違和感 ˜”*°• 白石 柚葉 side•°*”˜
昨日更新できなくてすみません!
休み時間、次の授業の準備を終えた私は、廊下へ出た。
すると、前方に見慣れた黒髪の少年が目に入った。
「あ、蓮くん!」
声をかけると、蓮は足を止め、こちらを振り向いた。
「……柚葉」
「今から移動?」
何気なく尋ねながら、彼の顔を見上げる。
「いや、ちょっと用事があってな」
「そっか!」
いつも通りに返事をした、そのとき。
ふと、蓮が私から目をそらした。
……あれ?
今、目が合ったと思ったんだけど。
不思議に思い、私は顔を蓮くんに近づける。
「どうしたの?」
「いや、柚葉がかわ……じゃなくて! 近い。お願いだから、離れて」
「あ、はい」
慌てて一歩下がる。
なんだろう。
今、蓮くん、何か言いかけなかった?
不思議に思って見つめていると、蓮くんは少し困ったように眉を寄せた。
「……何だよ」
「え? ううん、何でもない!」
もしかして、近づきすぎて嫌だったのかな?
そう思っていると、蓮くんが小さく息を吐いた。
「……じゃあ、俺は行くから」
「あ、うん! またね、蓮くん!」
そう言って手を振る。
蓮くんは軽く手を上げると、廊下の向こうへ歩いていった。
その背中を見送りながら、私は首を傾げる。
今日の蓮くん、なんだか変だ。
いつもなら、あんなふうに慌てたりしないのに。
「何かあったのかな……?」
ぽつりと呟いたところで、次の授業の開始を知らせる鐘が鳴った。
「あっ、いけない!」
私は慌てて教室へと戻った。
「であるから、ここはこの式を当てはめて〜」
授業中も、さっきの蓮くんとの会話が頭をよぎっていた。
あの時、何を言おうとしていたんだろう?
それに、「近い」と言った時の顔も、心なしか赤かったような……。
気のせいかな?
考えてみても、やっぱり答えは出てこない。
「白石、ここはどうなる?」
「えっ? あ、はい!」
突然名前を呼ばれ、慌てて顔を上げた。
しまった。先生の話、聞いてなかった……!
「えっと……」
黒板に目を向けるけれど、肝心の説明を聞き逃してしまったせいで、答えが分からない。
「……授業に集中するように」
「す、すみません」
先生に注意され、私は慌ててノートに視線を落とした。
もう、何を考えているのよ、私!
今は授業に集中しなきゃ。
そう自分に言い聞かせ、私は黒板を写し始めた。
やがて、授業の終わりを告げる鐘が鳴った。
「終わった〜!」
思わず伸びをする。
さっきまで考え事をしていたせいか、いつもより長く感じた気がする。
「柚葉ちゃん、次移動教室だよね? 行こっ」
鈴ちゃんに声をかけられ、私は慌ててノートを片づけた。
「うん!」
今度こそ、余計なことは考えないようにしよう。
そう思いながら教室を出ると、廊下の向こうに見慣れた姿があった。
またもや蓮くんだ。
「あ、蓮くん!」
思わず声をかける。
蓮くんは私に気づくと、こちらを振り向いた。
「ああ」
返事はいつも通り。
けれど、なんだか少しだけ、よそよそしい気がした。
「蓮くん、今日忙しいの?」
「いや、別に」
「そっか」
そこで会話が途切れた。
あれ?
いつもなら、もう少し話が続くのに。
蓮くんは何か言いたそうに一瞬こちらを見たけれど、すぐに視線をそらした。
「……じゃあ、俺は行くな」
「あ、うん。またね!」
蓮くんは軽く手を上げ、歩いていった。
私はその背中を見送りながら、首を傾げる。
やっぱり、今日の蓮くんは何か変だ。
でも、本人が何でもないと言うのなら、無理に聞くわけにもいかない。
私は首を傾げながら、次の教室へと向かった。
結局、その日一日、蓮くんの様子が気になって仕方がなかった。
読んでくださり、ありがとうございます!
蓮、落ち着け。
……いや、落ち着けないか。
好きな子を前にしたら、そりゃあね……?
でも、柚葉はまだ何も気づいていないんだよなぁ。
頑張れ、蓮!
それでは、また次回!




