学園祭
後書きにお知らせがあります。
――学園祭 1日前 in生徒会室
私たち生徒会メンバーは、いよいよ明日に迫った学園祭の最終確認を行なっていた。
明日が学園祭! ということで、そこかしこの教室で最後の準備が行われ、どこか学校内の雰囲気が浮き立っているように感じられる。
私のクラスの出し物は和洋折衷のハイカラ喫茶だ。
レジ打ちなど、クラス内で仕事を分担するが、私は生徒会の仕事があるので免除になった。
「うん。大体確認は終わったね」
蓮くんが書類に目を通しながらそう言う。
「それじゃあ、こっちの仕事は終わったから、各自、自分の教室の手伝いしてきていいよ」
「「お疲れ様でした〜」」
3人はそう言って、それぞれの教室に戻っていった。
「いよいよ明日だね!」
「ああ。楽しみだな。……警備も」
「そ、そうだね」
またもや蓮くんと警備の担当時間が一緒なことを思い出し、頬が赤くなるのを感じる。
「それじゃ、鍵を閉めて俺たちも戻るか」
「うん!」
カチリ、と生徒会室の鍵を閉める音が、夕暮れ時の静かな廊下に響く。
「明日もよろしくね。柚葉」
「ふふ、こちらこそ。蓮くん」
そう言って、悪戯っぽく口元をほころばせる蓮くんの横顔に、また胸が小さく踊るのを感じた。
廊下の窓の外で、青白いガス灯がぽつぽつと灯り始めているのが見える。
祭り前夜の浮き立つ空気に包まれながら、私たちは明日への高揚感を胸に、それぞれの教室へと歩き出した。
◇◇◇
――学園祭当日
「やっと学園祭だーー!!」
水瀬くんが大声で叫ぶ。
「水瀬。もう生徒たちが中央広場に入り始めてるから。声、抑えろ」
「はーい」
蓮くんがそう注意して、渋々水瀬くんが黙る。
そう、私たちは学園祭の開会式を行うため、赤い煉瓦造りの校舎に囲まれた中央広場に建てられた、特設ステージの裏にいるのだ。
そっと目隠し用の幕の隙間から中央広場の様子を覗くと、もう結構な生徒たちが集まっているのが見えた。
どの人も、これから始まる学園祭が楽しみでたまらない! といういきいきとした顔をしている。
時計塔から伸びる色鮮やかな万国旗が秋風に揺れ、どこからか甘い焼き菓子の匂いが漂ってきた。
「楽しみだな」
いつの間にか私の後ろに立っていた蓮くんが楽しそうに言った。
「うん!」
振り返って笑いながら返す。
その時、コンコン、とステージの袖から合図のノックが響く。
出ると進行役の生徒が「間もなく開会式を始めます」と伝えてきた。
それなら幕の隙間から覗かない手はない。あっ、始まってる、始まってる。
広場に響き渡る鐘の音とともに、まずは学園長が重厚な足取りで壇上へと上っていく。一段上がるごとに音が止み、あれほど騒がしかった広場が瞬く間に静まり返った。
学園長のお話は、伝統やら格式やら、相変わらず少し堅苦しい。
けれど、生徒たちの目はこれから始まる祭りの熱気でキラキラと輝いたままだ。
「……それでは、最後に生徒会代表からの言葉をもって、開会の挨拶と代えさせていただきます」
司会の声が響き、生徒たちの視線が一斉にこちらへと集まる。
「それじゃ、行ってくる」
蓮くんが制服の襟元を正し、私にフッと自信に満ちた笑みを向けた。
その背中が颯爽と幕をくぐり、眩しい太陽が注ぐ壇上へと踏み出していく。
猛烈な拍手と歓声が広場を揺らした。
マイクの前に立った蓮くんは、霊力を乗せた朗らかな声で広場全体を見渡す。
「――皆さん、お待たせしました。生徒全員が準備を重ねてきた今日という日を、仲間と共に思いきり楽しみましょう! 只今より、常盤学園祭の開会を宣言します!」
――ワーッ!!と、空を突くような大歓声が弾けた。
色鮮やかな紙吹雪が秋空に舞い上がり、いよいよ私たちの学園祭が幕を開けたのだった。
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諸事情により、2026/09/06から、これまでの「1日2回更新」から「1日1回更新(その分、1話あたりの文字数を増量)」へ変更させていただきます。
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