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学年別対抗戦

――翌日


今日は待ちに待った学年別対抗戦。

だが、私は夜中動き回ったせいで寝不足ぎみだ。


もう少し寝たいところだがそうはいかない。

渋々、鈴ちゃんと一緒に着替え、演習場に向かうため、寮の自室を出る。


寮から演習場までの道は、たくさんの生徒たちでごった返していた。


この中に昨日頑張って生徒会メンバーで探した黒い小箱を仕掛けたやつがいるのかなぁ。

まさかの教員説もまだあるけど。


そんなことを思いながら妙な動きをしている人はいないかを観察する。

ここで犯人が見つかるなんて思っていないけれど、見つけた暁(あかつき)には容赦しない。

私の睡眠時間を奪った恨みは深いぞ。


私がより一層恨みを込めて人混みを睨んでいると、鈴ちゃんから「どうしたの? 凄く目つきが悪くなってるけど」と心配されてしまった。


「大丈夫。行こっか」


鈴ちゃんにそう返し、人混みをかき分けながら演習場内の観戦席にある自席を目指して、二人で歩き出した。


◇◇◇


観戦席の自席に荷物を置くと、九条先生に昨日の夜の出来事を報告するため、鈴ちゃんと別れて九条先生を探しに行った。



九条先生は演習場の前方で案内紙を貼っていた。

私はそっと近寄り、九条先生に話しかける。


「すみません。今、いいですか?」

「ああ。すまないがこれ、手伝ってくれないか?」


いきなりそう言われ、私は戸惑いながらも差し出された日程表と和紙のテープを受け取る。


すると、九条先生の声が頭に流れてきた。念話だ。


《すまないな。小箱を仕掛けたのがどこの誰かわからない以上、口頭で話すことができないから、カモフラージュに私の仕事を手伝いながらこれで話してくれ》


なるほどな。

確かに、壁に耳あり障子に目ありという。


私は、納得しながらさっき受け取った日程表をテープで貼りながら念話で報告を行う。



《ということで、見つかった小箱はその9つです。ちなみに、その小箱は回収しませんでしたが、発動したら分かるよう土に細工をしています》

《なるほどな。その判断は正解だと思うぞ。よくやった。ちなみに、犯人の動機や人物の目星はついているか?》


そう聞かれ、少し躊躇いながらも念話を送る。


《……大体2パターン考えています。 1つ目は、この学校で教員をしている人物。 2つ目は後ろにもっと大きい組織がいて、学園内になんらかの形で内通者がいるというパターンです。》

《根拠は?》

《私も詳しくは分からないのですが、昼間に回収した小箱には、霊力で術がかけられていました。そして、その術はとても精密なもの。なので、霊具などを研究していないと作れないと思います。霊力を扱う人間なら尚更。霊力は、とても扱いにくいものですから。なのでそう判断しました》


私の念話を受け取った九条先生は、しばし黙った後ため息をついて言った。


《昨日の今日でそこまで絞れるとは、流石だな。その働きに免じて、昨日勝手に実験小屋の金庫を開けたのは不問にしてやる》


それを受け、思わずバッと九条先生の方を見てしまう。


《知って、らしたんですか?》


恐る恐るそう尋ねると、横で「ふっ」と笑う声が聞こえた。


《逆に気付いてないとでも思ったか? 俺が素人のピッキングごときで開く激弱(げきよわ)な金庫に証拠品となるものを入れるわけがないだろう。金庫が開いたら一瞬で分かる》


その事実に何秒か固まってしまう。

夜は深夜テンションであまり考えていなかったが、今考えると勝手に金庫を開けるなんて怒られても仕方のない状況だ。


先ほど「不問にしてやる」とは言っていたが、一応謝っておこう。


《すみません》


恐縮する私の頭の中に、九条先生のどこか楽しそうな声が響いた。


《いいってことよ。それはそうと、犯人の動機なんだけど、俺、少しだけ目星がついてるんだよね》


九条先生がそう言い、私は驚いて息を呑んでしまう。

そんな私を揶揄(からか)うような声で九条先生は続けた。


《犯人は今日、必ず動くだろう。だが、お前らは競技に集中しろ。せっかくの行事だからな。犯人は俺の方で叩くから。ああでも、妖魔が現れた時はお願いな》

《もちろんです》


私はしっかりと頷きながら最後の紙を貼る。



「手伝ってくれてありがとうな」

「いえ」


私はそう微笑みながら、《小箱の発動を感知したら念話で伝えます》と念話で送り、九条先生の元を離れた。


観戦席へと戻る途中、ふと見上げた空はどこまでも晴れ渡り、会場を包む熱気が肌に心地よく伝わってくる。

周囲からは「今年の決勝は誰が勝つか」といった期待に満ちた会話が飛び交っていた。


……こんなにみんなが楽しんでる学園祭を、絶対に壊させはしない!


心の中で固く誓いながら自席へ戻ると、待っていた鈴ちゃんが「お疲れ様! 生徒会の仕事終わった?」と笑顔で迎えてくれた。


「うん。準備の手伝いをしてきた。……さあ、いよいよ始まるね!」


ふと隣の1年A組の観戦席へ視線を向けると、そこにいた蓮くんと目が合った。


彼もまた、私に気づくと小さく口元を緩め、力強くぐっとこぶしを握って見せるのだった。

お昼ご飯の時間が近づいてきましたね。

お昼ご飯は何かなぁ。お腹が空きました(o^^o)

皆様、良いお昼を〜!

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