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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
魔王シルバースター編

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109/217

抵抗

「使徒を…………一人で倒したのか」

「あなたは一体何者ですか?」

「討伐者だよ、仇を取ろうとしていただけの」


 勇者でもなければヒーローでもない。

 誰かを助けることは出来ないのに、敵を討伐することはできる。

 そんな無様な討伐者です。


「助けてもらってすまない!」

「あれ?」

「あなた達が来なければ、私達も死んでいたでしょう」

「あれれ?」


 ………………そっか。

 間接的にこの2人を助けたことになるのか。

 敵を殺すことばかり考えてたから気が付かなかった。


「近づく人間を弾いていく様は何というか、アレだ。何だっけかな、お伽噺に出てくる神様に似ていた。確か…………『避雷神』だっけか」


 その話は割と有名なんかね。


 名前もモロパクったし。

 おかげ様で魔力がゴッソリ減ったわ。

 MAXの3分の1ぐらい?

 魔導級1発撃ったぐらい減った。


「俺達もそれなりに努力してきたつもりだった。一人で中級魔人を倒せなくても、徒党を組めば対抗できるってな。だが、それも圧倒的な個の前では無力だ……。大事な仲間を…………たくさん失った」


 その気持ちは分からないでもない。

 でもきっと、彼らの立場からしたらもっと深刻なことなんだろう。


「スプライト…………私がまだいます。苦しい時も、死ぬ時も、貴方の側で散りましょう。だからそんな顔をしないで……私を見てください」


 おっと、ここから離れたほうが良さそうだ。

 2人の世界に入るところなんて見てられない。


「行こうシーラ」

「いいの?」

「仇が取れればそれでいい。他の人と馴れ合いたくはないんだ」


 簡単に人が死ぬ世界であまり親密になると、いざという時に耐えられなくなる。

 それなら最初から知り合わない方がいい。


「少年、名前は?」


 その場を離れようとした時、スプライトが聞いてきた。


「八代湊」

「ヤシロミナト……。覚えとくよ避雷神」


 覚える名前変わってんじゃん……。

 まぁ二つ名はカッコいいとは思うけど。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 勇者グリムは斬り伏せた。

 決して集団戦が得意とは言えない彼だが、極められた剣技、無詠唱で放たれる魔法を駆使し、雑多ざった数多あまたな敵を斬っていく。


 透過魔法を使用し、自陣へと侵入してきた魔者により、一時は撹乱され散り散りとなった軍もジェラードの指揮を基に士気を取り戻し、今は体制を立て直している。

 姿の見えない敵はフェリス・グリゼルとアースが見極め、その指示にナイルゼン・ベールとシャイナ・モールテンが従い、叩いていく。


 もちろん軍の中にも魔法に精通しているものはおり、透過魔法を使っている魔者が見えるものは狙っていった。


 その結果、崩された中盤は再構築され、問題は前線から攻め立てるおびただしい数の魔人だが、これをグリムが単騎で持ち堪えている。


 魔王シルバースターは数を重視しているため、下級魔人の数は全魔王トップである反面、中級魔人、上級魔人の数はグッと減っている。

 故に下級魔人の群れの中に中級、上級といった魔人はおらず、グリムは1人でもそれなりに抑え込むことができている状況だった。


 皮肉なことに、個で勝るはずの魔族が数で勝負をした結果、個で圧倒される結果となっている。


「神剣流八の剣技『攻神火撃(こうじんかげき)』!」


 怒涛の攻めを止める様子はない。

 まるで後ろに目が付いているかのように、否、実際は360度全てを見渡している状況になる。


『勇者の証』の固有スキルによる『見えざる者以外(オールアンノウン)』を発動しているグリムは、100m以内にいる魔人がどの位置にいて、どんな攻撃をしようとしてくるのかが分かっている。


 ゆえに囲まれていようとも、全方位から攻撃をされようとも、それを対処できるだけのスキルと身体能力がある以上、下級魔人如きに遅れを取ることはない。


「『爆神ばくしん』!『神打しんうち』!『神羅しんら』!」


 神剣流の十ある剣技のオンパレード。

 通常は一対一を想定されたこの剣技を、多対一で活用することができるのはグリムぐらいのものである。


 しかし、確実に魔力は失っていく。

 日々の鍛錬により、激しい動きで疲れ果てるということはなくとも、魔力に関してはどうしようもない。

見えざる者以外(オールアンノウン)』は確実に魔力を消費していく。


 人間世界に魔力を回復させるようなアイテムは希少で、一人の魔法使いしか作成することごできない。

 故に失った魔力は体を休めない限り戻らない。


 それが恐らくは魔王の策略の一つであることもグリムは気付いてる。

 気付いていながらも、それを回避する策はグリム側にはない。

 否応なしに魔力は使わざるを得ないのだ。


 敵に最初の策で負けた時点で、グリム側が後手後手に回ってしまうのは致し方ないことである。


 出し惜しみはできない。



 フェリスが放った火の玉が空中で弾けた。

 これは攻撃ではなく、合図。

 前線の部隊が全て撤退した合図だ。


「来たか……! この一撃でこの戦いの流れを変えてやる……! 魔導級炎魔法…………『円神の涙エンブレイズ・ウェーブ』!」

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