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中間テスト ˜”*°• 神楽 蓮 side•°*”˜

引き続き蓮視点です。

俺が昔の嫌なことを思い出していると、不意に周りの男子が騒がしいことに気づいた。


男子たちの視線の先には、亜麻色の髪の少女ーさっきまで考えていた白石柚葉がいた。

本人は自覚がないようだったが、白石柚葉は可愛く、男子から注目されている。


『チクッ』

胸が痛んだ。


チクッ?今、俺はどうして胸が痛んだ?


俺は、雑念を振り払うように首を軽く振り、白石を見た。


白石は、今から試験を受けるようだ。

俺は、監督者に一礼をしている白石をみる。


白石は的である人形に手のひらを向けるように構える。

『ファイアボール』


形のいい唇がそう詠唱する。


っ、それた!?


彼女の出した狐火が横にずれる。

その瞬間、白石の唇が若干緩んだ。


すると、さっきまで軌道がずれていたのが嘘のように、綺麗に弧を描いて人形のど真ん中に狐火が当たり、一瞬で人形が燃えた。


「すごっ!野狐なのにコントロールやば!」

「これまでで一番攻撃があたってから倒れるまでの時間が短かったんじゃない?」

「偶然当たりどころが良かっただけでしょ」


様々な声が聞こえる。


さすが妖狐の一族次期当主、白石柚葉。彼女は「わざと」詠唱した。

理由は、「そっちに意識を向けて欲しかった」からかな。

なるほど、策士だな。他のメンツは気づいてないみたいだけど、妖力の残像を解析したらわかる。

彼女は詠唱して狐火を出した後、無詠唱で風を出してコントロールしている。


柔なあやかしは、そもそも「無詠唱」と言うものができない。


無詠唱は、声に出して詠唱せずに妖力を使うこと。

イメージが取りにくいから、かなりの手練じゃないと使えない。


やっぱり、すごいな…… それに比べて、俺は……女たちはみんなみんな俺のことをすごいだのかっこいいだのすぐに言う。

そんなことなんかない。俺は……ただの弱くて最悪な人間なんだ。


また、気持ちがマイナスに落ちていく。

そして、そんな自分が嫌になる。


しっかり、しなきゃ……霊力のコントロールは術者のメンタルが忠実に反映される


そう思うのに、気持ちは全然上を向かない。

気持ちを出しても焦せるばかりだ。


その時


「大丈夫?顔色悪いけど…救護室行く?先生呼ぼうか?」


頭上から聞き覚えのある声がした。


ハッとして上を向くと、白石柚葉が心配そうにこちらを見ていた。


「だ、大丈夫……ありがとう。ちょっと考え事してただけだから……」

「本当? 無理しないでね」

「ああ、ありがとう」


そう答えて、無理やり微笑む。

彼女は心配そうな表情を浮かべながら、自分の並ぶべき列に戻るため、俺に背を向けた。


その時


「……!」


暖かい光が俺の心を満たした。

さっきの薄暗い思考が晴れるように、鮮やかになる。


これは…… 治癒魔法か。……暖かい。彼女はやっぱり心が綺麗で、美しいんだな……。


無理やり笑ったさっきとは違い、自然に微笑みが漏れる。


彼女の暖かさを武器に、俺は前を向いた。



◇◇◇



ついに、俺の順番がやってきた。


「キャー神楽様の番よ!」


今日も相変わらずうるさいなぁ。


そんなことを思いながら、耳の神経を閉ざし、体の中を流れる霊力の流れだけに集中する。


白石もわざと詠唱してたから……俺もするか。


この程度、俺も無詠唱で攻撃できるがそれだとつまらない。白石に合わせてみるのもまた一興だろう。


「『…急々如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)氷華』」


詠唱した瞬間、俺の手からまっすぐ人形に向かって、一寸の狂いもなく、氷の槍が飛び、気持ちいいほど人形の真ん中に刺さった。


その瞬間演習場が湧くが、無視を決め込む。


列に並ぶ時、白石柚葉と一瞬目があった。


俺たちはニヤッと笑い、気づかれない程度にそれぞれの健闘を称え合った。

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