↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
63/95

暗躍

階段を降りきった先には、薄暗い石造りの通路が続いていた。


地下とは思えないほど広い。


けれど、そこには妙な静けさがあった。


足音すら吸い込まれてしまいそうな、不気味な静けさ。


私たちは周囲を警戒しながら、ゆっくりと歩を進める。


すると――。


「……誰かいる」


あやかしの、人よりも強い聴力が人の声を拾った。


その声は、今歩いている通路の先にある、重そうな鉄製の扉の中から聞こえてきた。

その扉は少し開いており、中から微弱だが、灯りが漏れている。


「蓮くん」

「ああ、そっと聞き耳を立てよう」


私たちはできる限り声の大きさを落とし、物音を立てないようそっと扉に近寄る。


扉に近づくにつれ、話し声がより鮮明に聞こえるようになった。


私は、開いた扉の片方の影に身を潜め、耳を押し当てる。

蓮くんはその反対側の扉の影に、私と同じように身を潜め、扉に耳を当てた。


「これが……大妖の核か」


そう言う男の声が聞こえる。


だいようのかく?


何のことだろうか。


頭の中に疑問符を何個も浮かべながら、少しでも情報を得ようと私はより一層集中して話し声を聞く。


続いて女の声が聞こえてくる。


「ええ。これさえ手に入れば、逢坂様の計画は――」


『逢坂様の計画』――。


その『逢坂様』とやらがどこの誰かは知らないが、この妖魔襲来や黒い小箱は十中八九そいつの計画だろう。


私はその後も聞き耳を立てるが、防音効果のある結界でも張られているのか、何を喋っているのかを聞き取ることはできなかった。


私は、いつ踏み込む? と、空いた扉の反対側にいる蓮くんに視線を投げかける。


蓮くんは私の視線に気づくと、こちらを一瞥した。


そして、人差し指を唇に当てる。


――まだだ。


そういう意味だろう。


私は小さく頷いた。


もう一度、扉の向こうへ意識を集中させる。

すると、先ほどよりもはっきりと男の声が聞こえてきた。


「……もうすぐだ。結界さえ完全に消えれば――」

「ふふっ。これでようやく、あの方も……そして憎たらしいあいつも……!」


やはり何かを企んでいる。

私は握った拳に力を込めた。


相手が何人いるのかも分からない。


どれほどの力を持っているのかも分からない。


それでも、ここで引き返すという選択肢は取りたくない。


演習場では、今も仲間たちが妖魔と戦っている。

その混乱を利用して、この地下へ侵入した者たちがいる。


なら、私たちがここで止める。

それしかない。


私はゆっくりと息を吸った。

怖くない、と言えば嘘になる。


それでも――。


そっと隣に視線を移す。


そこには、静かに扉を見つめる蓮くんがいる。

不思議と、それで少しだけ心が落ち着いた。


一人じゃない。

それだけで、十分だ。


だから今は――待つ。


相手の動きを見極めながら、少しでも多くの情報を集めるんだ。

そう思った私は、再び扉の向こうへ意識を集中させた。


そのとき、ふと別の疑問が頭をよぎった。


それは、さっきからずっと気になっていること。


地下室への入り口――つまり、資料庫の中にあったあの扉の前に張ってあったあの結界。

あれは、すごく強固で、ものすごい量の妖力を込めて作ってあった。


それを壊すには、込められた妖力以上の力が必要になる。

少なくとも、あやかしのトップである私のお母様くらいの力はないといけない。


というか、お母様の妖力をもっても破れるか怪しいぐらいだ。


しかし、部屋の中にいる2人の霊力は、その力には遠く及ばない。


果たしてどうやってあの結界を破ったのか。


私はその疑問を頭の中で何度も繰り返す。


もしかすると、あの二人にはまだ何か隠している力があるのかもしれない。

そう考えると、ますます迂闊には動けない。


私は隣にいる蓮くんへ、ちらりと視線を向けた。


蓮くんもまた、扉の向こうを警戒しながら、じっと耳を澄ませている。


どうやら、まだ動くつもりはないらしい。

私も再び扉へ視線を戻した。


――そして、しばらくして。


蓮くんが、もう一度こちらを見た。

今度は、ほんの少しだけ頷く。


――行くぞ。


私も静かに頷き返した。


私たちは同時に、少し開いている扉の縁(ふち)に手をかける。


そして――。


バンッ!!


勢いよく扉を開け放った。


「なっ!?」

「誰だ!」


扉の向こうにいた男女が、驚いたようにこちらを振り返る。


「……!」


私はすぐさま身構えた。


部屋の中には、私と蓮くん以外に二人。

どちらもよく知っている顔ではない。


……否。


正確には、顔を知っている。

学園で何度か見かけたことはある。


でも、話したことはない。

そんな程度の認識だ。


「お前たち……何をしている?」


蓮くんが鋭い声で問いかける。


二人は答えず、ただこちらを睨みつけていた。


私は二人の足元へ視線を落とす。


そこには、見覚えのある黒い霊具が置かれていた。


「……それ」


胸の奥がざわつく。

昨夜、私たちが探し出した黒い小箱。


まさか――。


「あなたたちが、あれを……?」


私がそう問いかけると、女が口元を吊り上げた。


「あら。思ったより早かったわねぇ」

「……っ!」


その一言で、私の中にあった疑念が一気に形を持った。


間違いない。


この二人は今回の事件に関係している。


でも――。


誰かに命令されている?


さっき聞こえた「逢坂様」という名前。

そして、目の前にある黒い霊具。


まだ分からないことだらけだ。


だからこそ、ここで逃がすわけにはいかない。


「……全部、話してもらうから」


私は妖力を手のひらへ集め、男女に向かってかざした。

今日からシルバーウィークですね!

皆様は何か予定ありますか?

私は特に予定がないので、のんびり過ごそうかな〜と思ってます(笑)

せっかくのお休みなので、皆様もゆっくり休んでくださいね!

では、また次回ー!

adiós!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。