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襲来

祝 10万字突破╰(*´︶`*)╯♡

読んでくださりありがとうございます♪


「1、2年生の皆さんは安全な場所に避難してください! 3年生は避難誘導をお願いします!」


霊力によって拡張された蓮くんの声が演習場に響きわたる。


蓮くんの声を聞き、突然の妖魔襲来に戸惑っていた先生たちも動き出し、生徒たちに指示を出し始めた。


演習場の観覧席から人が減っていく。


それを横目で見ながら、妖魔から生徒たちを守るように結界を張る。


結界を張り終わったのを見た蓮くんが、新しく霊符を取り出して言った。


「それじゃあ、とっとと殺ろうか」

「うん!」


死角をなくすように蓮くんと背中合わせで立ち、颯爽と構える。


そこへ、試合場に降り立った小型の妖魔が、さっき張ったばかりの結界に何度も激突する。


まるで、私たちが見えていないかのように。


私は違和感を感じながら、広範囲に霊符を展開する蓮くんと息を合わせ、狐火と風の術を併用して、片っ端から妖魔を倒していく。


思ったよりも雑魚敵だ。

中には狐火が掠っただけで瀕死に陥る妖魔もいる。


また妖魔が出てきても対処できるよう、これまた省エネで倒していく。



大体退治できたかな?


そう思い、ふぅ……と、息を吐いた時。


「……っ! 柚葉! 上!」


蓮くんの鋭い声でハッと顔を上げると、大型の妖魔が空を飛びながら、演習場全体に巨大な炎の塊を放とうとしているところだった。


……っ!! やばい。 今の私の妖力の残量じゃこの炎は相殺できない……!

できたとしても妖力切れで倒れるのがオチだ。


でも、やらなければ多くの人が死ぬかもしれない……!

でも、怖い……! 倒れたとして、その後はどうなるの? 


でも、やらなくて後悔するのはもっと嫌だ……!

だから……。


私は、覚悟を決めて炎に向けて手をかざし、詠唱を始める。

私はいつも、詠唱する時は基本となる言葉を大幅に省いている。


しかし、この大きさの炎を消すには省略した詠唱じゃ足りない。


「『天光の風よ、我が命に――』」


そこまで詠唱したところで、突然、肩に手を置かれた。


「柚葉ちゃん。 あの炎を相殺しようとしてるでしょ。でも、決勝戦まで戦ったあなたの妖力の残量じゃ、無理よ」


肩に置かれた手の主は、元生徒会長の桜庭飛鳥先輩だった。


「桜庭先輩……。でも、やらないと。演習場が!」


私がそう言うと、飛鳥先輩は静かに首を横に振った。


「そうね。この役割は誰かがやらないといけないことだわ。でもね、戦ってるのはあなただけじゃない。私たちもいるの。だから、遠慮なく頼ってよ」

「桜庭先輩……!」


「――その通りだよ。白石さん」


力強いその声と一緒に、烏丸くん、水瀬くん、水野さんが演習場の入り口から疾走してきた。


「烏丸くん……! みんな!」

「避難誘導は先輩方に引き継いできました。 後は、任せて!」


水瀬くんはそう言い、そのまま詠唱を始める。


「追撃! 風を乗せて……叩き潰せ!」


水瀬くんの周囲で風が渦を巻き始める。

それに合わせ、飛鳥先輩も詠唱を始めた。


「波濤(はとう)よ集え、彼の猛炎を静寂へ還せ!」


「「——撃ち放てッ!」」


二人の声が重なった瞬間、空間を割るような奔流(ほんりゅう)が放たれた。


飛鳥先輩の放った巨大な水の龍に、水瀬くんの鋭い風が巻き合わさり、蒼い螺旋となって上空の炎へ真っ直ぐ突き進む。


ドオンッ!!と鼓膜を振るわせる轟音と共に激しい水蒸気が噴きあがった。


空を焼き尽くさんとしていた灼熱の炎は、見る間に勢いを失い、真っ白な煙となって消散していった。


「……すご……」


あまりの威力に私は思わずその場で立ち尽くしてしまった。

水瀬くんが息を整えながら隣へ並び立つ。


「怪我はない? 神楽、白石さん」

「ああ、助かった。完璧なタイミングだったよ」


蓮くんが短く礼を言う。

私も頷こうとして――ふと、胸の奥に残る違和感に気づいた。

上空の炎は防ぎきった。だが――これで終わりではない。


ギギ……ギギギ……ッ!


頭上から響く不快な軋み音。


炎が消え去った煙の向こう側、防護結界の大きな亀裂から、次々と黒い影が舞い降りてきた。

それは先ほどの小型とは比べものにならない、鋭い爪と幾重もの眼を持つ異形の大型妖魔たちだった。


ドドンッ!と重い音を立てて演習場の各地に着地し、咆哮を上げる。


「くっ……次から次へと……!」


烏丸くんたちが即座に武器を構え直す。


私も身構えながら、迫り来る大型妖魔たちを注意深く見回す。


だが――。

……おかしい。

威嚇するように吼えてはいるものの、まっすぐに私たちへ襲いかかってくる気配がない。


何度も周囲を見回しているのに、私たちよりも別の場所を気にしているように見える。

それに、さっきから妖魔たちは演習場のあちこちで局所的に暴れているだけだ。


まるで、誰かに「ここで暴れろ」と命じられているみたいに。


「……ねぇ、蓮くん。違和感、ない?」

「……ああ、柚葉も気づいたか」


蓮くんの隣に滑り込み、低い声で言葉を交わす。


「この妖魔たち……本気で私たちを殺しにきてるわけじゃない。ただ演習場で大暴れして、混乱を長引かせようとしてるみたいに見える」

「同感だ。

これだけの規模の異変を起こしておきながら、狙いがこの演習場だけというのはあまりに不自然すぎる……」


私の頭の中で、バラバラだったパズルのピースが一気に繋がり始めていく。

戦力をこの演習場に集中させること。


先生たちや上級生、そして私たち生徒会の意識を、完全にここに釘付けにすること。


もし……この騒ぎ全体が、巨大な『陽動』だとしたら……!?


「これ……他に何か、本当の目的があるんじゃない……!?」

「なっ……陽動だって言うのか!?」


私の叫びに、隣で聞いていた烏丸くんが目を見開く。

そして、蓮くんの表情が、一瞬で緊迫したものへと跳ね上がった。


「だとしたら、奴らの本命は……防備の手薄になった『別の場所』だ」

「5分だけ休憩しよう」

そう思って本を読み始めたら、気づけば30分経ってました(笑)

……5分とは一体。 私の中では5分だったんですけどね(//∇//)

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