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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 ミラージュ王国編

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別行動

 次の日、俺とアイラは別行動を取ることになった。

 理由は情報収集。

 二手に分かれて特別許可証が貰える方法を探し出すのだ。


 発案者はアイラ。


 個人的にはアイラを一人にはしたくなかった。

 彼女の水魔法の操作は、《魔女》と《創造クリエイター》のおかげで卓越しているが、それでもどちらかといえばやはり防御寄りの魔法になる。

 いざという時には身を守れない可能性がある。


 なによりも彼女は魔族だ。


 身バレすれば、誰よりも問題になりやすい。

 俺が側にいればなんやかんやでウヤムヤにしてやれる自信はあるけど、彼女自身はそれほどコミュニケーション能力が高いわけではない。


 元々は村でハブられていたのだ。

 知識はあっても、その場で機転を利かせるのは難しいだろう。


 だから俺は最初反対したのだが、それでもアイラは自分の意見を曲げなかった。


「私だっていつまでもヤシロにおんぶに抱っこじゃないんだよ? シルヴァード族として、一人で情報収集ぐらいできるよ」


 そう言って、無い胸を叩いたアイラ。


 別に俺は言葉的にも物理的にもおんぶに抱っこでも構わないのだが…………元々アイラもプライドが高い種族だ。

 さすがにこれでは納得がいかないのだろう。


 最終的には俺が折れた。


 ただ、もしどうしようもなく困った時は天空に水を打ち上げるように言っておいた。

 すぐに向かうと。


 何事も保険というものは必要だ。

 あるに越したことはない。


 そんなこんなで、俺とアイラは初めて会ってから初めて個人行動を取ることになった。


 アンダーグラウンドにいた時も個別行動はあったけど、個人行動は初めてだ。

 まぁ、一人でフラつくというのも悪くはない。


 何よりミラージュ王国は、軍事国家と称されているが文化的な面でも優れている。

 国の中を回るように川が流れ、観光用のボート? のようなものに乗って人が流れていってる。


 急斜になっているわけでもないのに、まるで流れるプールのように水が流れているのは、どういうわけだろう。


 これだけ水が流れてるならコケなんかも生えてそうな気がするけど、常にどこも真っ白に純白な壁が続いてる。

 手入れが行き届いているのか、はたまたそういう種類の壁なのか。


 とにかく汚れという汚れが見当たらない。


 若干不自然に思うところがあったが、子供が転び、持っていた食べ物が壁にべチャリと付着するところを現認した。

 すると、どこからか水が人を縫うように飛んできて、壁に付いていた汚れを削ぎ落とした。


 恐らくは魔法だ。


 威力からいっても初級魔法。

 ただ、人を縫うように操作する技術は凄い。

 きっと掃除専門の人がこの国にはいるのだろう。

 そりゃ綺麗なわけだよ。



 そしてやはり軍人は多い。

 目に付かない時がない。

 どこかしらには鎧を着た兵士が立っていた。


 鎧に数字の3が書かれていることから、第3交駆隊と呼ばれる部隊なのだろう。


 重い鎧を着てずっと立っているのもしんどいだろうに。

 ご苦労様です。


 ちなみに交戦駆動隊の数字は、別に若い番号ほど優秀だとか、そういうことはないらしい。

 単純に部隊を番号で分けただけになると、フェリスが言っていた。


 数年ごとに別の国に派遣される部隊が変わるようで、長い間同じ土地に留まることはないようだ。

 理由は分からないけど、俺よりも頭の良い人達が考えているのだから、何か意図があるのだろう。


 気付けば、また国の中心の方に来ていた。

 露店がいくつかあるが、先程までいたところよりも数は少ない。


 その内の一つで、見たことがある人が買い物をしていた。

 昨日、新世大隊で一番最初に俺達に声をかけてきた人だ。

 そこそこ歳を取っていそうな人。


 俺はその人に近づいて声を掛けた。


「こんにちは。昨日ぶりですね」

「ん……? おお! 君か! こんなところで奇遇だなぁ。どうしたんだい? やはり部隊に入ることにしたのか?」


 男の人は爽やかな笑顔を向けながら握手を求めてきた。


「いえいえ……。偶然見かけたものですから」


 その握手に俺も答えつつ、やんわりと断りを入れた。


「残念だ……。シェラヘザードを子供扱いする実力、まだまだ君の底が知れないよ」

「まだまだ修行中です」

「自己紹介が遅れたね。私はバーティゴ・フォルラン。みんなからはティガと呼ばれてる」

「八代湊と言います。ヤシロで大丈夫です」


 バーティゴという名前を少し略してティガね、了解。


「ヤシロはこんなところで何をしていたんだ?」

「大陸を渡航するために特別許可証をもらいに来たんですが、見事に跳ね返されまして……」

「特別許可証……? 普通に渡航する分にはいらないはずじゃないか?」

「ちょっと複雑でして……。魔者を一人運びたいんですよ」


 あくまでアイラの事は隠して。

 まるで物を運ぶかのような言い方をしてごまかす。


「魔者か……。なるほど、最近ミラージュ王国とその他属国で規制をかけているという話だったな」

「そうなんですよ……。しかも、この国じゃA級討伐者の身分も意味がないと言われましたし……」

「ほう! ヤシロはA級討伐者なのか! 道理で強いわけだ! 何を隠そう、私も元々討伐者だったのだよ」

「そうなんですか?」

「B級止まりだったがね。討伐隊としてはA級だったが、限界を感じたために新世大隊に入ったのだ」


 意外と討伐者から流れた人が多いのかな、新世大隊は。

 だけど見た感じ、魔族と渡り合えそうだったのは、仮面をつけた女の子だけのように見えた。


 下級魔人には勝てると言っていたが、魔王ローズフィリップを倒した後にやってきた魔者の軍団相手の場合、まず勝てないだろう。


 それだけの実力差が、人間と魔者ではあるのだ。


「ところで、ティガさんは何をしてたんですか?」

「ああ、ただの買い物だよ。私達の部隊は基本的にヒマだからね、訓練以外はこうやって外をぶらつくことも多いんだ」


 なにそれ羨ましい。

 実質ニートじゃないですか。


「良いなと思ったかい? なら入るべきだ。たまにある出動を除けば、過ごしやすいことは間違いないぞ?」


 本当にこの人はドットさんの手先じゃないだろうな?

 やたらと誘ってきよる。


「申し訳ないですけど、俺にはやらなきゃいけないことがあるので」

「そうか……残念だ。まぁ君との交流が無くなるわけじゃない。どうだ? この後一緒に飲みにでもーーー」


 ドンッッッ!!!


 突如として、何かが衝突し合うような音が響いた。

 ここからでも見える場所に白煙のようなものが上がる。


 場所はーーー城前か!


「な、なんだ!?」

「何か問題が起きたのかもしれませんね…………行きましょう!」

「そうだな!」


 俺とティガは城前に向けて走り出した。


 ここからはそう遠く離れてはいなかった。

 俺とティガはすぐに到着した。


「ハァ……ハァ……ハァ」


 人だかりが出来ている中、その中心地には二人の少女が向かい合い、片方の少女が息を切らしていた。


 1人は水色の髪で帽子を被って耳を隠している少女、アイラだ。

 そしてもう1人が…………仮面をつけてフードを被っている国滅ぼしの少女。


「なっ……!? 一体どういう状況だ!?」


 なんでこの2人が?

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