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日常2

授業終了の鐘が鳴り、本日最後の授業が終わった。


私は、カバンに荷物をさっさとしまい、席を立つ。


「帰ろっか」

「うん!」


鈴ちゃんと一緒に教室を出ると、廊下の少し先に人だかりができていた。


何だろう?

気になった私は、野次馬根性でそちらに目を向ける。


……あ。


人だかりの中心にいたのは、蓮くんだった。

周りには何人かの女子生徒がいて、蓮くんに何か話しかけている。


「神楽くん、相変わらずすごい人気だね」


鈴ちゃんがそんなことを言う。


「そうね」


私は思わず蓮くんをじっと見つめてしまう。


少しだけ、なんとも言えないような気持ちになる。

なぜかは、分からないが。


ずっと見つめていると、蓮くんが困ったような表情をしていることが分かった。


珍しい。


私といる時は結構笑っている印象が強いから、なんだか新鮮だった。

そんなことを思いながらじっと見ていると、不意に蓮くんと目があった。


「柚葉!」


蓮くんは声に出さずに口の形でそう言い、唇を綻ばせる。

そして、周りの女子に何か告げると、私たちの方に近づいてきた。


「柚葉。猫宮さん。帰るところ?」

「うん」


私たちが頷くと、蓮くんはカバンを肩にかけ直して少しだけ微笑んだ。


「なら、俺も一緒に帰っていいか?」

「私は大丈夫だよ!」


鈴ちゃんがすぐに答え、私の方を向く。


「柚葉ちゃんもいいよね?」

「ええ。別に構わないわ」

「よかった」


そう言って、蓮くんは私たちと並んで寮へ歩き始めた。


私は大きく伸びをして、横を歩く二人を見る。


「今日の授業結構疲れたわね」

「そうか? 俺はそうでもないけどな」

「え〜? 私は結構疲れたよ?」


鈴ちゃんがそう言うと、蓮くんは小さく笑った。


「猫宮さんはいつも元気だろ」

「そうだけど、元気と体力は別なの!」


蓮くんと鈴ちゃんはそんなに話したことがなかったと思ったけれど、打ち解けているみたいでよかった。


そこで、ふと今日の昼ごはんのことを思い出した。


「そういえば、水瀬くん、食べるのすっごく早かったね」

「うんうん。私たちが半分ぐらいしか食べてないのにもう食べ終わってたもんね」

「そうだな。あいつはいつもあんな感じだ」


やっぱりあれは通常運転らしい。


「しかも、一時間後にはもう腹減ったって言ってたぞ」


お腹減るの早くない?

胃袋がどうなっているのか見てみたい。


「それにしても、蓮くんってあんまり食べないんだね。もっといっぱい食べるのかと思ってた」

「でも、水瀬くんの半分くらいしか食べてなかったじゃない」

「あいつと比べるなよ」

「それはそうね」


会話が小気味よく進み、鈴ちゃんがクスクスと笑う。


「でも、蓮くんって何でもできるから、食事もいっぱい食べると思ってた!」

「何だそれ」


蓮くんが苦笑する。


「じゃあ、蓮くんは好きな食べ物とかあるの?」

「好きな食べ物か……」


蓮くんは少し考え、言った。


「団子かな。特に餡団子」


餡団子……。

思ったより甘いもの食べるんだぁ。

なんか意外。


「蓮くん、甘いの好きなんだ! なんか意外」


私がそう言うと、蓮くんは苦笑した。


「意外か? 柚葉の好きな食べ物はなんだ?」

「うーん」


私は少し考える。

その時、頭にフッと浮かんできたのは栗だった。


神楽家で食べた栗ご飯がとても美味しかった。

それに、今日の昼食で食べた栗きんとんも美味しかった。


「栗かな。甘くて美味しいし」

「そうか」


そう言うと、蓮くんはクスッと笑った。


「鈴ちゃんは? 好きな食べ物なに?」

「んー。全部好きだけど、強いて言うなら梨かな」


梨か……。なんか似合う。


そんなこんなで、寮の玄関についた。


「それじゃあ蓮くん、また明日ね」

「おう。柚葉、猫宮さん。また明日」

「うん。また明日〜! 柚葉ちゃん、行こっ!」


玄関の前で蓮くんと別れ、鈴ちゃんと一緒に女子寮に入った。



部屋に着くと、鈴ちゃんは自分のベッドに勢いよく飛び込む。

それに苦笑しながら、私は机にカバンを置いた。


今日は、蓮くんと話す機会が多かったなぁ。


朝も廊下で見かけたし、お昼も一緒に食べた。

それに、帰り道も一緒だった。


なんだか、今日はいつもより蓮くんと一緒にいた気がする。

そう思うと、少しだけ嬉しくなった。


けれど。


「……あ」


ふと、あることを思い出した。

そういえば、手紙って……。


神楽家に行った時、清隆さんは何か分かったら手紙を送ると言っていた。

あれから、まだ何の連絡もない。


……いや。

まだ今日一日しか経っていないんだから、来ていなくてもおかしくはない。


そう思いながらも、なぜか胸の奥がざわついた。

もし、何か分かったのだとしたら。


それは一体、何だったのだろう。

私はなんとなく机の上を見つめた。


……なにか、嫌な予感がする。

なにかを見落としているような。


「柚葉ちゃん?」

「え?」


振り返ると、ベッドから起き上がった鈴ちゃんがこちらを見ていた。


「どうしたの? そろそろ夕食行くよ?」

「あ……うん」


私は小さく頷いた。


「今、行くわ」


そう言って、私は鈴ちゃんと一緒に部屋を出た。

最近インフルエンザが流行ってきましたね……

皆様、体調にはお気をつけをー!

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