指揮する龍将
「何だ!?」
ハボックへの尋問の途中、地鳴りが数回続けて起きた。
何が起きたか理解するのに、そう時間はかからなかった。
「どうやら……ハボック龍将を問い詰めている場合じゃなくなったようですね……。私は先に外へ出ます」
フレニアルが席を立ち、早々に部屋から出ていった。
こういう時のフレニアルの動きは早い。
若さ故か、決断力と行動力は三龍将トップだ。
「敵襲……と考えるのが妥当のようですな」
「指揮を取らねばなるまい。あなたの尋問は対処し終えた後とする」
「構いません」
続いて敵襲を知らせる鐘が鳴り響いた。
この鐘が鳴ったのは、私が龍将になってから初めてだ。
聞きたくはなかったものだが……。
私もフレニアルに続き、急ぎ部屋の外へと出た。
宿舎がバタついている。
新世大隊の兵達が慌てたように廊下を走り回っていた。
「落ち着け! 落ち着くんだ! 全ての人員は宿舎前にて集合! これを伝えて回れ!」
「り、了解!」
数人の兵が私の指令を伝達して回った。
今は人員を確保し、部隊を整えることが先決だ。
彼らはこういう場合の時に集められた傭兵達。
国軍は各大隊長を主軸として、五天羅が指揮を執るが、国王直属の兵の立場にある彼らは我々が指揮を執らねばならない。
フレニアルは指揮を執るよりも、その実力を買われて三龍将にまで上り詰めた。
前線に出てもらった方がありがたい。
ハボックも魔導級魔法が撃てる貴重な戦力だ。
とりあえずは国王の元へ向かってもらい、状況に応じて私と立ち位置を代わってもらう。
「お父さん!」
「フェリス! 宿舎に来ていたのか」
外へ出ようとしたところへ、フェリスが丁度向かいから走ってきた。
魔族のアイラも一緒だ。
それに彼女が抱えているのは…………国滅ぼし……?
「こちらにヤシロ君が来ませんでしたか!?」
「ヤシロ君? いや、見ていない。それよりも国滅ぼしはどうしたんだ? 何で気を失ってる?」
「ちょっと話せば長いわけで……」
「まぁ今はそれはいい。今は敵襲のことについてだ。国滅ぼしが動けないのであれば、戦力減は間違いない。その分はフェリス、お前に担ってもらうぞ」
「ええ、任せて下さい」
私の自慢の出来る娘。
とうに戦闘では敵わなくなっているほどに実力がある。
私が変に指示するよりも、フェリス自身で考えて動いてもらった方がいいだろう。
「フェリス、常に油断することなく戦いに臨むんだ。分かっていることだとは思うが、父親らしいことも言わせてくれ」
「もちろんです。私はお父さんのことも尊敬していますから」
……泣かせるいいことを言ってくれるじゃないか。
父親冥利に尽きるってものだ。
「アイラさん、国滅ぼしが何故気絶しているのかは分からないが、彼女はこの国において貴重な戦力だ。無事がないように頼めるかい?」
「元よりそのつもりです。この人はヤシロにとっても大事な人なんです。きっと…………私よりも……」
先ほどの面接の時でも知り合いのような話し方をしていたが…………っと、今はそのことを考えている場合ではない。
「それでは頼んだぞ。私もこれより新世大隊の指揮を執る。武力大国に攻め込む事の愚かさを魔族に教えてやる」




