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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
魔王シルバースター編

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110/217

陥落

 グリムを中心として、青い火炎がまるでマグマのように大波を作って波動状に広がる。


 魔導級の炎魔法は自身を中心として、一瞬で敵を蒸発させる炎を半径500mまで放つ、炎魔法最強の広範囲魔法である。


 周りにいる魔人を全て呑み込んでいくように、敵味方を問わずに火達磨にしていく。


 だが味方がいないのは把握済みだった。


 先程のフェリスの合図は味方が撤退した合図。

 『人動探知』によって味方の位置を確認したのだ。

 だからこそ魔導級の炎魔法を使用した。


 何千という下級魔人が一度に焼け死んでいく。

 戦争の戦況を大きく変える一手は、グリムの魔力を犠牲とし、確実に発揮された。


「これでもまだ……魔王シルバースターの手の内だとすれば、悔しいが今回の戦争は俺達の負けだ」


 グリムには『見えざる者以外(オールアンノウン)』を発動しておく魔力は残っていない。

 魔族の位置も分からなければ、奇襲を予測することもできない。


 万が一、さらに大量の魔人が控えていた場合、グリムにはそれを防ぐ術はない。

 撤退するのみだ。


「だが俺達は死んでいない。最後に勝利できればそれでいい。必ずシルバースターの喉元に、この剣を届かせる」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ミリ達は……この戦いから下りるね」


 ゼロ達の元へ戻ったころ、少しではあるがミリとボルザノクが立ち直っていた。


「ベイルが戦いの中心だったから、ベイルがいなくなったらミリとボルザノクだけじゃ戦えない」

「このままいても3人の足を引っ張るだけだ。だからここで引かせてもらうっす」


 2人がいても足を引っ張るなんてことはないと思うけど…………。

 索敵は凄い助かってたし。

 戦い専門じゃなければ…………って、問題はメンタル面の方か。


 ベイルが殺された以上、これ以上は戦う気になれないってことだろうね。


「2人がそう言うなら……」

「でもここから戻れるのか?」

「まぁ……上手いことやるっすよ」


 不安だなぁ。

 帰り際に魔者に出会ったら、今の2人じゃ戦えないぞ。


「…………俺が一番近い国まで送ろう」


 ゼロが言った。


 確かにゼロが付いていれば、そこらの魔者にも魔人にも負けはしない。

 安心安全間違い無しだ。


「でも悪いですよ……。ゼロさんがいなくなったらヤシロとシーラさんが……」


 何で俺だけ呼び捨てなんだよオイ。


「……私達なら大丈夫。そこらの敵には負けない」

「そうさ。たった今も使徒を倒して来たばかりだ」

「嘘付き。でもミリ達のためにそこまでしてもらっていいの?」


 嘘じゃないやい。

 ホントに倒したんだい。


「いいよ。というよりも、別れた後に2人が死んだなんてことのほうがよっぽど嫌だ。ゼロに送り届けてもらってよ」

「…………ありがとう!」


 とにかく、だ。

 ゼロがいなくとも俺とシーラで何とか戦えるというのはホントのことだ。


 使徒相手でも苦戦という苦戦はしなかった。

 つまり魔王以外で俺達は負けることはない。


 単純に考えてだけどね。


 もしも初見殺しみたいな技を使う相手がいたら無理だけど、単純な戦闘では負けない。


「ゼロ、頼んだよ」

「おう、任せろ」


 こうして俺とシーラだけが残った。

 現状、討伐隊のリーダーは壊滅状態で、最初の頃に派手に聞こえていた戦闘音も、今ではあまり聞こえない。


 どちらが優勢なのかいまいち分からない。


 ……………………待てよ。

 というかこのタイミングって、抜け出すのに最適なタイミングだった?


 ミリとボルザノクが帰るっていうのに便乗して、俺達も途中まで帰って、そこからシャッタード都市を目指せば良かったんじゃね?


 そうだよそうしよう!


 わざわざここに残る意味なんかもうないじゃん!


「ミナト、どうするの?」

「俺達もゼロについて行こう!」

「えっ、何で?」

「今が抜け出すチャンスなんだよ!」

「………………そっか」


 シーラも合点がいったように頷いた。

 理解が早くて助かるぜ。


「じゃあすぐにーーーーーー」

【あーあー、テステス、マイクテスト。聞こえとるか人間】


 突如、まるで町内放送かのように響いた声が聞こえてきた。

 スピーカーを通して話しているかのような、そんな声だ。


【そちらの声は聞こえんから、ワシが一方的に話すぞ。ワシはお主らが血眼になって探しておる、魔王シルバースターじゃ】


 ………………魔王?

 何で魔王の声が聞こえてくるんだ?

 どっかに放送室みたいなのがあったりする?


【魔力を流すと離れた位置からでも声を届けることができる、お主らも粋な発明をしよるわい。で、ワシが何を伝えたいかと言えば、端的に説明しよう。お主ら人間の世界で重要とされる国、『シャッタード都市』は既に陥落した。ワシは今、シャッタード都市の中におり、人間が発明した機械を使って声を届けている。そこにいもしないワシを求めて戦っているであろう人間達にな】


 ……待て待て待て。

 情報量が多すぎる。

 話しているコイツはこの戦いの討伐目標である魔王シルバースターで、コイツは今シャッタード都市にいる。

 そのシャッタード都市は既に陥落していて、魔王シルバースターが乗っ取っているってこと?


 何だそれ!?


【陥落したと言っても、ここにいた人間共も生きておるし、国自体もほぼ無事じゃ。無血開城と同じような感じじゃな。お主ら人間がドンパチやってる間にも、ワシは遥か昔からこの国を盗ることを考えておった。そして今日、遂にこの国はワシのモノとなった】


 シルバースターが見据えていたのは、この戦いに勝利することではなく、国を盗ること。

 それも世界3大国家と言われてる内の一つ。


 何だよコイツマジで!


【ヴィルモールが死んだ今、この国にあるものはワシらには作れん物ばかりじゃ。特にヴェイロンの国を半分消滅させた兵器……〝物体転移魔導砲〟には唆られた。人間約1万人の魔力を使って放たれるこの魔法兵器は世界を変えるものじゃ】


 転移……。

 魔王ヴェイロンの国は、消滅させたんじゃなくて、他の所に転移させたってことか?


 じゃあシーラがお母さんの誕生日プレゼントを買いに出掛けて、白い光に包まれたっていうのは…………シャッタード都市の魔法兵器のせいってこと?


【そして今、元々貯められていた魔力と合わせ、ワシや他の魔族の魔力を用いて再度〝物体転移魔導砲〟を放つことができるようになった。つまり…………ワシが何を言いたいのか、お主らには分かるか?】


 つまり……奴はこの場所一帯にも魔導砲を放つと?


 …………………………………ふざけんな!


【安心せい人間共、死ぬわけではない。他の地域に飛ばされるだけじゃ。良い旅をするんじゃな】

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