表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/79

54話:地味っ子ミーミルと秘密の朝食


ラキュアが温泉施設内で気絶した日、村は何処もかしくもに騒がしく成っていた。ある者達は聞き込みに明け暮れ、ある者達は修復活動を強いられ、ある者達は叱り叱られ…そんな一日が静まり返った真夜中に、ラキュアは眠りから覚めていた。


『うーん…流石にもう寝れないです…どうしよ…』

「くかーーぁッ!!…くかーーあッ!!…」

『相変わらずダイナマイトが台無しな寝相です…』

「らきゅあさま…」

『えぇ…み、ミルフィちゃん…何ですかそれは…。その丸めた布団は、私の代わりですかね…』


ぎゅにゅぅッ!!むぎゅーっ!!

『はは…あれいたそッ…。きっと今日抱きしめるのを自重してくれてるんだね…。んん…寝付けないし、少しお庭でも行こうかな…』


ソソッソソッ ガチャ…


テトテトテトテト…

『うっは…寒ッ…正直舐めてました…今から戻るのもなぁ…』

「おやぁ、どうしたのじゃこんな遅くに」

『ちょ、長老さんッ!!』

「あまり大声は出すもんじゃないぞ…それとトイレならソコの角じゃぞ」

『あっ…すみません…。寝られなくてお庭に足を運んでみただけです…』

「ホーホッホッ!!そうかそうか、一緒に座るか?お茶とお饅頭もあるぞい」

『え…?あッはいッ!!』


もぐもぐ、ぱくぱく

『ふんふんふん♪ふんふんふん♪』

「ほほ、こうして見ると可愛い子供にしか見えんのう」

『ブフォッ!!!な、何を言ってるんですかね…私は5歳の幼女ですよッ!!そんなのは当たり前なのですよッ!!』

「ホッホッホッ!!これが5歳となッ!!何処からどう見ても子供の言う台詞じゃないのうッ!!」

『ほ、本当なんですからねッ!!』

「そうかそうかッ!!もしかしたらシルバさんの様に長寿の一族なのかとなッ!!」


…な、何ですかそれは…要するに私を、合法ロリババァとでも思ったのですかねッ!!…


『ふっ!!私をあんな下僕と一緒にしないで欲しいのですよ』ぱくぱくぱくぱく

「すまんすまんッ!!体調の程はどうなのじゃ、だいぶ元気には見えるが」

『ん、怪我したとか病気に成ったとかじゃないのでこの通りですよ』ズズーッ はぁッ!!

「そうか、それは良かった…余りディスタを責めないでやってくれ、あれでも仲間想いで良く出来た子なのじゃよ」

『ん、うん。大丈夫ですよ、何も気にしてませんから…本当に何も』

「ほっほっほッ!!それはそれで何だかアレじゃがなッ!!」


…というかほぼ覚えてないので回答に困るのですよ…


『でも下僕が凄い怒ってましたからね。そっちは知りません。私の管轄外なのですよ』

「それは怖いのう…あの腕前にして魔法を使えると言うのだからの。なぁラキュアちゃんよ、お主は戦いの術をもっておるか?」

『ん?戦いの術と言いますと…』

「ディスタから何も聞いておらんか?戦いの為にお主が出来る事じゃ。正直な、ワシはお主達を討伐には出したくないのじゃよ」

『討伐ってウルフの件?』

「そうじゃ、ワシはお主達を良く知らぬ、故に村の問題に関わらせたくないのじゃ。お主達は客人で有り、家族を救った恩人なのだからな…」

『戦えるかも分からない奴らを戦場に立たせたく無い。けど、その術を持つなら行かせても良い。と、そう言う事でしょうか?』

「ホホッ!!実に物分かりの良い子じゃな…その通りじゃ。戦う術を持つのなら、その術をワシに見せて欲しいのじゃよ」

『成る程…見せれば良いのですね?』

「ほほ、まさか此処で魅せる気では無かろうな?魔法なら止めておくれよ?」

『私、魔法についてはチンプンカンプンなのですッ…よっとッ!!』ぴょんッ!!ザサッ!!

「なら安心かの?お主の術、役に立つか図らせて貰うぞッ!!」

『おーらい♪おーらい♪仰せのままにーぃ♪』


タッタッタッタ

『あーあー、とは言ってもこのお庭、暗いですよね?私の事、見えますか?』

「むむ、確かにそうじゃな…では明け方にでも…」

『フッフッフッ!!でもそんな事は問題なーしッ!!ストレージッポーチ!!』シュポンッ!!


グサッグサッグサッグサッグサッ!!

『まぁ、こんな所ですかね…』


カチッカチッ ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「こ、これは魔法か!?」

『ぶぶー残念ッ!!ただの松明でぇすッ。あ、ちょっと多すぎましたね、火は危ないので…』シュポンッ!!


ザバーンッ!!

『消してしまいましょうかッ!!』

「な…」

『あ、水が足にかかってしまいました…』シュポンッ!!


ぬぎぬぎッふきふき

『足をタオルで拭いて…替えの靴を履き直してっとッ!!う~寒いッ!!』

「これは…まさか…」

『どうですか?魔法じゃこんな事できますか?』シュポンッ!!

「そうじゃな…出来っこないのう…そうか、お主は持ち運ぶ術で仲間を支えるのか…見事じゃ…」

『待ってくださいッ!!私も戦うのですよッ!!これはお庭が暗いから明るくしたまでに過ぎませんッ!!』

「な…と言う事はまだ何か他にッ!?」

『当たり前ですッ!!私の術はこの子と戦う事ですからねッ!!』シュポンッ!!


…《ラキュア、何しているぴょこ…ノアールだって寝るのだぴょこよ》…

…え、そうなの?じゃあ爆睡してたら出せないとか?…

…《強制的に起こされるだけぴょこよ…今みたいにね…寝てた方が補給効率がいいぴょこよ》…

…ごめんぴょこちゃんッ!!でも少しだけ付き合ってッ!!…

…《仕方ないぴょこね》…

…ありがとッぴょこちゃん…


ガシャンッ!!ブウゥンッブウゥン!!クルクルッ!!ガシャンッ!!

『何でも斬れる私の相棒、ぴょこちゃんです』

「これはッ!!鎌じゃと!?」

『そしてお次は…ほいッほいッほいッ!!』シュポポポン!!


シャキンッ!!シャキンッ!!シャキンッ!!

「木材に石材…鉄材までたやすく…」

『綺麗に斬れてますでしょ!?』

「はぁ~…こ、腰が抜けるかと思ったわい…容易く大鎌を振り回す幼女がおるとはの…」



…ぴょこちゃん索敵お願いッ!!人でも動物でも良いからッ!!…

…《仕方ないぴょこね、分かる範囲でおしえるぴょこよ》…


『さて次は…庭の池に何か居ますね…亀かな…寒いのに良く生きて行けますね…庭から西側の家に二人程居ますね…あれ、長老さんの家って二階が有るんですね…誰か居ます…この位ですか』

「感知力もあるのかいッ!?これが5歳の娘とは…」

『どうですか長老さん、私の術は満足出来ました?此処では無理ですが、他にも一つ有りますよッ』

「ほほほ…まだ有ると言うのか…これは叶わん。お主の術は十二分じゃよ…これなら誰も非難などせぬ」

『そうでしょうそうでしょうッ!!。はぁ…動いたら何だか眠たくなってきましたよ』

「ホッホッホッ!!丁度良い運動だったようじゃなッ!!なら早くお部屋に戻りなさい」

『う、うんッ!!…あ、そういえば長老さんは何故ここに?』

「ワシか?そうじゃな…少し悩み事をしていたのじゃよ…。だがお主の御かげで大分固まってきたわい」

『私の御かげで?どういう事だろ…』

「ホッホッホッ!!分からなくても良い事なのじゃよッ!!さぁ今日はもうお休み」

『あ、…うんッ!!長老さんお饅頭ありがとうッ!!おやすみなさいッ!!』

「ホッホッ!!おやすみの、ラキュアちゃん…」


テトテトテトテト

『ふあ~あ…早くねよ~っと』ガチャ


ソソーッ…がさごそ…シュル…

「ラキュア様…」

『み、ミルフィちゃんッ!?こ、これはその…』

「ふふふ♪」

『ミルフィちゃん?』

「すみませんラキュア様…余りにも素敵な顔でしたので…元気になられて良かったです」

『ミルフィちゃんッ!!』

「でも夜更かしは駄目ですよ?さぁもう一度一緒に寝ましょう?」


…ぶはーーッ!!ごめんミルフィちゃん…可愛すぎて私の脳内が血しぶきを上げてますッ!!…


『もちろんですよッ!!ミルフィちゃんだーい好きッ!!』ぎゅぅ!!

「ラキュア様…わ、わわ私、幸せですぅぅう…もう無理です…先に寝させてもらいましゅぅ…//」

『私も限界なのですよッ!!…おやすみなさい…ミルフィちゃん』





気絶を含めた幾度と成る眠を経て、ラキュアのこの日は終わりを迎えた。そして翌日、ラキュアは又してもシルバによって起こされていた。





「ラキュア様ッ!!ラキュア様ッ!!」ポンポンッ!!

『んぐぅ…何だ下僕ですか…起こすならミルフィちゃんを通してください…』

「そのミルフィさんが居ないのですッ!!しかも枕元に血痕を残してッ!!」


バササッ!!


――― 『なッ何だってーッ!!』 ―――


ダダダダダダダ!!

ガチャリ

「ラキュア様ッ!!どうかなさいましたかッ!!」

『み、ミルフィちゃん!?こ、この血はッ!?』

「あ、…//…見てしまわれたのですね…今拭く物を用意していた所です…」

「何処か体調でも悪いのですか?何か吐血する様な負担がッ!!」

「あ、いえ…そんな…大した事じゃ無いのですよッ」

『駄目だよおミルフィちゃんッ!!何処か悪いなら隠さないで教えてッ!!』

「どこも悪くは…えっと…その血はただの鼻血でして…興奮しすぎた結果と言いますか…//」

『こ、興奮しすぎた!?』

「私達が眠っている間に何かしていたのですか?」

『え?でもミルフィちゃん私と寝ましたよね…また起きたのですか?』

「はぅー…//言わなくちゃダメですか?」

「駄目ですッ!!」

『そうです駄目ですッ!!』

「うぅ…さ、昨夜のラキュア様のお言葉と、温泉で私を揉みし抱くラキュア様の姿が夢の中で合わさってしまい…激しさが増し耐えきれず起きた時には…」

「噴射していたと…」

「うぅ…」

『み、ミルフィちゃん…』

「だから言いたくなかったのですよ…うぅ……」


…な、何て事だッ…それ程にも私を想ってくれてるなんてッ!!しかし、私はまだ幼女の身ッ!!ミルフィちゃんと結ばれるには早すぎるッ!!…


「ラキュア様…これはフォローをしなくては成りませんよ…」

『分かって居ますよ下僕…私はこの責任取らなくては成りませんね』


「すみません…こんな…はしたない私で…うぅうッ…」

『泣かないで…さぁコッチを向いて?』

「うぅ…ふぇぇ…?」

『ミルフィちゃん、いつか…私と結婚しましょうッ!!』ぎゅぎゅ~!!

「ららららららきゅあしゃまあーーーーぁぁぁあ"ッ!!」ブシャーッ!!


    ――― ドテーンッ!! ―――


「らきゅあしゃま…わたひ…わたひぃぃ!!」ガクッ


 ――― 『み、ミルフィちゃーんッ!!』 ―――


「ラキュア様…それは悪手というモノですよ…そもそも女性同士など…」

『な、何故なのだッ!良いでは無いかッ!!!』

「兎に角軽はずみで、そういう事を言うモノでは無いですよ。これは暫く引きずりますね…違った意味で…。これからしっかり後始末するのですよ…主に鼻血などの…」

「………」すぴーすぴー


ふきふき…ふきふき…

『うぐぐッ…こんな筈ではッ!!だが、ミルフィちゃんの鼻血拭き係…中々悪くないぞよッ!!』キリッ




ラキュアが気絶して一日も経っていない中、ミルフィまでもが失神すると言う、自重を知らない三人の朝がこうして始まった。暫くしてミルフィが起床し、ラキュアの叫び声に長老ワイズが駆け付けて来た。



コンコンッ

「朝から騒がしいが、また何かヤらかしたのか?」


…もう常習犯的な扱いなのですね…否定はしませんが…


ガチャ

『ちょ、長老さんッ!!大丈夫なのですよッ!!もう収まりましたからッ!!』

「そうかの…それと今日ディスタは呼びに来ないので各自で朝食を取りに来るようにの」

『あ、は~い…』

「ワシは先に行っておるからの~冷めない内に支度を済ませる様のじゃよ~」ガチャ

テクテクテクテク…


「ディスタさん来ないのですね…」

「どの面下げて来るのか見物だったのですがね」


…度Sですかアナタは…


『まぁ私は気にしてないので余り厳しく当たらないで下さいね?』

「ですがラキュア様に恥を晒したのは…」

『一々噛みつかれると私が面倒なのですよッ!!良いですねッ!!』

「畏まりました…」

『では特にする事も無いので私達も食べに行きましょうかッ!!』

「はいッ!!ラキュア様ッ!!」「はい。ラキュア様」



ラキュア達は食堂へと足を運んでいると、昨日とは違う騒がしさが廊下を響かせていた。


((「まさか宴で使い切ったのですか!?」))

((「そんな事は無いだろッ!!まだ在庫は十分な筈だッ!!」))

((「そういう事では無いのじゃよ」))


テトテトテトテト

『何だろう…怒鳴り声かな?』

「昨日の騒ぎから余り時間が経って無いですからね…」

「食事の席でそれは嫌ですね…」

『ちょっとタイミング悪かったですかね…』


…うわー…入りづら…


「いつまでも此処に居てもしょうがないですよ…」

「そうですよ、何食わぬ顔で堂々と入るのが一番ですよ。さぁさぁ」


食堂の入口で団子の様に顔を出して覗くラキュア達は、鈴付き暖簾をくぐった。


カラカラッカラカラ

(((「…」))) ササッ!!


…あー止めてその眼差し…苦手なんですよ…


「お主達、今日もコチラに来ると良いぞ」

「行きましょうラキュア様」

『あ、はい…』

テトテトテトテト ザザザッギシッ


コソコソ

「何かあったのですか?」

「ワシ達にも良く分からぬのじゃ」

「まだ先ほど始まったばかりだしの、これから概要が知らされるだろうな」

「ラキュア様、サラダですよ」

『下僕…良く堂々とサラダ取ってこれましたね…』

「私達は今来たのです。知らなくて当然の振る舞いで、問題無いですよ」


…あぁはぁ…肝っ玉が据わってらっしゃる…


「案外早く来たのう、待っててもしょうがないので進めてしまったわい」

「それで何の話でしょうか?」

「これからまた話し直す。食べながらで良いから耳を通しておきなさい」

「だそうです、ラキュア様」

『…』もぐもぐ


「急過ぎて良く聞いて居なかった者も居るだろう、だからもう一度言うぞ。近い内、警備と術を持たない者達を村に置き、食料の調達に向かう。狙いは力の源と成る動物。総出の狩りじゃ」


「長老、今の時期にやる事は…」

「あぁそうだ、貯蔵が切れたので無いなら過ごせる筈だ」

「それにウルフ達の縄張り外での狩りは流石にもう厳しいですよッ?繁殖の時期を過ぎないと私達の狩場が無く成ってしまいます…」

「それは問題無い、ウルフ達が貪る山の奥でするからのッ」


ざわざわ…ざわざわ…


ガタッ!!

「ワイズッ正気かおぬしッ!!このままやり過ごせばよいでは無いかッ!!」

「無理じゃ」

「何故ッ!!蓄えはあるのだろッ!!」

「勿論過ごすだけの蓄えなら有るぞ」

「ならば戦士達を無駄死にさせる様な事はッ!!」

「ワイズ、何を焦っているのだ」


もぐもぐ…カチャ…

「統率を取らないウルフ達が群れを成した。それをお前達は処理出来てないのでしょう?長老が焦るのも無理は無いですよ」

『下僕さん、何故ちゃっかり話しに混じってるのですかね…』

「ラキュア様、この村は今存続の危機なのですよ?」

『まさか…だいぶ活発な村に見えますが…』

「それは食料が有る今だけなのです。村のこの様子ですとウルフ達は群れを成したばかりで、今はまだ行動範囲が狭まっているに過ぎないのです。ですが群れを成すと言う事は、頻繁に繁殖が起こると言う事なのですよ。このまま処理を出来ず、ずるずると季節を過ごせば、ウルフ達は繁殖し続け行動範囲は必然的に広がります。群れを成した事で本来の縄張り意識も無く成り、村の狩場にまで蔓延り獲物は狩り尽くされ、待って居るのは飢えで死ぬかウルフ達に噛み殺されるか。なのですよ」

『えぇ…、この村それ程厳しい状況だったのですか?』


ざわざわ…ざわざわ…


「シルバさんが話した通りじゃ。生憎解決策が無かった。今は無駄な混乱は避けたく黙っていたのじゃよ…」

「寧ろ私は、それを承知でラキュア様が手を差し伸べたのだとばかり思って居ましたよ」


…すみませんね見切り発車でッ!!…でもそれなら、私達に任せちゃえば良いのに…


「今までワシと同じ様に黙っていた者もおる…。だが幸運な事に、此処には腕の立つ森の民シルバさんがおる。無詠唱で魔法を放てるのは村人達の目撃情報で明白。エレメンタラーと言うのも嘘でない事が分かった今、彼女にこの村を託そうとワシは思ったのじゃよ。しかしの、それは少々勝手過ぎでは無いのかと思ったのじゃよ。こんなラキュアちゃんですら討伐に向かうと言ってくれたのに、ワシ等はその小さな背中にも縋ろうとしているのじゃ。そんな事ワシは耐えられん。ワシ等の村はワシ等で守らないでどうする、とな。だからワシは、彼女達と討伐へ向かう戦士達を募り、村の危機を脱する事を決めたのじゃ。先程の調達の話しはその為の前準備の場じゃ」

「フッ…思いきりましたね長老さん。ですが足手まといは要らないですよ。」

「ぐッしかし…」

「狩人としての意地は伝わりました。ですが、私達の邪魔でしかない者を連れて行き、無様に死なれるとラキュア様の迷惑になるのですよ。そうでしょう?ラキュア様」

『…確かにそれは嫌なのです。こんなに良い人達が私の前で噛み殺されるのは見たくないのです…』


ガタガタッ!!

「す、好き勝手言ってるが、可愛いだけのその子も足手まといなのは変わらない筈だッ」

「ナイフを投げ当てる程の筋力すら無かったよねッ!!」

「そもそもラキュアちゃんが行くなら俺達だって村の為に戦っても良い筈だッ!!その為の訓練をしてるんだからなッ!!」

「シルバ様はラキュアちゃんを守りながらウルフ達と戦うって言うのかよッ!!いくらシルバ様でもそれはッ!!」

「これこれ、待つのじゃ…ラキュアちゃんはアレでも…」


ガンッ!!

「碌な狩りすら出来ないガキは黙っていろ…ラキュア様は、お前達全員で繋っても足下に及ばないのですよッ」ギギッ


…何故か下僕が、凄い低い声で怒ってらっしゃいますが、そういう事を此処で言いだすの止めてくれませんかね…


「シルバ様に太刀打ち出来ないのは解りますが…」

「流石にその子は無理が有るってもんですよ…」

「私達をバカにしてる様にしか見えないよ…」

「そうやってラキュア様をバカにしているのはお前達でしょうがッ!!」ギギギギッ!!

「あ~ん」

『あーん…。』もぐもぐ…


ズズズーッコンッ

「その御方は強いですよッ」


(((「じ、地味ッ子ミーミルッ!?」)))


「なんでお前がそんな事言えるんだよッ!!」

「そもそもお前自体何も出来ないのに出しゃばって来るなよッ!!」

「運動音痴なミーミルでもきっと勝てるわよッ!!」

「私は既に負けてますわッ…爺婆様達、私が言う意味…分かりますよね」

「あ~ん」

『あーん…。』もぐもぐ…


ザサッ!!

(((「………ッ!!?」)))


「ワイズッ!!どういう事じゃッ!!本当なのかッ!!」

「聞いておらんぞッ!!」


ざわざわ…ざわざわ…

「なに?どういう事?」

「なんか爺様達の様子おかしいね…」

「ラキュア様ぁ、あ~ん」

『あーん…。』もぐもぐ…


…ミルフィちゃんだけ平常運転なんだけど…御かげで話す暇が無いですよッ!!…


「お前達、勝手に話を進め過ぎなのじゃよ…ラキュアちゃんは強い。これは確かな事じゃ」

「ワイズッ!!」

「おや、ラキュア様の凄さが分かる者がいたのですね」

「術を見せて貰ったからの…ワシが決意したのもラキュアちゃんのそれが有るからじゃよ…」

「そんな小さな子の術をか!?」

「何回も言わせるなよッ」

「ではミーミルが言う事はッ!!」

「ミーミルがそう言うのだから本当なのじゃろ?そうじゃろミーミル」

「はい御祖父様、寝込みでない限り殺せる気がしませんわッ」


――― 『ブフォ――――!!!』 ―――


「ラキュア様!?」

『ゴホッゴホッ!!ゴホッゴホッ!!』

「ラキュア様しっかりッ!!お茶ですよッ!!」ポンポンポンポンッ!!

『んぐッ!!んぐッ!ごっくんッ!!!』


…こ、この変態娘ッ何をいきなりッ!!今ので死ぬ所でしたよッ!!と言うか何なのこの娘は…


「もしかして今、チャンスだったのかしら…」

「貴様…」ギリッ

「ミ、ミーミルちゃん何を言って…」

「あれは本当にミーミルか!?」」

「ミーミル…」

「冗談ですわ御祖父様。私の恩人ですもの…」

「ラキュア様…御口の周りがまだ汚れていますよ」ふきふき

『ん…んん…』

「ねぇシルバさん。私でも討伐参戦駄目でしょうか?」

「フッ…ラキュア様に聞いて下さい」


(((「なッ!!」)))


『えっ…私ぃッ!?』


コソコソ…

「ラキュア様、彼女は強いですよ…足手まといになる事は無いでしょう」ボソッ

『なんでそれを私にッ!!』ボソッ

「性格に癖が有るので、不快ならご自分で決めた方が良いかと思いまして…」ボソ

『な、成る程…でも下僕が太鼓判押すなら連れて行きますよ…』ボソ


「どうでしょうかラキュアさん?」

『…良いですよ…その変わり変な事しないで下さいねッ…怖いので』

「有り難う御座いますッ」ニコ


ダンッ!!

「待て待てッ!!どうなってやがるッ!!ミーミルはまだ碌に狩りすらして無いだろうにッ!!」

「分かっとる分かっとる。ボッスが言いたい事も他の者が言いたい事もな。こればっかりは説明しても伝わらんかなのッ」

「伝わらないって、それこそ伝わらいのですがッ!!」

「そうは言われてもな、ミーミルは実は強くて実力を隠していた何て言ってもお前達は信じないじゃろうに…」


(((「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」)))


「嘘よッ!!あんなにドジッ子で可愛いミーミルがッ!!」

「全く信じられるかよッ!!俺なんかいつもミーミルに自慢してたぞッ!!」

「そ、それだと…なかなか覚えないミーミルに一生懸命教えて居た俺達は一体…」

「まぁそれが普通の反応じゃろうな。ほれ、誰も信じなかったじゃろ?だから言ったのじゃよ」

「それが本当だとしても隠す必要なんて有ったのかよッ!!」

「お前達の代で一番村の長に近いのは誰だ?」

「そりゃぁディスタに決まってんだろ…」

「じゃあもしディスタより遥かに強い奴が居たらどうじゃ」

「そりゃぁ……」


(((「 あっ………!!! 」)))


「そういう事じゃよ。ミーミルは長をディスタに譲りたいのじゃよ」

「ミーミル…おまえ…」

「くそ…ミーミル…今まですまなかった…俺達の王を気遣ってくれていたなんて…」

「ミーミルちゃん…」

「違いますよ御祖父様。私は弱い自分を演じて、ディスタくんに守ってほしかったのですよ?たくさんアレコレ教えて貰って、たくさん一緒に過ごして、幼馴染の枠を超えて愛を育み…子供を作って二人で育てたいだけなのですよォォオオオ!!」


「な、な、な、なんじゃってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


(((「………………」)))


「ほ…ほほほほッ…!!こりゃ心臓が飛び出るかと思ったわいぃぃ!!」ぜぇ…ぜぇ…


…な、何このクソ展開…こんなの驚かない人居ないですよ…


「いやぁ…ディスタが居なくて本当に良かったな…」

「こんなのアイツが聞いて居たらと思うと…」

「ディスタの父親としては複雑な気持ちですね…まさかこんな所で愛の言葉が飛び出るとは…」

「それは私もですよあなた…まさかミーミルちゃんがこんな…でも、それはそれで素晴らしいわねッ!!孫を拝むのも時間の問題かしら♪」

「義母様…公認って事かしら…また一歩、私の夢に近付けたわ…ウフフフ…貴方達全員、これをディスタくんに話したら、私の未来を壊した罪として断罪しますからね…フフフ、フフフフフッ!!」

「み、ミーミルちゃん…」

「何て事だ…俺達は全員、あの…地味ッ子ミーミルに心臓を握られてしまったと言うのか…」

『あぁ、私達この村の住民じゃ無くて良かったです…』

「言っておきますが、あなた達も含まれていますからね…。それであなた達にヤり返されたとしても、地獄の底で呪い続けてあげますよ…フフフ、フフフフフッ!!」


…この変態娘が風呂場で壁に張り付いていた理由がやっとわかりましたよ…でもこれじゃ、変態どころかヤンデレ娘じゃないですかッ!!…


「その辺にしておきなさいミーミル。皆、お前の凶変ぶりに顔が引きつっておるぞ…。さて、ミーミルが行くと言うのであれば、ワシも当然行かせて貰うぞ」

「勿論良いですよ」

『い、良いの!?長老だよ?長だよ?何かあったら大変ですよッ!!』

「ラキュア様、彼は現役の狩人です。程度が低ければ無理にでも引退しているのですよ。信じてあげて下さい」

『むむむぅ…分かりましたよ…そこまで言うのなら…』

「しかし困ったのう…これではシルバさんの選別を通過しないと行かせて貰えない言う事になってしまった訳じゃが…」

「ワシ達は支え合って生きて来た、狩を補助する者も必要であろうッ!!」

「でしたら俺がッ!!視野のを確保をッ!!」「なら私が持ち運びをッ!!」「なら私が武器の整備をッ!!」「なら俺は調理をッ!!」」

「なら俺はシルバ様の下着の洗濯を」「おいズルいぞッ!!なら俺はシルバ様の体拭き係をッ!!」「なら俺がシルバ様の着付け係だッ!!」


…成人組からは下僕が人気なんだね…と言うか…


『それ、途中から明らかに可笑しいですよね?』

「いらん、そのすべてがラキュア様御一人でまに合っています」

『いや、下僕の着付け云々なんかはしないからねッ!?私がやるとしたらミルフィちゃんのを…はぁ…はぁ…』

「ら、ラキュアさまぁ…//」


((( 「な、なんだとッ!?」 )))


…村人達が驚くのは分かるけど…と言うか驚く所が可笑しいような…しかもそれに下僕が混じってる件…下僕の侍女になった覚えは無いのですよ…というかツッコミがもう面倒なのですよッ!!…


「無理に募らせる必要は無用、私達が求めるのは足手まといにならない戦える者なのですよ。元々3人で行く予定でしたのでね」

「そ、そんな…いくら何でも不可能だ…こんな小さな幼女が、狩人として何でも出来る者だなんて…」

「せめて、納得の行くモノを見せて貰えねば…」

「だそうですよラキュア様…」


…はぁぁ…やっぱりこうなるのですね…ここまで長引くなら初めからこうした方がいい気がしてきましたよ…



『面倒なので一度しかしませんよ…。ストレージッポーチッ…』シュポンッ!!

「何か出て来たぞッ!?」

「黙って見てなさい」


シュポポポンッ!!ドスススーンッ!!

『これで満足ですか…それではしまいますね…』


(((「ちょ、ちょちょちょちょっと待ったぁぁぁぁぁー!!」)))


『何ですか…まだ信じ足りないと言うのですか?』

「こ、この積み重なったデカい箱はなんだッ!!」

『何って言われましても、私が旅にでる際に纏めた日用品の一部ですよ…』

「ら、ラキュア様…これで一部なんですかッ!?流石、私のラキュア様です」

『下僕の物になった覚えが無いのですがね…』シュポポポンッ!!

「ワシも既に見せて貰ったとは言え、此処まで入るとは…それも一部と…。さぁお前達、もうよかろう…ラキュアちゃんの規格外差は伝わったろ」

「あんな小さな子供が…収納鞄を持ち歩いてるなんて…」

「くそう…俺の日々の努力が…欲しい…何としても欲しい…うあぁぁぁぁ…」

「あんな貴重品を堂々と…無防備が過ぎると思うのだが…」

「お前達、馬鹿な真似したら私が許さないですからね」

『そもそも盗ませませんよ…そんな人が居るとは思いたくないですがね』シュポン


(((「……………。」)))


「ハハハ…なんてことだ…」

「俺はきっと夢でも見ているのだろうな…」

「はぁ…ちょっと顔洗ってくるか…」

「さぁ、もう良いだろお前達。シルバさんよ、選抜の件じゃが、ワシに任せてくれぬか…。ワシが選んだ者から絞り抜き、その上でどうするか決めて頂くだけでも良い」

「ふむ、成る程。手間が省けるかもしれませんしね。ですが、遠距離2名と近接3名の5名まです。これはあなた達二人も含まれていますよ。最悪あなた達だけで対処できるメンバーを決めて来て下さいね」

「それでよい…。ワシ達はこの後大部屋へと行くので、シルバさん達は部屋へと戻って頂いて構わない。昼まで使いを寄こす。今から呼ばれた者とミーミル以外の村人達は戻って各自作業に取り掛かる様に」


ざわざわ…ざわざわ…


『これ、戻って良いのですよね?』

「ラキュア様のお食事がもう宜しいのでしたら…」

『ならもどろ?私、何だか疲れましたよ…』

「そうですね…それではお昼までゆっくりしてましょうか」

ガタガタッスタッ!!



気まずい雰囲気から始まり、色々と衝撃を生んだ朝食の話し合いが終わり、ラキュア達は部屋へと戻って行った。

しかし、一部を除く長老達の話し合いはまだまだこれからで有った。


テトテトテトテト…ガチャ…


「ラキュアちゃん…松明を忘れていきおったわい…まぁ燃え移る物も無いしこのままでも良いがの…」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「行ったぞ、ミーミル。もう出て来ても良いぞ」


ガラガラッ!!ササッ!!スタッ!!

「ホッホッホッ!!居場所がバレておったなッ!!二階など無いと言うのにのうッ!!お前の言う通りとんでもないのうッ!!」

「御祖父様…」

「お前はラキュアちゃんの最後の術を間近でみたのであろう?どうじゃ、彼女に一泡ふかせそうか?ヤりたくて仕方ないのじゃろ?」

「アイツはディスタくんを陥れた…絶対許さない…」ギギギッ

「ホッホッホッ!!だがアレじゃ闇討ちも出来そうもないのうッ!!」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「…」

「まぁそんな顔をするなッ。これはお前にとって、とても良かった事だと思うのじゃよ」

「これの何処が…私のディスタくんは、今でも牢に…」

「理由はどうであれ、壊したケジメを取る必要があるのじゃよ…ディスタなら明日にでも出してやるわい…」

「…」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「村の者達はな、ジョイスやディスタを救ったのはエレメンタラーのシルバだと思っておる。無論ワシもそうだとな」

「…」

「しかしの、彼女はゲートとやらで魔力を使い切り、村に来た時はヘトヘトだとジョイスは言っておったのじゃよ」

「それが何か…」

「わからんか…」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「魔力は無し、狩り具も無しでウルフの群れを撃退出来たと思うか?では誰が大きな音を鳴り響かせたと思う?」

「何が言いたいのですか御祖父様…」

「ディスタを救ったのは、ラキュアちゃんだと言うことじゃよ」

「そんな…こと…ッ!!」

「見て来たことじゃない。だがの、もし彼女がディスタを救っていたら?幼馴染を救った恩人に、牙を向け続けるのは聊かどうかとワシは思うのう」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「私の…ディスタくんの…恩人…」ボソ

「どう解釈するかはお前次第だがの」

「…」

「さぁ、闇討ちなんか考えて無いで今日はもう帰れ…お前の家はジョイスの家の隣であろうに…それともワシの家にまた住むか?」

「…」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「御祖父様、私…帰ります…」

「そうか…気を付けるのじゃよ…牢には拠るなよ…騒ぎになったら軟禁期間伸ばすからの…」

「はい…」ササッ

「まったく…ワシの孫はどうしてこう加減が分からないのかのう…誰に似たんだかの…」


ボボボボッ!! ボボボボッ!!

「さて、ワシも寝るかの…」ササッ


テトテトテトテト…ガチャ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ