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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 ミラージュ王国編

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闇魔法について

 出入りが自由になった俺達は、新世大隊の宿舎へと向かうことにした。


 国滅ぼしの少女を探して真相を確かめる。


 それが一番の目的だ。


 宿舎へと向かう途中、タイミングのいいことにフェリスと出会った。

 フェリスはいくつか書類を抱えており、足元が見えていないようだった。


「ヤシロ、フェリスさんの手伝いしてあげようよ」

「そうだな。おーい、フェリスさん」


 俺の声かけに反応して、フェリスが身体ごとこちらへ向けた。


「はい……ってヤシロ君とアイラちゃん? どうしたのこんなところで」

「そういえばフェリスさんは昨日いなかったから話してないんですよね」

「ごめんなさい。昨日は仕事が忙しくて家に帰れなかったのよ」

「俺とアイラ、新世大隊に入ることになりましたので」


 バサバサっとフェリスが危うく書類を落としそうになった。


 すかさず俺とアイラが支える。


「ご、ごめんなさい……って、えっ!? なんで!? あんなに入りたくなさそうだったのに」

「ゼルビア王国で俺と一緒にいた女の子覚えてますかね」

「シャイナに懐いてた赤髪の子だよね」

「はい。名前はシーラって言うんですけど、それが国滅ぼしの少女と特徴が似てるんですよ」

「…………あー。言われてみると確かに似てるかもね」


 フェリスが少し考えた後に答えた。


「でも赤髪の子って割といるし……」

「シーラが使う魔法も炎魔法なんですよ」

「炎魔法……。シーラって子も確か魔者なんだよね?」

「はい」

「そうすると無詠唱で炎魔法を使えてるって部分も一緒なわけだ……」


 さすがフェリスさん。

 理解力高いな。


「じゃあ奇跡的に出会えたってことだよね? 良かったねヤシロ君!」

「それが感動の再会というわけにもいかなくてですね……」

「どういうこと?」


 俺はこれまでの経緯をフェリスに話した。

 出会い頭に攻撃されたこと。

 ハボックの発言の意図。


 結果的に今もなお、彼女が本当にシーラかどうか確認が取れていないこと。


「なるほどね……。もし彼女がシーラさんだとしたら、ハボック龍将の言うことは少し気になるわね……」

「ですよね? 俺のことを煽るつもりで言ったんでしょうか……」

「いえ。もしもハボックの言っていることが本当だとするなら、彼女が記憶喪失にでもなっていない限り、ハボック龍将がとんでもないことをしていることになるわ」

「とんでもないこと……ですか?」

「ええ……。意図的に他人の記憶に蓋をして操る…………。これは禁術とされている、闇魔法に該当するのよ」


 や……闇魔法……?


 魔法にはそんなものまであるのかよ……。


 ……いや、確か最初にガルムも言っていたな。

 世の中の魔法は生産魔法と非生産魔法に分かれて、非生産魔法には光魔法や闇魔法が存在するって……。


「そうするとシーラは今、闇魔法にかけられていると……?」

「確証はないわ。でも私も闇魔法を勉強したことがあるから、理論は知ってる。でもあの魔法は理論を理解出来たからといって使えるものじゃない。人の心を傷つけても抵抗がない人しか使えないのよ」

「……私の村で闇魔法を使える人はいなかったかな」


 アイラの故郷であるシルヴァード族は魔法に精通している種族だ。

 それでも使える人がいないというのは、それだけ習得が難しいのか、それとも意図的に使用していなかったのか。


「私ももちろん使えない。というより、使えたとしても人類全体で禁止されているの。『裏』のような世界では分からないけど、少なくとも『連合国』に属してる国では禁止されてる。それを軍のトップであるハボック龍将が…………?」


フェリスは〝確かに良くない噂は昔からあったけど……〟とも小さな声で呟いた。


「闇魔法自体にはどんな効果があるんですか?」

「一つは強制型闇魔法。相手の意思を問わず、一方的に闇魔法をかけて操るやり方ね。相手の精神の弱さによって掛かり具合が違うから、場合によってはかからない場合もあるの」

「強制型か……」


 イメージとしては、心の弱っている人を自分の奴隷人形とするやり方か……。

 だけど自分の意思で弾くことができるということは、それほど使い勝手が良いわけじゃなさそうだ。


「そしてもう一つが任意型闇魔法。闇魔法でもこっちがかなり厄介ね。強制型とは違って、任意型は相手が決まった文言を言わないと発動しない仕組みなのよ」

「自分で言わないと発動しないのなら、強制型よりもマシなんじゃないですか?」

「……任意型の恐ろしいところは、かけられた本人が闇魔法にかけられていることに気が付かないのよ。本人は自分の意思で動いているつもりでも、実は術者の命令通りに動かされていたり……」


 それは…………確かに厄介だ。

 任意型の闇魔法にかけられた人が、術者によって知り合いを殺すように仕向けられたとしても、それは自分の意思だと思ってしまうわけか。


「ちょっと反則過ぎますね……。解除方法とかはあるんですか?」

「可能性としては4通りかな。①光魔法を使用する②術者が自ら解除する③術者が死ぬ④かけられた人が自ら打ち破る」

「意外とパターンはあるんですね」

「でも基本的には強制型に対する解除方法なの。任意型は期間が長ければ長いほど、意識改変が行われて術者のことを最も大事な人だと誤認識してしまうから…………」


 ……なんだって?


 ……ということは、シーラがもし任意型の闇魔法をハボックにかけられていたとしたら、彼女の中から俺の存在が消えて、ハボックを主人だと認識するということ……か?


「…………マジかよ」

「彼女がこの国に来たのは約1ヶ月前……。任意型の闇魔法だとしたら……危険ね」

「くそ!!」


 俺は新世大隊の宿舎に向けて走り出した。


 誰が闇魔法にかけられてるなんて思うかよ!

 こんなところで…………俺達の思い出を消されてなるもんか!


「ヤシロ君! 彼女は修練場で見かけたよ!」

「分かりました! アイラは後から来てくれ!」

「うん!」


 全力で城内を駆け抜けた。

 人が多くいた廊下は壁を走り抜けた。

 みんなこちらを見て驚いていたけど、それどころじゃない。


 1秒でも早く、修練場へ!!

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