妖力暴走3 ˜”*°• 白石 柚葉 side•°*”˜
「ん……」
私は、窓から差し込む光で目を覚ました。
妖力が暴走して寝込んだ次の日とは思えないくらい頭がスッキリと冴えている。
いつもは2日は絶対寝込むのに……と不思議に思いながら手を動かそうとするが、動かすことができなかった。
それに加え、心なしか足に重みを感じる気がする。
そっと自分の手の方を見ると、蓮くんがスヤスヤと寝息を立てて寝ていた。
「蓮くん……」
そう呟いた私の脳裏に、昨日の出来事が鮮明に浮かび上がる。
私、蓮くんに抱っこされたよね……図書室で脚立から落ちた時以来、かな?うぅ……恥ず……!
布団の中で足をバタバタとさせながら、抱き枕に顔を埋める。
でも……あの場所に来たってことは舞花か柚鈴か柚乃か……それともお母様かお父様かが蓮くんに妖力暴走について教えたってことだよね……。
そう考え、「はぁ……」とため息をつく。
確かに長期休暇中と被るなとは思ったけど!ただの「体調不良」でいけると思ったんだけどな……。
そんなことを思いながら、私はすやすやと寝息を立てている蓮くんの前髪に触れる。
可愛い……。
普段は「かっこいい」という雰囲気だが、寝顔は年相応だ。
「ふふっ」
しばらく夢中になって蓮くんの前髪を指ですいていると、「ん……」と蓮くんが瞼を開けた。
「あれ……朝?」
「おはよう蓮くん」
「わっ」
蓮くんは、驚いたようにとび起きる。
「びっくりした……柚葉、体調は?熱は?」
「大丈夫。元気だよ」
「よかった……昨日は本当にびっくりしたんだから」
「えっと……心配かけてごめんね?でも、あの……倒れた理由ってやっぱり知ってる……よね……?」
私は、不安に思いながらもおずおずと蓮くんに尋ねる。
「怖い」とか思われたらどうしよう……。
「ああ。舞花さんから事情は聞いた」
「そう……どう思った? やっぱり私のこと怖いって……?」
「っ、そんなこと思うわけないだろ!」
蓮くんは、怒ったような口調で否定する。
「でも……」
「『でも』じゃない。もちろん『妖力暴走』について聞いた時はびっくりしたよ。でも、それで俺が柚葉のことを『怖い』と思って遠ざけるとでも思ったか? 舐めてもらっちゃ困るな」
「でも、でも……」
さっきから「でも」しか言えない私を気遣うように、でも強い眼差しで蓮くんが私の瞳を覗き込む。
「柚葉。俺は何があっても柚葉のそばにいる。それに、俺はあの日柚葉と図書室でそれぞれの過去を話した時こう誓ったよな? 『俺はお前になんと言われようとお前を離すことはやめない』と。その考えは今でも変わってないぜ?」
そう言って蓮くんは笑った。
「うん。ごめんね。ありがと」
「おう」
私たちは、私の布団の上で笑い合った。




