学園説明会2
「というわけで、全体の流れと役割分担はこんな感じでいいかな?」
蓮くんが、烏丸くんが綺麗にまとめてくれた黒板を見ながらそう言った。
黒板には、
〈仕事内容〉
1.校内案内の先導 担当:二年部教師
2.受験生・保護者向けの相談ブース運営 担当:三年部教師・統括部
3.パンフレットおよび記念品の配布 担当:生徒会・一年部教師
4.【最重要】校内および敷地外周の警備・見回り 担当:生徒会
とまとめてある。
「特に、この4番の警備は最重要な仕事だね。常盤学園には全国から優秀な術士の卵が集まるから、外部からの注目度も高い。万が一にも不審者や野良のあやかし、妖魔が迷い込んだりしないよう、生徒会メンバーで分担してしっかり見張りを立てよう」
「はい!」
「了解」
そうまとめた蓮くんに、私たちはしっかりと頷く。
不謹慎かもしれないが、警備の仕事、結構やってみたかったから、嬉しい。
「よし。じゃあ、9月19日の本番に向けて、明日から各自準備を進めていこう。みんな、よろしくね」
「「はい!」」
蓮くんの爽やかな挨拶で会議は締めくくられ、私たちの新生徒会としての最初のプロジェクトが、いよいよ動き出したのだった。
◇◇◇
烏丸くんたち三人が先に寮に帰った後、私と蓮くんは生徒会室を少し片付けていた。
「そろそろ帰る?」
片付けがひと段落した後、蓮くんは私の隣に来た。
「そうだね。……本番、楽しみ!」
「ああ。……というか、俺には柚葉の顔に『警備が楽しみ!』って書いてある気がするんだけど」
「えっ!なんで……」
またもや図星を突かれて絶句する。
最近、私の心を読みすぎではないだろうか。いや、マジで。
そんな私を揶揄う様に見ながら蓮くんは言った。
「どうせ柚葉のことだら、『蓮くんと警備の担当一緒になりたい〜』とか思ってるんでしょ」
「思ってないし」
「え〜?じゃあ、柚葉ちゃんは、俺が他の子とペアを組んでも気にしない、と~?」
ニヤニヤしながら、蓮くんはそう聞いてくる。
とても顔がうるさい。とても。
私は、ため息をついて鞄を掴み、「いくよ」と言いながら生徒会室のドアを開けた。
背中で、蓮くんが爆笑しながらついてくるのを感じた。
◇◇◇
――次の日 in生徒会室
「今日は、それぞれの当日の担当場所について決めていこうと思います」
私の言葉を受け、九条先生が校内のマップを机の上に広げる。
それを見ながら蓮くんは説明を始める。
「まず、みんなも知っている通りこの学園には妖魔が立ち入らないよう、また、生徒の脱走を防ぐため強力な結界が張ってある。しかし、学園説明会は外部の人間がたくさん入ってくるため、説明会当日はこの結界を外すことになる。だから、昨日も言ったけど、その分妖魔などが侵入する危険が高まる。だからその警備だ」
妖魔とは、闇堕ちしたあやかしのことだ。
「学園説明会では不特定多数の人間が入ってくるから、常時私たちの間で連絡が取れる様にしておきたいんだが……どうしようか」
蓮くんの問いに答えよう。
「あ、それなら、あやかし同士ならあらかじめ妖力を登録しておけば念話が使えるわ」
「なるほどな。それなら、あやかしである白石、烏丸、水瀬は連絡が取れるな。それぞれ妖力の登録を今してて」
その指示に私たちは頷き、互いに少しだけ妖力を解放した。
空気がかすかに揺れ、それぞれの持つ妖気がふわっと重なり合う。一瞬、指先がピリッと痺れるような感覚があった後、頭の中にふっと互いの存在が意識できる一本の『線』のようなものが繋がった。
「できた」
「流石、白石は早いな。じゃあ、人間の俺と水野さんはどうする?念話はあやかし同士でしか使えないんだよな?」
「ええ。念話っていうのはあやかし特有の技だからね」
「なら、人間の俺らはあやかしの誰かとペアを組む必要があるな。それも踏まえて、担当場所を決めてくぞ」




