中間テスト
引き続き柚葉サイドです。
――数週間後
「えーー、2週間後に中間テストを開催します」
その言葉から朝のHR (ホームルーム) が始まった。
一斉に教室の中が騒がしくなる。
そんな中、私は歓喜と決意に満ち溢れていた。
やっとだ……! 今度こそあの神楽蓮を倒せる!
「はい静かに!この中間テストはとても重要です。このテストの成績で学年上位5名が生徒会に選ばれます。
ということで気合を入れて挑むように。テスト範囲は今配った紙に書いてある。教科は筆記五科目と実技の六科目だ。それではHR終了!各々授業の教室に移動するように」
教室はその言葉を受けて、先生が出て行った後もずっと騒がしかった。
実技もあるのか…… あれ、手加減するの大変なんだよな……
私は、机に向かって実技を上手く手加減して不自然ではないぐらいの高得点を出す方法を考えた。
手加減しまくって低い点数だとどんなに筆記で満点を取っても神楽蓮は越せない。
そうすると…… 威力を弱めて、コントロール力の方で評価をもらった方がいいな
私が机で唸っていると、
「どうしたの?柚葉ちゃん」
鈴ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「あっ、鈴ちゃん。えっと、実技の戦い方を考えてて……」
「実技?」
「うん。私、妖力少ないから工夫しないと神楽蓮は越せないからさ。鈴ちゃんは実技の評価基準とか知ってる?」
「あーね。えっとね、先輩によると実技の内容は、『妖力を的に当てて倒すなり焼くなりする』みたいな感じだったと思った。評価基準は、妖力のコントロールと威力だって」
「威力かぁ。この妖力で威力を高める方法、後で図書館で調べてくる!ありがとう!」
「うん、よかった、役に立てたなら。それじゃあ次の授業の教室行こ!」
私は、一旦テストのことは置いといて鈴ちゃんと一緒に次の教科の教室に向かった。
◇◇◇
――数時間後
授業を終えた私は、一旦鈴ちゃんと別れて一人で図書館に向かった。
図書館には、司書さん以外人の気配がなかった。
えっと、妖力と戦い方の本は……2階かな?
私は、また生徒手帳で館内地図を見ながら2階に登り、お目当ての棚の前まで来た。
どれがいっかなぁ。あ、あの本とか良さげかな?
そんなことを思いながらそばにあった脚立に手を乗せて本棚を見上げていると、
「あれ、白石さん?」
「ひゃっ!?」
背後から、突然声をかけられ、思わず辺な声が出てしまった。
誰?なんか聞いたことのある声だけど……
私は、恐る恐る背後を振り向く。
そこには
「変な声を上げてどうした」
呆れたよう顔で笑う神楽蓮が立っていた。
「か、神楽君……どうしたの?」
「借りてた本を返しに来ただけだ。そしたら一階から白石さんが見えたから。白石さんは何しにここへ?」
「いや、ちょっと試験勉強で本を借りようと思っただけ」
私は、気まずさを隠すように視線を神楽蓮から本棚に戻す。
「そうか。今度のテスト、楽しみにしてる。……あ、でも、集中しすぎてまた脚立から落ちんなよ?」
神楽蓮はニヤッと意地悪く笑って私を見た。
「うるさい。バカにしてんの?何も私だって毎回脚立から落ちているわけじゃないんだから」
「はいはい。で?お目当ての本は?」
そう言いながら神楽蓮は私の手から脚立を奪い、足をかけた。
「は?何やってんの?」
「だ、か、ら、この俺が取ってやるって言ってんの」
「は?いらないし、そんなの。自分で取れる」
我ながら可愛くないなぁ、この返答。って何思ってんの私!べつに可愛くなくていいじゃない。好かれたいわけじゃない
「何言ってんだ。ついこの前脚立から落ちそうになった奴が『自分で取れる』じゃねえ。見てるこっちが怖いわ」
神楽蓮は、急に真剣に言った。
これは下手に反論しない方が得策かな。まあ、脚立に登る手間が減るからいいとするか
「そ、そう……じゃあ、お願いするわ。えっと……上から三段目の右から16番目、緑の背表紙の本。
あと、そこから3つ左の青の背表紙の本をお願い」
「わかった」
神楽蓮は手早く私の言った本を取って脚立を降りた。
「これでいいか?」
「うん。ありがとう」
「おう。これ、実技の本か?」
げっ! 実技の本だって速攻で見抜かれた……!
内心で焦りながら、なんとか平静を保つ。
「そ、そうよ」
「ふーん。……実技でわからないことがあったら教えてやってもいいけど?」
「……べ、別にいらないわ。ちょっと基礎を確認しておこうと思っただけ。神楽くんに教えてもらうほど困ってないから、大丈夫。……本、取ってくれてありがとう。それじゃあ私、もう行くね」
私は、動揺を悟られないように神楽蓮に背を向けて逃げるように出口に向かった。




