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学園説明会8

――翌日


鈴ちゃんと一緒に教室に入ると、ざわざわとしていた教室が一斉に静かになった。


視線が一斉に私――正確には、腰からゆらりと揺れる九本の毛並み豊かな尻尾へと注がれる。


制限を解除した昨日の今日だ。一度解き放った妖力を再び無理に抑え込むのも体に毒だからと、今日は九尾の姿のまま登校してきたのだけれど……。


「あの噂、本当だったんだ……」

「九尾の狐って、伝説のあやかしでしょ……?」

「じゃあ昨日、一人で妖魔を倒したのも本当なのかな?」


教室中から緊張感と好奇心の入り混じった視線が突き刺さる。

怖がる子もいれば、圧倒的な力に尊敬の目を向ける子もいて、反応は様々だ。


昨日の今日でこれだけの騒ぎになっているというのに、隣にいる鈴ちゃんはといえば「柚葉ちゃん、昨日本当にカッコよかったよ!」と昨夜から大興奮のままで、今もどこか誇らしげに胸を張っている。

親友である鈴ちゃんのいつも通りの態度に、少しだけ心が軽くなった。


そこへ、後ろからやってきた蓮くんがいつもの澄ました顔で私のとなりに立つ。


「朝から全員で固まってどうした。早く席に着かないと始業の鈴が鳴るぞ」


その一言でハッと我に返ったクラスメイトたちが、慌てて自分の席へと戻り始めた。


「あ、ありがとう……神楽くん。でも、勝手に別のクラスの教室に入ったらダメだよ?」

「おう。……仕方ないだろ。それに、一歩しか入ってないし」


蓮くんは、口を尖らせてそう言った。


か、可愛い……。

不覚にもそう思ってしまう私がいる。


「……もう」


私が少し顔を赤くしながらそう言うと、隣にいた鈴ちゃんがウフフと悪戯っぽく笑いながら私の背中を軽く叩いた。


「ねえねえ、二人で甘い空気出さないで!  ほら、みんなが固まっちゃってるから!」


鈴ちゃんはそう言ってクスクス笑うと、教室内を見回して、まだ様子を窺っていたクラスメイトたちに向かってパンッと手を叩いて声を張り上げた。


「ちょっとみんな!  そんな遠巻きに見なくても大丈夫だって! 柚葉ちゃん、見た目はモフモフだけど中身はいつもの優しい柚葉ちゃんだよ?」

「す、鈴ちゃん……!?」


いや、もふもふって。そりゃ尻尾が増えた分いつもよりもふもふしてるけど!


「だって本当のことじゃん。ほら、昨日学園を守ってくれたヒーローなんだから、怖がるどころか『ありがとう』でしょー?」


鈴ちゃんの明るくてあっけらかんとした言葉に、張り詰めていた教室の空気が一気に和らいでいく。


「あ……そっか。白石さん、昨日助けてくれてありがとう!」

「あの、その尻尾って触っても大丈夫……?」


鈴ちゃんが先陣を切ってくれたおかげで、クラスメイトたちが次々と笑顔で話しかけてきてくれたのだった。


◇◇◇


――実技


私と鈴ちゃんは、実技の授業を受けるため演習場に来ていた。

実技の授業はA組とB組合同で行われる。


あっ……蓮くんだ。


見慣れた後ろ姿を見かけ、唇を綻(ほころ)ばせる。


そんな私を見て、鈴ちゃんはニヤニヤと笑う。


「柚葉ちゃん分かりやすーい!」

「……そんなことない。……ほら、授業始まっちゃうから。並ぶよ」

「はーい」


鈴ちゃんは渋々といった様子でそう言い、列に並んだ。

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