第二部 第62話 夢の続きをⅠ①
数日休みをもらったあと。エリーシア国の王宮に全員集合したよ。
エイリア姫の御両親も戻ってきていた。亡命? どっかに隠れてたんだっけ?
エリーシア首都にはなんだかんだ言って、初めて来るね。大人ぶる必要が無くなったせいかな? エイリア姫と側近双子がはしゃいでいたよ。
姫様は例のクリスタル結晶から出られて、今は完全に愛依さんと分離した。
それから一週間は、各国の王族とかが宮殿に来て、毎日立食パーティーだった。
色んな人にお礼を言われたよ。そこの王子様との婚約の申し出もあった。
私たちラポルト勢、というか紘国の女の子は、そういう話に弱い。‥‥だって、あっちに戻れば苦労するのわかってるんだもん。
でもまあさすがに踏み止まったよ。そもそも私たちのボディって生長補綴体っていう借り物のカラダだし。
そんな日々がしばらく続いたころ。
「でもそろそろ帰りたいね」
ぬっくんがそう、言いだした。
クーデターが起こっていたエリーシア王国。
今はアトミス国の陰謀だったってバレて、犯人は捕まり。
だいぶ落ち着いたけどね。
そこに居候する私たち。エイリア姫も最初はよく一緒にお茶飲んだりしたけど、だんだん忙しくなってきちゃった。なんでも王位を継承するって。亡命していたお父様、現国王が今回あんまり存在感を発揮できなかったし、そもそも不甲斐なくクーデターを招いてしまったから。
それよりは、ラポルト16と一緒に魔王と戦ったエイリア姫のほうに、国民の人気が集まっちゃってるらしいって。
でもそこは政治家で、代替わりまでは時間をかけてちゃんと姫を教育するし、取りあえず「エイリア姫への王位継承の準備に入った」って言っとけば国民は納得するだろう、と。
「ふふ。まだ私も世間知らずですし、『今王位継承をちゃんとやってるので待ってね』と適時発信すれば、遅いと怒る国民はそんなにはいないはずです」
だってさ。やっぱり、こういう王族の人って、中々にしたたかなんだろうね。そうでなければやってけないんだろうけど。
あ、一回ミナトゥ村のぬっくんハウスにも行ったよ。各村々にも。お世話になったお礼をしに行ったんだけど、やっぱり魔王討伐をめちゃくちゃ感謝されて、逆にお礼を言われた。
あ、お礼廻りと言えば。
カミヒラマの附属中三人娘は時間かかったね~。ずっとあっちにいて、昨日ようやく戻って来た。やっぱり三人とも軍事顧問として組織に入ってたから、その引き継ぎをちゃんとやってきたんだって。でも帰り際に「勝利の三女神よ! 行かないでくれ!」と言われたとか何とか。うは~~、モテモテだあ~~。
そう言えば泉さんも、ずっと王都にある自分のお店に行ったきりだね。確か年下イケメン君を従業員にしてたんだっけ。冗談だけど「泉さん帰ってくるかな? 来なかったりして~? きゃ~~!?」が、最近のラポルト女子のトピックスだよ。
まあ、泉さん精神年齢高いから、年下が守備範囲なのはわかる気がするよ‥‥。
精神年齢、と、言えば。前々から気になっていたことが。
「ああ、私ですか? エリーシア王立騎士魔法学園卒ですが?」
「秋さんてやっぱり、もう中学卒業してるんでしょう‥‥?」
「いえいえ。高等部もです。もう二年も前ですよ」
「‥‥‥‥はい? 高等部? じゃあ、今は‥‥‥‥」
「21歳です。今年誕生日が来て22ですね」
「‥‥‥‥ってことは? ‥‥‥‥当然、春さん‥‥も?」
「‥‥そうですが? ‥‥一卵性双生児の双子ですから」
「‥‥‥‥‥‥‥‥っ(思考停止)」
これは事件だ!
「‥‥‥‥ちょっと待って! ちょっと!! みんな来て~~!! 秋さん21歳だって!!」
「「え? ええ~~!?!?」」
「マジっスか!?」
「だ、騙したの?」
「待ってみんな。理由を聞こうよ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥そうですか。姉は‥‥みなさんに年齢を明かしていませんでしたか‥‥」
「あ、秋さん、別に今さらいいからね? 私たち怒ってないし。でも驚いた!」
「姉はそれでも融通が利かず実直です。‥‥例えば出身学校などの書類には‥‥?」
「でもやっぱり、周防中学二年生に転校、ってだけだよ?」
「‥‥‥‥。秋さんはコーラ姫と『王立学園高等部卒』って話してた‥‥。グラロス王宮で」
「あ~~ゆず、アンタ知ってたんだ~~?」
「‥‥‥‥。うん」
「あはは~~。先に誰か知ってたら、『仲谷さんって高卒なの? じゃ今何歳?』ってさ、『ふれあい体験乗艦』中にゼッタイなってたゼ☆」
「ある意味スゴイ。21歳の人が中学生に混じってたんだ?」
「そりゃ、ガチで二十歳オーバーじゃ、そのまま精神年齢高かったし。泉さんと気が合うワケだよ」
「確かクズリュー村の時だ。あの時『食糧支援どうするか?』とかで、あの子恋を論破したそうだしな。納得」
「皆様申し訳ございません。姉は、任務の性質上言えなかったと思います」
「いいよ~。全然気にしてない。みんなもいいよね?」
「「そりゃそうさ~」」
「‥‥‥‥ありがとうございます。姉も言っていました。『本当に良い人たちとめぐり逢えた』、『かけがえのない仲間』だと」
「あ~しら、そんな風に思われてたんだ」
「うはぁ! ちなみなんか照れるぅ」
そんなほのぼのエピソードがある中で、王宮にお客さんが来た。
***
「‥‥‥‥その節は、大変ご迷惑をおかけ致しました」
アトミス国の王位継承権を失った、ゼノス王子、正確にはその彼と入れ替わったツヌ国のゼノス氏だった。私は「二度と私たちの前に現れないで」って言ったんだけど?
どうしても愛依さんにひと言詫びたいと、王宮の門を叩いたそう。
会見には、愛依さんの他に、ぬっくん、私、あと国王や騎士団長も同席した。
ふたりっきりで会わせるわけないじゃん。ダメだよ?
曰く、グラッセンで愛依さんを拉致した時は、ツヌ国ゼノス氏はゼノス王子の強い影響下にあって、自由な言動はほとんど出来なかったらしい。それを詫びに来たと。
「本当に、済まないことをした」
すっと頭を下げたゼノス氏‥‥‥‥あれ? 前と雰囲気違う?
頭を上げたゼノス氏は、まっすぐな目をしていた。前の印象は無かった。
あれ? 愛依さんが瞳をうるうるさせている。大丈夫? もしかゼノス氏(誠実)がストライクなの? って一瞬思ったけど、服の下でぬっくんの「右手」がしっかり彼女の手を握っていた。
うん。これならよし。
ちゃんと捕まえてるんだよ? ぬっくん。
「向こうの世界で。俺があの村、ハシリューに潜入していた、理由を話そう」
※ 作者注 「人物紹介Ⅲ」の記述の伏線回収です。あの回に仕込まれた重要情報は、実はひとつでは無かった! ( ˘ω˘ )




