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作戦2

――1週間後


「それでは、元気に怪我がないよう過ごしてください。起立!礼」


ついに長期休暇前の授業が終わり、明日から長期休暇が始まる。

私は、1週間前蓮くんと図書館の4階で立てた作戦会議を思い出す。


「柚葉は、瞬間移動はできるのか?」

「人間2人分までならいけるよ。でも、荷物があるなら無理かな。私の屋敷までは飛べない。力を解放して九尾の姿に戻ったら、0.5里(約2km)までならギリ飛べるかなって感じ。まあ妖力切れて2日ぐらい動けなくなるけど。私の屋敷まではここから1里(約4km)だから」

「それでも十分すごいけどな。じゃあ馬車か?」

「そうなるね」

「でも、俺が柚葉と一緒に馬車に乗り込んだら絶対に噂になる。それは柚葉も嫌だろ?」

「そうだね。途中で待ち合わせした方がいいかも。でも、荷物重いからなぁ」

「だよな。じゃあこうするか。柚葉は俺に重い荷物だけ預けて馬車止めの前で待機。俺は柚葉と俺の荷物を持って馬車に先に乗る。で、俺の乗った馬車が動き出したら。瞬間移動。できるか?」

「余裕!」

「さすがだな。じゃあ、それで行こう。馬車止め集合で」


……だったけ。ということで、私は荷物を持って馬車どめにやってきた。

ここで、鈴ちゃんとはお別れだ。


「じゃあね、鈴ちゃん」

「うん、柚葉ちゃんも体に気をつけてね〜!」

「うん、鈴ちゃんも」


鈴ちゃんは、大きく手を振り馬車に乗り込んでいった。


さてと、蓮くんは……あっいた。


遠くの方で蓮くんの黒髪が見える。

こういう時高い背は有利だ。


まあ、蓮くんも背が高いから私が高くなくても意味はないのだが。

そう思っていると、目が合い、蓮くんがこちらに気づいたようだ。

ということで、作戦を実行する。


蓮くんがこちらに向かってくる。

そして、私の背後を通り過ぎる時に私の荷物を受け取り、馬車に乗り込む。


うん、バレてなさそう!


周りにはあまり気づかれてなさそうなのでホッとする。


でも、今日は不自然なほどに蓮くんのそばに人がいなかったな……。

そう思いながら私は、蓮くんの乗った馬車が動き出し、校門を出たので瞬間移動を無詠唱で発動させた。


「わっ!?」


飛んだ瞬間、これまであったはずの地面がなくなっていてびっくりする。


めっちゃ久しぶりに使ったから忘れてた……。


そう思いながらそっと目を開けると、目の前に綺麗な黒い瞳とサラサラの黒髪があった。


「わぁぁぁぁ!!!」


またもや叫んでしまう。


「柚葉、叫び声は耳に悪いって。いきなり降ってくるからびっくりした」


目の前にある美貌――神楽蓮はそう言って笑った。


「久しぶりに使ったからびっくりしたんだよ……ねえ、そろそろ降ろして」


私は、自分の体制をみながら慌てた。

そう、私は今、蓮くんに横抱きされているのである。


流石にこの体制は心臓に悪い……だって蓮くんの顔が近い、近い……!……イケメンってこんなに肌綺麗なんだ…って、そこはどうでもいいのよ!


1人で心の中でツッコミながら蓮くんを見る。

すると、蓮くんの顔がみるみる赤く染まっていった。


「……ご、ごめん」


そう言って、蓮くんは私を前の座席に降ろす。


可愛い……。


「ありがと」


そう言って蓮くんを見ると、蓮くんの顔つきが変わり、陰陽師のものになる。


「どうしたの?」

「いや、ちょっと待って」


そう言って、蓮くんは目を閉じる。


どうしたんだろう?でも、この感じ、霊力で何かを追っている?


集中してそうなので、じっと黙って待つ。

少しすると、蓮くんがそっと目を開け、申し訳なさそうに口を開く。


「ごめん柚葉。この作戦は悪手だったかも」

「なんで?」

「この馬車の後方約一町(約110m)に馬車がいるのわかる?」


私は、そっと馬車の後ろの窓を少しだけ開けて見る。


「いるね。あの馬車がどうした?」

「あの馬車、多分俺の実家の馬車。父親はどうしても俺に帰らせたいんじゃない?あのクソ親父……」


そう言って、蓮くんは舌打ちをする。


「まあまあ、落ち着いて。それで? 蓮くんはどうしたいの? 神楽の上に帰る?」

「帰るわけないだろ?あんな家に。でも、俺が柚葉ん家行ったら柚葉に迷惑がかかるだろ?」


そう言って蓮くんは視線を落とす。


うん、絶対私の正体忘れてるよね。


「ねえ蓮くん、私、これでも妖狐の次期当主だよ? あやかしの中で2番目に強いんだよ? 舐めてもらっちゃ困るね。というか、この私がこんな状況を想定していなかったとでも思う?」


そう言って、私は馬車の窓を開ける。


「え? ちょ、何すんの?」


蓮くんの戸惑ったような声を無視して、私は外に向かって指を鳴らす。


「プランBね」

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