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学年別対抗戦3

柚葉視点に戻ります!

昼休みが終わり、個人戦の決勝が始まろうとしていた。

学年1位、そして学園1位を決める戦いに向け、演習場が熱気に包まれる。


演習場前方に貼られた対戦表を見る。

私の名前の横には、「1年B組代表」の文字。


そして第1試合の相手は――1年D組代表の水野さん。


まあ、頑張りますか〜!

でも私はこの後チーム戦も残ってるし、昼休みの時に感じた違和感のこともあるから、省エネでいかないと……!


私は両頬を手で軽くパチンと叩き、気合を入れ直した。


「それじゃあ、行ってくるね」

「うん! 頑張って!」


私は鈴ちゃんに手を振って別れ、試合場に向かって歩き出した。


◇◇◇


「白石さん! お互い頑張ろうね!」


試合場に上がると、先についていた水野さんに声をかけられた。


「うん!」


頷きながら、心を落ち着かせるために、ふぅ……と息を大きく吐く。

よし、頑張ろう!


「それでは午後の部、第1試合を始めさせていただきます。 試合開始!」


審判の掛け声と同時に、水野さんは数10枚の霊符を空中に展開させた。

水野さんは、水野さんは、あやかしの多いこの学園の中でも一目を置かれる、人間屈指の術の使い手だ。

生徒会や、D組の代表になるぐらいだから、油断は禁物。


私は焦らないよう心を落ち着けながら、思いっきり踏み込む。

霊符は霊力を流せば脅威になる武器になる。

が、所詮はただの紙だ。


紙は炎に弱い。


私は狐火を出し、霊符に向けて思いっきり放つ。


燃え落ちた霊符の隙を突き、新たな札を取り出そうとした水野さんへ、一気に踏み込む。


その瞬間、私は無詠唱の風を足元に滑らせて一気に間合いを詰め、小さな狐火を彼女の喉元にピタリと突きつけた。


熱気を感じてぴくっと動きを止めた水野さんに、私は小さくウインクしてみせる。


「そこまで! 勝者、白石柚葉!」


そう審判の声が響き、私は狐火を消して水野さんの背後から離れる。


「あはは、参った! やっぱり白石さんは強いね」

「水野さんも、霊符の展開スピードすごかったよ!」


私たちは互いの健闘を称え合い、パンッと音を立てて手のひらを合わせた。

作戦通りあまり妖力を使わずに済んだ。


だが、次の試合――1年C組代表の烏丸くんとの一戦はそう甘くはなかった。


「白石さん。さっきの試合、さすがだったな」

「ありがとう」


「だが、俺との試合はそうはいかないぞ」

「……?それって、どういう……」


私がそう疑問に思って尋ねた時、ちょうど試合開始の合図が成されてしまった。


『そうはいかない?』どういうことだろ?


少し消化不良だが、鳴ってしまったものは仕方がない。


そう割り切って狐火を出した。

だが。


「な……!」


ぶつける前に狐火を消されてしまう。


そして。


「はやっ……!」


黒い羽を散らすような烏天狗特有の超高速移動。さらに、こちらの妖力を直接封じ込める緻密な術式が演習場を網の目のように覆(おお)っていき、私が妖力を動かそうとするたびに術式が反応して妖力を押さえ込もうとしてくる。


下手に妖力を操れば、その瞬間に術式で抑え込まれる極限状態。


「省エネで」なんて甘い考えは一瞬で吹き飛んだ。


じりじりと追い詰められ、額を冷や汗がつたう。


だが、諦めるわけにはいかない。

私はカッと目を見開き、完全に術を縛られかけるその直前で、無詠唱の氷と風を同時に展開した。


氷と風がぶつかり合い、演習場一面に白い霧が広がった。

烏丸くんの視界が、ほんの一瞬だけ白く染まる。


「何っ!?」


烏丸くんが一瞬だけ見せた動揺。その隙を逃さず、私は白い霧に紛れて一気に間合いを詰める。

そして、烏丸くんの張り巡らせた術式が届かない超至近距離から、彼の喉元へ鋭い風の刃をぴたりと突きつけた。


「そこまで! 勝者、白石柚葉!」


審判の声が響き、烏丸くんはハッと息を呑んだ後、参ったとばかりにふっと苦笑した。


「……見事だ。まさか術式の隙間を強引に抜けてくるとはな」

「ハァ……ハァ……、ほんと、ギリギリだったよ……」


「白石選手、怒涛の2連勝ーっ!」という実況と共に、会場から地鳴りのような歓声が上がる。


なんとか勝てたものの、烏丸くんの封殺術を破るために予想以上に妖力とスタミナを使ってしまった。

肩で荒い息をつきながら、私は試合場を後にする。


――そして、いよいよ迎える最終試合。


観客席から階段を降りてくるのは、すでに同じく2勝を挙げている1年A組代表――神楽蓮くんだ。


「お疲れ、柚葉。凄い試合だったな」

「蓮くん……。はぁ、ちょっと疲れちゃったかも……」


冗談めかしてそう弱音を吐くと、蓮くんはどこか愛おしそうな、そして挑むような不敵な笑みを浮かべた。


「手加減してほしいか?」

「まさか! 絶対に勝つんだから!」


「ふっ、それでこそ俺の柚葉だ。――全力で奪いにいくよ、1年の頂点を」


不敵に微笑む蓮くんの黒い瞳と正面から視線がぶつかり、私の胸がドクンと大きく跳ねた。


全勝同士。


いよいよ次が、1年生代表を決める戦い。

そして、その先には学年代表たちとの学園頂上決戦が待っている。


負けるわけにはいかない。


――ラストバトルだ!

読んでくださり、ありがとうございました!

「俺の柚葉」かぁ……。

私も一回言われてみたいです……(´∀`)

それではまた明日〜!

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