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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 ミラージュ王国編

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『裏』の行動

 ドット・グリゼルが帰って来たのは、既に日が落ち切った頃だった。

 とても疲れた様相で、部下数名と一緒だった。

 ちなみにフェリスはまだ帰ってきていない。


「ふぅ……。帰ったぞー」

「お帰りなさい。ヤシロさんとアイラさんが来ていますよ」

「本当か? 今行こう」


 そんな会話が聞こえた数十秒後、ドットが部屋に顔を出した。


「お邪魔しています」

「しています」

「おお、どうしたんだ? 新世大隊に入ってくれる気になったのか?」


 なんてな、とドットが冗談めかして笑った。


「そんな昨日今日で変わるわけが……」

「そのまさかですよ」

「………………何?」


 ドットの表情が真面目なものに変わった。


「こちらとしては有難いが……一体どうしたんだ?」

「ちょっと調べたいことがありまして。そのためには新世大隊に入ることが一番の近道なんです」

「調べたいことか……。それが何か聞いても?」

「国滅ぼしの少女についてです」

「彼女か……」


 ウリエルと呼ばれている彼女。

 彼女がもしシーラであるなら、何故俺のことを攻撃したのか。

 どうしてハボックの言いなりになっているのか。

 これを明らかにしなければならない。


 そしてアイツを取り戻す。


「アイラも一緒に部隊に入れたいのですが、大丈夫ですか?」

「ん? ああ、魔者であることに反発する奴もいると思うが、何とか説き伏せてみせよう」

「ハボック……龍将などは魔者が部隊に入ることに反対しないのですか?」

「いや、するだろう。というよりも、一番反発するのは奴だ」


 やっぱりか……。

 そんな感じはしていた。

 アイラに対する態度から、魔族排斥主義だろうと思っていたよ。


 でもアイツを説き伏せるためには、こちらもそれなりの準備をしないとダメだろう。

 言っちゃ悪いけど、ドットだけでハボックを納得させることは難しいと思う。


「じゃあ俺も直接ハボック龍将のところで話をさせてください」

「それは構わないが……嫌な思いをするかもしれないぞ?」

「向こうにやられてばかりでは釈ですから」

「そうか……。では明日、話に行くとしよう」

「お願いします」


 これで約束は取り付けた。

 後はどうやって魔者であるアイラを、国王直属の部隊である新世大隊に入る正当性を説くことができるかだな。


「ドットさん、今日は朝から何かあったんですか?」


 アイラが聞いた。


「ああ。実は『裏』の連中の活動が活発になってきたという情報が流れてきてな。今日は朝からそれの対応に追われていた。フェリスが帰ってきていないのも、それが理由だろう」


『裏』か……。

 ガルム達がいる、人類に敵対する人類達のことだな。

 これまではアクエリア大陸にいる魔王を2人討伐するという、とても人類に敵対しているようには見えなかったけど……。

 その内の一体は俺やアイラも手伝ったしな。


「あまり『裏』が悪い奴らには思えないんですよね」

「今までは明らかに敵という認識だが……ここ最近は私も分からなくなっている。それというのも、行方不明とされていた2代目勇者であるガルム様が生きていて、『裏』に属していると発表があったからな」


 ガルム達は魔王ジェイドロードを討伐した後に、自身が『裏』で生きていることを世界に知らせた。

 恐らく、その影響が徐々に出始めているんだ。


「アクエリア大陸にいた、二人の魔王をガルム様含めた『裏』の人間が討伐したのも大きい。そのせいで、我々の軍の中からも除隊して『裏』へと関わる奴らが増えてきている。もはや『裏』は暗躍する集団ではなく、一つの勢力として数えなければならない」

「ガルムがいることで、『裏』の方向性も変わったのでは?」

「2代目勇者を呼び捨てとは……」

「あっ、これは失礼」


 そうか。

 あんなチャランポランでも、勇者として世界で慕われてるのか。

 気を付けないとな。


「いや、ガルム様の活躍は君が産まれる前のことだろうからな、いまいちピンと来ないのも仕方あるまい」

「そんなに凄かったんですか?」

「そりゃあもちろんだ。私がまだ交駆隊の大隊長だったころの話だが、次々と魔族の侵略地を取り返していく話は我々の毎日の生きる希望だった。ガルム様だけでなく、その仲間達も凄かった」


 ガルムの仲間か。

 そう言えば、仲間の話をガルムから直接聞いたことがないな。

 自身の口から話さないということは、もう死んでしまったり……。


「まぁそれはそれとして、ガルム様がどういう経緯で『裏』にいるかは分からないが、それだけで方向性が変わるとは思えないな。奴らは世界中にいて、根強い」

「そういうものですか……」

「でもヤシロ、師匠やアヤメちゃんとかが人を傷付けるところなんて想像できないよ……」


 アイラがこっそりと俺に耳打ちした。


 確かに俺もそう思う。

 だけどあの人達も、自分の目的のために集まっていると言っていた。

 その目的を達成するためならば、鬼にもなるのかもしれない。


「ご存知かもしれませんが、『裏』にいるのは2代目勇者だけじゃないですよね」

「もちろん知っている。《拳闘獅子》に《空ノ神》、《刀匠》や元星宝三龍将である《剣聖》もいることはな」


 えっ。

 《剣聖》って元々ここの国出身だったの。

 知らなかった。


「ネームバリューからしても、世界で名を馳せている人達ばかりだ。知らない方がおかしい」


 やっぱりあそこにいた人達は有名人ばかりだったわけだ。

 魔王相手に生き残る人達だから凄えとは思ってたけど。


 だけど他の人や、《刀匠》が死んでしまっているということは知らないんだな。


「その『裏』がどういう動きを?」

「魔族との国境付近にある、我々ミラージュ王国の属国を襲撃しているという話だ。そこにも我々の軍は常駐しているが、敵の中に赤色の鎧を着た魔族が混じっているという」

「魔族ですか……」

「魔王イズナは、戦闘員は全て魔人しか使わないため、協力しているとすれば魔王ベルファイアだろう。二人の魔王がいなくなって新たに進出してきた魔王だな」


 魔王ベルファイアと言えば、ローズフィリップの城にやってきた奴らを思い出す。

 奴らは青色の鎧を身につけていたが、それとは別の奴らだろうか。


「そいつらが中々手強いということでな、国が苦戦を強いられているということで、増援を送ったんだ。本国からでは間に合わないが、近場の国からならば間に合うだろう」

「恐らくその魔族達…………かなり強敵だと思いますよ」

「だろうな……。本来であれば五天羅の誰かが行くべきではあるが、遠すぎるのが問題だ。まぁ何とか抑えられるだろう」


 抑え……られるのか?

 嫌な予感がするけど……。


「 そういう事情があるわけだからな、ヤシロ君やアイラさんのような人材が少しでも欲しいというわけだ。なんとしてでもハボックを言い負かせてみせよう」

「お願いします」


 こうして俺達は明日に備えて宿へ帰ることになった。

 どのようにしてアイラを新世大隊へ入れる口実を作るか。


 既に考えてはいる。

 後はいかに相手を動かしてこちらの話に持ち込むかだ。

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