。
少女は右手を胸へ当てる。
「私はセリア」
初めて名前聞いた。
「神殿所属、第二位神官候補です」
なんかすごそう。
セリアは静かに言った。
「力を合わせましょう」
その瞬間。
融合体が咆哮した。
無数の腕が、
一斉に襲いかかってくる。
「来るぞ!!」
ギルドマスターが叫ぶ。
戦闘が再開した。




