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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 ミラージュ王国編

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入隊審査 前編

 次の日、俺とアイラは直接城へと赴いた。

 事前にドットに手渡されていた入城証を門兵に見せる。


 門兵は昨日と違う人だったため、帽子で耳を隠しているアイラを特に疑うこともなく、すんなり入ることができた。


 指定された場所は、新世大隊の宿舎の隣にある縦に長方形の建物。


 ここは入隊希望者の面接を行うところだと聞いた。

 今日、俺達を審査するのは星宝三龍将の3人。


 言わずもがなドットは俺達を推薦する立場にあるので、2対3の面接というよりも、3対2の形になるだろう。


 ハボックはもちろん否定派になると思うが、もう一人の星宝三龍将フレニアルは変わっている人らしく、どちらに転ぶかは分からないそうだ。

 というよりも、そもそも興味がないかもしれないとのこと。


「緊張するね」

「そう? まぁ基本的にはドットさんに任せよう」


 俺とアイラは面接会場と書かれている扉の前までやってきた。


 来るように指示された時間の5分前だ。

 5分前行動が当たり前だよね。


 俺がノックしようとしたと同時に扉が開いた。


「おっ……と、ヤシロ君アイラさん。待っていたよ。中に入ってくれ」


 向こうもちょうど外へ出ようとしていたのか、ドットが中へと案内した。


 部屋の中は大きめの円形のテーブルがあり、まるで三角形になるように席があった。

 既に二人が座っている。


 一人は黒色のローブを着て歳を取っている男、ハボック。

 もう一人がトレンチコートのような服を着て、その中心に二本の線が入っている、まだ若いであろう女性。

 中央の二本の線は俺の世界で言うギリシャ数字みたいな線だ。

 この人が多分フレニアルと呼ばれていたもう一人の星宝三龍将の人だろう。


 若いと言っても二人に比べてという意味で、見た目は30代ぐらいの年齢だ。

 それでも軍のトップに座しているのだから、いかに実力主義の国なのかが分かる。


「揃ったようですな」

「ああ。ヤシロ君、アイラ君。ここの席に座ってくれ」


 指示されたのはドットの少し後ろに置いてある二つの席。

 見て分かる通り、ドットが先頭に立って俺達の部隊入り推薦を行うということだろう。


「さて、それでは始めよう。議題は、私が推薦するヤシロミナトとアーネスト・イライザ・シルヴァード・シュールレの二人を新世大隊に入れることについてだが」


 たった一回の自己紹介でアイラのフルネームも覚えてたんか。

 凄いなこの人。


「恐らく二人とも、ヤシロミナトについては入隊を拒む理由はないだろう。既に話した通り、この前の部隊見学における摸擬試合においてヤシロは、シェラヘザードを赤子同然に扱い、倒している。それだけで大隊長以上の実力があることは証明済だ」


 ドットの言葉にハボックは頷き、フレニアルは眠そうに欠伸をした。


「そのためここで行われる議論の主な理由はもう一人、名前を少し略させてもらうが…………アイラについてだろう」

「間違いないですな。先に言っておきますが、私は魔者が部隊に入ることには反対です」


 アイラはここに入る前に帽子を取っているため、青色の髪に猫耳が露わになっている。

 魔者であることは今さら知られていることだけど、帽子を被らず、魔者であることを隠していないとアピールする目的もあったわけだけど、初手からハボックは否定意見を言ってきた。


 意味なかったな。


「新世大隊は国王直属の部隊、つまりは国王のふところがたなです。その中に討伐すべき魔族を入れるというのは、本末転倒では?」


 言ってることは間違っちゃいない。

 そもそも俺以外に魔者と仲良くしている人を、まだ見たことがない。

 リスクが高いと考えるのが普通だろう。


「しかしだなハボック。本来新世大隊とは、今までの軍備だけでは戦力的に足らないが故に〝新しく世界に対応することを目的として作られた部隊〟だ。強者であれば来るもの拒まずのはずじゃないのか」


「だからと言って魔者を入れていい理由にはなりませんな。その魔者が裏切り、国王が危険に晒される場合のことをドット殿は考えておられますかな?」


「彼女はヤシロの知り合いだ。信用できる」


「そもそもヤシロさんの事を私はあまり知りません。それで信用しろというほうが無理な話では?」


 ドットの今の発言はちょっと悪手だ。

 そりゃ信じてもらえるわけがない。

 あんな事があった後だしな。


 俺もハボックの事を信じろと言われても無理だ。


「簡単な話じゃないですか。ヤシロ君は入隊許可。そちらの魔者は無理ということで」

「そうはいかない。ヤシロはアイラが入らなければ入隊しないと言っている。二人セットでだ」


 そう。

 俺一人だけ入ることなら簡単だ。

 でもそれじゃあ意味が無い。

 シーラを探すためにアイラをおざなりにしては意味が無いんだ。


「なるほどそう来ましたか…………」


 ハボックは少し考えるように目を瞑った。


 フレニアルも目を瞑っている。

 考えているのだろうか。


 …………いや、あれ寝てるな。


 寝てるよあれ。


 トップとしてどうなのよそれは。


「…………ではどちらも却下ですな」


 ハボックが下した答えはNOだった。


「バカな! 彼は大隊長、いや、五天羅以上の実力を持っているのかもしれないのだぞ! 彼女だって魔者ということを考えれば、魔法に長けているのは間違いない! その二人を捨て置くだと!?」


「ドット殿、我々が考慮しなければいけないのは実力よりも国王の安全です。国王が危険に晒されば、それは国が脅かされるのと同義」


「現在、魔王イズナに加え、『裏』による侵攻も行われているのは貴方も分かっているだろう! 国を守れなければ、結果的に国王の身だけでなく、民の命も危なくなるんだぞ!」


 どちらの言い分も間違ってはいない。

 かたや国のトップの命を。

 かたや民を含めた国全体の命を。


 このままだと、この議論は平行線だ。


「何と言おうが、私は魔者が部隊に入ることには反対です」


 ハボックの意見は頑なだ。

 これを瓦解させるためには…………。

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