準備
「ごめんね遅れて」
「大丈夫だよ〜おかげで書類が片付いたし」
私と蓮くんが生徒会室に入ると、もうみんなが集まっていて、生徒や先生からの要望書を整理していた。
「じゃあちょっと遅くなったけど、学園祭と学年別対抗戦について話し合わないといけないことがあるから、一旦座ってくれる?」
みんながいつも会議をする机を囲んだところで、蓮くんが九条先生から受け取ったらしい書類を見ながら話し出した。
「えーっと。まず10月17日の学園祭のルールから。『各クラスの学級委員は学園祭で行う出し物の内容を、10月3日までに九条先生に提出。原則として出し物はそれぞれの教室で行うこと。生徒会メンバーは上記の内容を各クラスの学級委員に連絡すること』だって。」
「つまり各クラスを回れと?」
水瀬くんが面倒くさそうに言う。その気持ちの表れだろう。
思いっきり背もたれに体重を預けたから、椅子がギシッとなった。
古い椅子なので、壊れないか心配だ。
物は大切に扱おう。
「そういうことになるね」
「めんどい……」
「そうだねぇ。でもこれが仕事だから。諦めよう」
自分の学年に声をかけるのは簡単だが、先輩たちに声をかけるのはいささか勇気がいる。
少し憂鬱になりながら、蓮くんの持っている書類を横から見て、〈学園祭のルール〉と書かれた欄の下にある文章を読んだ。
「次。10月18日の学年別対抗戦について」
そこまで読んだ私は、ハッと顔を上げる。
「学年別対抗戦といえば、私と神楽くんでチーム戦出ることになったの」
私がそういうと、一瞬生徒会室を静寂が包み、次の瞬間には水野さんと水瀬くんの絶叫が生徒会室に響く。
「ええええええええ!?」
「なんだってえええええ!?」
唯一声を出さなかった烏丸くんも、驚いたような顔をしている。
「あの神楽が、ね……いや〜良かったよ」
なぜか水瀬くんが感慨深そうな表情をしている。
「それに、なんか君ら実技の授業で模擬戦やったんでしょ?A組とB組の奴らが興奮してた。なんか演習場を壊しそうになったんだって?」
「壊す前に止めたし」
蓮くんは口を尖らせてそう言った。
「それに、妖力を制限しなくて良くなったから調子乗っちゃって。でも壊れる前に止めたから!セーフセーフ!」
「だから壊れるぐらいの威力を一瞬で止められるのがすごいんだって……」
私が慌てて手を横に振ると、烏丸くんが呆れたようにそう言い、同意するように水野さんと水瀬くんが深く頷く。
「まあでも、学年主席の2人なら優勝できるっしょ。というか相手できるペアいないんじゃない?大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫なんじゃない?何も言われなかったし」
「そっか。まあ、頑張って!」
私は蓮くんの視線を交わしてふふっと笑う。
みんなに応援してもらえたことでより一層やる気がみなぎってくるのを感じた。
◇◇◇
「話が脱線しちゃったけど、この紙の続き読むね。学年別対抗戦のところからえっと……『学年別対抗戦では、全員が出場する個人戦(午前中)と任意のチーム戦(午後)がある。チーム戦は2人1組。優勝は、学年優勝と、全体優勝がある。本番の試合では、どちらの種目もそれぞれの学年で優勝者(優勝チーム)をトーナメント形式で決める。そして、3学年それぞれのトップが総当たり形式で試合をし、全体優勝が決まる』……と。こっちはあんまり生徒会の仕事はないかな?」
「ああ。そうだな」
蓮くんが頷いた。
頭を上げると、蓮くんの顔がとても近くにあり、びっくりしてしまう。
頑張って平常心を装いながら書類をもう一度見ると、九条先生の字でメモ書きが挟まれてあった。
私はそれを掴んで机の上に置くと、水野さんが身を乗り出してメモに書いてあることを読んだ。
「んーと、あっ、これ、生徒会の仕事っぽいね」
「本当?」
私も水野さんと一緒にメモを見る。
そこには、
〈学園祭当日 生徒会の仕事内容〉
〜1日目〜
・学園内の警備(当番制)
・学園祭の始まりと終わりの挨拶(会長)
〜2日目〜
・学年別対抗戦のルール説明
・諸注意
・放送
※2日目の役割は、水瀬、水野、烏丸の3人でどこをやるか決めて
追伸:今日、先生は教員会議があるので生徒会室に行けません! 生徒会室の部屋の鍵は閉めてから会長が職員室まで届けといて
と書いてあった。
「また警備あるの〜?」
「だから生徒会は成績優秀者で固めてあるのか」
なんか変なところで納得してしまう。
「まあ頑張りましょう!ということで、役割決めだね」
そう言い、私たちは当日の役割を決めていった。




