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ペア結成

列に戻るとすぐに、クラスメイトから囲まれた。


「すごかったよ!」

「というか凄すぎて見本にならないって!」

「何で無詠唱でそんなに強い威力をだせるの?」

「白石さん、格好良すぎる!」


「あ、ありがとう!」


朝は恐怖や好奇心で満たされていた目が、尊敬に染まっているのを見て心が温かく感じ、昔の自分が少しだけ救われたような気がしたのだった。


◇◇◇


「柚葉」

「ん?」


授業終了後、演習場から更衣室に戻ろうとした時、蓮くんに呼び止められた。

蓮くんは鈴ちゃんを見て唐突に言う。


「ごめん、猫宮さん。柚葉をちょっと借りていい?すぐ返すから」

「もちろんです! いくらでもどうぞ! ごゆっくり〜!」


鈴ちゃんは目をキラキラとさせて、更衣室に向かうのだった。

私は物ではないのですが。

しかもすれ違いざまに「頑張って〜」ってさ。


私は心の中でため息をつきながら、「で? 蓮くんどうしたの?」と言った。

聞くまでもない気はするが。


「用事はわかってるでしょ? 柚葉。俺と、学年別対抗戦のチーム戦、出てくれない?」


ですよね。だと思ったよ?


そう思いながら、蓮くんをじっと見る。


「私でいいの?」

「柚葉以外に誰がいる?」


質問に質問で返された。

だが、とても嬉しい。


「分かった。頑張ろうね」

「ありがとう! 柚葉。出るからには絶対に勝つ」

「ええ」

「じゃあ放課後、生徒会室に行く前に届け出をしよう」

「分かったわ。それじゃあ」


そう言って蓮くんと別れ、歩き出す。


学年別対抗戦か……楽しみだ。

私は「ふふっ」と笑いながら更衣室の戸を開けた。


◇◇◇


――放課後


私たちは、チーム戦に出る旨の届出を出すため、職員室の前に来ていた。


「「失礼します」」


初めて入った職員室は思ったよりもシーンとしていた。

とても気まずい。


そんなことを思いながら、蓮くんと一緒に体育の先生の机の前に行く。


「すみません。今いいですか?」

「ああ。学年別対抗戦の件か?」

「はい。俺と白石でペアを組もうと思っています」

「わかった。それにしても生徒会長のコンビか。今日の試合も良かったぞ」

「「ありがとうございます!」」


先ほどの試合を褒められ、私たちは顔を見合わせて微笑む。


「よし、受理したぞ。ペアでの練習は昼休みだったら演習場を自由に使っていいからそこでして。本番での活躍を期待している」

「「はい!」」


先生から提出用紙の控えを受け取り、私たちは頭を下げて職員室を後にした。

ガラリと引き戸を閉めると、廊下の窓から夕暮れ時の橙色の光が差し込んでいて、二人の影を長く伸ばしている。


静まり返った廊下を歩きながら、私は手元にある届出の控えをぎゅっと握りしめた。


「これで、正式にペア成立だね」

「ああ。 ――だが、浮かれてばかりもいられないぞ。俺たちの狙いは優勝だけだからな」

「……ふふ、相変わらず容赦ないんだから」


隣を歩く蓮くんが、少しだけ誇らしげに口元を緩める。

その横顔を見つめながら、私はこれから始まる彼との特訓の日々に、胸を躍らせていた。


「さあ、まずは生徒会室でみんなに報告だ。それから対抗戦に向けた特訓、付き合ってもらうからな?」

「もちろんだよ。望むところ!」


西日に照らされた校舎に、私たちの弾んだ足音が心地よく響いていく。

学園祭での勝利と、その先にある未来へ向かって、私たちは第一歩を踏み出したのだった。

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