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襲来2

読んでくださり、本当にありがとうございます!

「だとしたら、奴らの本命は……防備の手薄になった『別の場所』だ」


別の、場所……。


蓮くんのその言葉を受け、私は頭を必死で回転させる。


なぜ、わざわざ学園中に黒い小箱を仕掛けた?

なぜ、今日になって妖魔を大量に呼び寄せた?


そして――なぜ、妖魔たちは私たちを倒すことよりも、演習場で暴れ続けることを優先している?


私は、これまでにあったこと、違和感を覚えたことをを一つずつ思い出していった。


黒い小箱。


妖魔を引き寄せる、あの不気味な霊具。


昨夜、私たちが見つけたものだけでも九つ。


それも、学園のあちこちにわざわざ隠されていた。


ただ妖魔を呼び寄せるだけなら、こんなにも手の込んだことをする必要はない。


どうしてだ?


それに――。


昨夜、黒い小箱を調べた時に感じた、あの妙に精密な霊力の術式。


あれは、ただ妖魔を呼ぶためだけの術式じゃなかった。


何か別の目的がある。

でも、それが何なのか分からない。


私はさらに記憶を掘り返す。


今日――今まさに起こっている妖魔襲来。


小型の妖魔たちは結界に何度もぶつかっていた。

大型の妖魔も、私たちを執拗に狙うわけではなく、演習場のあちこちで暴れていた。


まるで――。


誰かに「ここで暴れろ」と命じられているみたいに。


「……そうか」


思わず、声が漏れた。


妖魔を呼び寄せ、生徒や教師を襲わせることが目的じゃない。


妖魔を使って、この学園で「何かを起こす」ことが目的なんだ。


じゃあ、その騒ぎによって――誰の目を、どこから逸らしたい?


私はハッと顔を上げた。


演習場でこれだけの騒ぎを起こせば、みんなの意識は当然ここに向く。

なら、その間に誰も見ていない場所があるはず。


学園の中で、普段から立ち入りが制限されていて、生徒がほとんど近づかない場所。


それは、どこだ?


思い出せ。


これまでの出来事の中に、何かヒントが隠れているはずだ……!

私は必死に記憶を掘り返した。


そして――ふと、一つの場所が頭に浮かんだ。


校舎の裏手。


普段、生徒がほとんど近づくことのない、古びた石造りの建物。


学園ができた当初から残されている、古い資料庫だ。


その建物の前には、いつも警備員が立っている。


そういえば、あの奥には地下へ続く階段があるんだった。


それに――以前先輩から聞いたことがある。


あの地下には、学園の設立時から封印されている「貴重な何か」が保管されている、と。


「……待って」


私は息を呑んだ。

昨日見つけた黒い小箱。


あれは、学園のあちこちに仕掛けられていた。

もし、あの小箱が単に妖魔を呼び寄せるためだけのものじゃなく――。


「……もしかして、地下への道を開くために、使われている?」


黒い小箱を設置した場所。

そこから妖魔を引き寄せる。


そして今日、妖魔を一斉に呼び寄せた。


学園中の人たちの意識を演習場へ向けさせるために。

その間に、普段なら警備員がいる地下への入り口を狙う。


点と点が、少しずつ繋がっていく。


「……地下室」


ポツリと呟いた私に、蓮くんが反応する。


「地下?」

「うん。校舎の裏にある、古い資料庫。あそこには地下へ続く階段がある。普段は警備員が立っていて、生徒は近づけない場所……」


私はぎゅっと拳を握りしめた。


「でも、今は妖魔が襲ってきてる。警備員だって、いつまでもそこに立ってはいられない」


蓮くんの目が鋭くなる。


「……つまり、そこが『防備の手薄になった別の場所』か」

「うん。それに地下といえば……あそこには学園の設立時から封印されている『貴重な何か』が保管されてるって、先輩から聞いたことがあるの!」


妖魔で演習場を混乱させ、戦力をこちらに向けさせる。


その隙に、地下への入り口を狙う。


そして、地下にある「貴重な何か」を奪う。


もし私の考えが正しいなら――これが、敵の本当の狙いだ。


「狙いは地下だ! 蓮くん、行こう!」

「ああ、決まりだな」


私と蓮くんは頷きあい、桜庭先輩と水瀬くんたちにその場を任せ、演習場の入り口へ向かって走り出した。


演習場を出て、校舎の裏手へと続く道を駆け抜ける。


演習場から離れるにつれ、歓声や衝撃音が少しずつ遠のいていく。


代わりに、どこからともなく不気味で重苦しい霊気が漂ってきた。


「柚葉。もし俺たちの予想があってた場合、もう地下への入り口に張られた結界は破られているだろう」

「そうだね。ここから油断は命取りになる。真剣に行こう」

「ああ」


やがて、校舎の裏手にひっそりと佇む資料庫が見えてきた。


私たちは足を止め、重厚な扉をゆっくりと開く。


ギィ……。


扉の軋む音が、静まり返った室内に響いた。


扉の向こうから、冷たい霊気が流れ出してくる。

さっきまでとは比べものにならない。


私は思わず息を呑んだ。


音を立てないよう慎重に資料庫の奥へ進む。


すると――。


開け放たれた扉が見えてきた。

その先には、地下へと続く階段が伸びている。


しかも……。


「結界、破られてるね」

「ああ。やはり間違いないな」


私たちは扉の前に残された、大きな穴のあいた結界を見つめる。


「いくか」

「うん」


私たちは暗い階段へと足を踏み出す。


一段、また一段。


地下へ近づくほど、肌にまとわりつく霊気が濃くなっていく。

私は無意識に、手のひらへ妖力を集めるのだった。

最近、好きなアーティストの曲を聴きながら作業するのにハマってます。

音楽を聴きながらだと、なぜか作業がちょっとだけ捗る気がするんですよね。(о´∀`о)

皆様の好きな曲やアーティストさんは誰ですか?

ぜひ教えてください! 聞いてみます!

では、また次回ー!

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