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51話:働かぬ者入るべからず


シルバに多少の変化は有ったが、それ以外は何事も無くその日は終わり翌日を迎えた。昨日と同じ様に早朝の鐘が鳴り、ラキュア達の一日が始まった。


ゴーン!!ゴーン!!


「ラキュア様、朝で御座いますよ」

『ミ、ミルフィちゃん…んッ?』ボインッ!!

「ラキュアしゃま…むにゃむにゃ…」


『……えッ!!?』


「ラキュア様はまだ眠いのですね。幸いミルフィさんは寝ているのでこのまま私の膝で…」


…な、何してんのコイツ…なんで私、膝枕されてる訳…それに…


『朝からこんなモノ見せつけられて寝て居られますか~~~!!』むぎゅ~!!

「あぁ…ラキュア様ぁ~…//」

『…』イラッ


シルバによって膝枕されていたラキュアは、顔の真上に突き出された二つの谷を、両手で掴み上げ起き上がった。


『毎回最後まで寝てる下僕が、何故いち早く起きてるんですかね…。この状況と言い不思議でしょうが無いですよ…』

「あぁ、私が今日起きているのは昨日、夕方に目を覚ました為、寝付けなかっただけですが?」


…何故かムカ付きますが、確かに納得の行く答えですね…


『分かりましたよ…もう考えるのが面倒に成ってきました…早くミルフィちゃん起こしてあげて下さい…』

「分かりましたラキュア様。ミルフィさん起きて下さい」ゆさゆさ

「むにゃ…果物が…二つ…」


…うん、ミルフィちゃんそれ違うよ…でも、いっその事もぎ取ってくれると嬉しいかな…


ミルフィも起床し着替えが終わる頃には、ディスタが食事の為に部屋の前まで呼びに来ていた。


「おーいまだなのか~ッ!!」

『さっきからうるさいですねッ!!レディーには準備が有るのですよ!!』

「お前みたいなチンチクリンに準備する事なんて無いだろ?オイラは既にお腹すいてるんだぞ」

「すみませんラキュア様…」

『良いのですよ!!ミルフィちゃんは私の着付けを優先してくれたのですからッ!!』

「すみませんラキュア様…胸が…」

『今日は随分と胸推しなんですね…絶対に許しません…早くしてください…』イラ


…ムカ―!!確かに、最初に支度終わったの私だけどさー!!はぁ…なんだか朝から気分が悪いのです…

…特にコイツとアイツのせいで…


「おーいまだかー」

『…』イラ


その後、ラキュア達はディスタと共に食卓の席に付き朝食を取り始めた。


ガチャンガチャンッ!!カッカッカッカッ!!グビッグビッドンッ!!

「これこれディスタ、もっと落ち着いて食べなさいな」

「だって、くぁwせdrftgyふじこlp;」

『なんでコイツと一緒なんですかね…』

「くぁwせdrftgy…だからなッ」

『何言ってるか分からないですよ…食べるか話すかどっちかにして下さい…』

「ラキュア様、御口が止まってますよ?」

「ラキュア様、はいあ~んッ!!」

『あ~~……んッって下僕かぃッ!!』

「どうですか?美味しいですか?」

『…そりゃ美味しいですよ…ミルフィちゃんならもっと美味しかったのに…』


…なんなのコイツら!!本当にめんどくさいッ!!…


「おいディスタッ!!お前まだ食べてたのかよッ!!」

「しかも美女達とだと…!?」

「仕方無いだろ~オイラは勤めが有るんだぞ!!それに、お前らはもう居ないし、他に席が無かったのだぞ」

「あるだろー!!アソコとかアソコとかッ!!」

「そこ女子しか居ないのだぞッ!!」

「とか言いながら美女席には居座ってる癖になッ!!」

「ッはッ!!ここにはジジ様ババ様も居る席なんだぞッ!!バカな事いうなッ!!」

「あーはいはい分かった分かったッ。それで今日は来るんだろ?」

「行くに決まってるぞッ」

「お、なら先に待ってるぜッ!!それじゃ~コイツ後でお借りしま~すッ!!」フリフリ

「あ、あはは……」フリフリ


タッタッタッタ

「お、おいビーク!!お前だけミルフィちゃんに声かけるとかずりーぞッ!!」

「うるせー黙れ!!こういうのはやったもん勝ちなんだよッ!!」

「寧ろ俺は声を掛けれた事に尊敬の意を感じたぜッ!!」

「っへッ!!」


『な、何なのアイツら…』

「まぁチンチクリンは知らないだろうが、オイラ達の中でミルフィさんブームが起きてるんだぞ」

「ホッホッホッ!!若いのうッ!!」

「ふぇぇぇ…」

『何そのブーム…意味わかりませんよ…』

「私は今、空前のラキュア様ブームで御座います」

『あーはいはい…』


…コイツに一体何が有った…私が気絶させネジが一本外れたとでも?…今更考えてもしかないですね…


「客人達よ、体の調子はどうじゃ?ゆっくり休めておるかの?」

「はいッ!!おかげ様で!!」

「魔力も大分戻って来ました。きっと食べ物の御かげでも有ると思います」

「うむ、そうかそうかッ!!もし暇であるなら敷地内で訓練している村人達の様子でも見てくると良い」

「そうじゃな、大した興がないからのう…少しは暇つぶしに成るかもの」

『んーなるほど…。二人とも本当に大丈夫?』

「もちろんですッ!!」

「もちろん私もです、それに稽古をつけるとか言う話しも有りますからね。普段何をしているのか気になります」

『やる気満々ですね…』

「ラキュア様の命ですから」


…いやぁ何かが可笑しい、あの時は嫌々仕方ないと言った感じだったよね…まぁいいか…


「場所は分かるかい?」

「いえ…」

「じゃろうな、と言っても空を見上げれば二つの煙突から煙が見えとるから、それを頼りに進んで行けば着くじゃろう」

「煙突の煙ですね?有り難う御座いますッ!!」

『なら今すぐ行きましょうかッ!!』

「はいッ!!」「行きましょう」




ラキュア達は朝食を終わらせ後、予定通りディスタ達の訓練風景を眺めに、立ち昇る煙を追い空を見上げながら向かった。その先では数軒の大きな建物と人がうごめく広い敷地が見えて来た。



『わぁ~~…本当にやってますね…』

「思ったより人が居るんですね」

「み、見て下さいラキュア様ッ!!女の子も武器を持って戦ってますよ!?」

『ミルフィちゃんと同じ位の背丈ですね。男の子と打ち合いしてますよ』


「てぇぇぇぇいッ!!」

「っふッ!!」サッサっ

「ふぁぁぁッ!?」

「詰めろ詰めろッ!!かわされて背を向けたままでどうする!!悠長に待ってくれるほど獣共は甘く無いぞッ!!」

「は、はいッ!!」

「お前も避けるのは良いが、攻撃をせんかいッ!!何処に隙が有るか教えるのもお前の仕事だぞ!!」

「は…はい…」


『男の子が凄くやり辛そうですね…』

「やはり気を使ってしまうのでしょうね…」

「そんな感情は戦闘では無意味だと言うのに、まだまだ甘ちゃんの様ですね」

『ん…うん…』


…凄い上からですね…


「ラキュア様ッ!!アレッ!!」

『ん?』


ピシュッ!!シュトンッ!! ピシュッ!!シュトンッ!!

「違うぞ、もっと肩上げて力いっぱい弾くんだぞッ!!」シュトンッ!!シュトンッ!!

「こ、こうですか?…///」ピシュッ!!

「まだ曲がっているぞッ!!腕力が足りないのかもだぞ…しっかり筋肉をつけるのだぞ」

「は、はい…///」


『生意気なガキが居ますね』

「ほお、あのガキ思ったより筋が良いじゃないですか」

「シルバさん良く分かりますね…それにしてもディスタさんは教える立場なのですね」

『はぁ…このまま会わないでおきたいですね…』

「何故ですか?」

『えぇ…だってアレに教わるの嫌じゃないですか…』

「ふふふ…その時は私がラキュア様に色々と森の戦い方を…」

『あ、遠慮しておきます』

「ラキュア様…そう言わずに私達は何か身につけておいた方が…」


そうこう言いながら、煙の立つ建物付近で高みの見物をしていると、コチラに向かって歩いて来る1組の男グループが手を振りながら歩いて来た。


「うはぁ!?誰かと思えば3人美女じゃないか!?」

「うお!!マジカよッ!!つうかマジで美人だなッ!!」

「ほら、俺の言ったとおりだろ!!」フリフリ

「やべぇ…こりゃ近づき難いのも分かるわ…正直俺には眩しいぞ」


『なんか見覚えのある方が居ますね…』

「ラキュア様、先ほど食卓の席で話しかけて来た人ですよ…」

『あぁ、居ましたねぇ…何でしたっけ…』


「おいおい酷いぜ~俺はビークさ、えっと…」

「ラキュアちゃん!!」

「そうそうラキュアちゃん!!」


…人の事言えないのですよ…


「そして我らが女神ッミルフィちゃんッ!!」


(((「いえ~~いッ!!!」)))


「私、この方達苦手かも知れません…」

『安心してミルフィちゃん、私もだから…。寧ろ苦手でいてくれてホットしましたよ』

「大変ですラキュア様、人が…」

『人…?』


「ねぇあれ見て!!」

「きゃー!!噂の美女三人組!?」

「凛々しくて美しい、そして魅惑のラインを兼ね備えたシルバ様ッ!!」

「おいあれ見ろよ!!アイツら抜け駆けして俺達の女神様を独占してるぞ!!」

「くぅ~!!こうはしてらんねぇぜ!!お前らも急げ~!!」


(((「お~ッ!!」)))


「な、なな!?何が起きてるんだぞ!?皆まだ訓練の時間なのだぞぉ!」

「ディスタ君、あれ…」

「なんでアイツら此処に…」


ビークの登場により周囲が騒がしく成り、訓練中の若い村人達がこぞって駆け付けて来た。


「ら、ラキュア様…」

『うぐぐ……』


…知らない内に囲まれていますよ…


更に、少し遅れて大声と共に駆け付ける者がいた。


「おーいっ!!お前ら何をしているのだぞッ!!まだ訓練の途中なのだぞッ!!」


『こ、この生意気な声はッ!!』

「これで私達助かるかも知れませんねッ!!」

「どうだろうか…」


「遅いじゃないかディスタッ!!女神様が我らの努力を称えに来てくれたぞッ!!」

「そんな訳無いのだぞッ!!バカな事言ってないで早く戻るのだぞッ!!」

「と言いつつディスタも来てるじゃないかッ!!俺達を追い払って、また独り占めする気なのは見え見えなんだよッ!!」


(((「そーだそーだ!!」)))


「お、オイラはお前達がサボってるから注意しに!!」

「その手には乗らないぞー!!」


(((「そーだそーだ!!」)))


「ぐぬぬぬっ!!」


「ぜ、全然役に立ちませんね…」

『全くですよッ!!』

「この数ですからね…」


すると今度は、煙の立つ建物から数人の老人達が気持ち良さそうな顔で出て来た。


「ふぅ、さっぱりじゃわいッ!!」

「やはりこうで無ければ一日は始まらんのう…」しみじみ

「おやおや、何だか騒がしいの」

「ん?仕方ない、俺が様子を見てくるか」


タッタッタッタ

「おい。お前達、こんな場所で何してやがるんだ…訓練はどうした?」

「ゲッ!?親父ッ!!」

「おいビーク、ゲッ!?とは何だ、ゲッ!?とはッ!!訓練サボって湯船に浸かろうってか?あ?」

「お、親父だってこんな早くから何してんだよッ!!警備はどうしたんだよッ!!」

「あぁ?俺は良いんだよッ!!長老のお目付け役で呼ばれたんだからよッ!!代わりの警備はバルッシュのボウズに任せてあるしなッ」


トットットット

「ホッホッホッ!!すまんのう、ちょっと借りておるぞ」

「ちょ、長老ッ!!」

「ほれどうしたッ!!先ほど見たいに騒いで居ても良いのじゃぞ?訓練が済んでおるのならなッ」


(((「…」)))


「も、戻るぜ…」


(((「お、おー…」)))


ラキュア達を囲む若い村人達の前に長老が現れた事で、あっけ無くその場は収り、彼等はトボトボと沈んだ様に訓練場へと戻って行った。それにより、その中心に居たラキュア達の姿が長老達の前に現われた。


「なんだ、騒ぎの原因はお前達か…」

『あ、その…』

「すみません…こんなつもりじゃ…」

「…」


「じゃ、じゃあ俺もこれでッ!!!またね~ミルフィちゃんッ!!」

「おいビークッ…お前は後で俺の部屋に来い。良いな?」

「クッソ―ッ!!!!!!ついてねーぜ!!!!」タッタッタッタッ

「ちょ、長老…オイラッ!!!」

「ホッホッホッ!!分かって居る」

「ディスタ…お前は腕が立つが、まだまだ器が足りてねー様だな。皆期待してるんだからよ」

「はい…それではオイラも持ち場へと…」

「まぁ待て、折角客人がいるのだ。客人の使いとして一緒に付いて行ってやりなさい」

「え…でも、それだと今日の湯印を貰えないのだぞ…」

「湯印ならワシが今直ぐ押してやろう…ほれ、紙を出しなされ」

「えっ…!?あ、はいッ!!」ぽんッ!!

「さぁ、もう良いじゃろ?客人達を任せたぞ。さて、ワシ等は次へ行くぞ~」

「ちょ、長老ッ!!段差、気を付けて下させー」

「ソコまでボケとらんわッ」


ソコに居ると言う理由だけで、ラキュア達にディスタが同行する事となった。


「そういう訳だからオイラも付いて行くのだぞ」

『別に来なくても良いですよ?』

「そういう訳にも行かないのだぞッ!!今日の分を貰ってしまったのだから、しっかり勤めを果たさなければイケないのだぞッ!!」

『ふ~ん…』

「そう言えば長老さんに何か渡してましたよね?」

「湯印を押して貰ったのだぞッ」

「ゆいん?」

『そう、湯印だぞッ』バサ


ディスタは先ほど長老に手渡した紙を懐から取り出し、ラキュア達に見せた。


『何ですかこれは?スタンプカードかな?』

「それが何だか知ら無いが、これが無いと今日のお風呂に入れないのだぞッ」


(((「『 お、お風呂ッ!!? 』」)))


「お前達、お風呂も知らないのか?」

『いや、お風呂は知ってますよッ!!そうじゃなくてッ!!』

「この寒い土地で、暖かい御水に漬かれるのですか!?」

「ん、直ぐそこで入れるのだぞ。此処には温泉が湧いて居るからな」


(((「『 温ッ泉ッ!! 』」)))


『ちょ、ちょっとーッ!!それ早く言って下さいよッ!!私達も入りたかったのにッ!!』

「それは無理なのだぞ…」

『な、何でよぉ…』

「働かぬ者食うべからず、と同じなのだぞッ」

「…えっ!?」

「温泉はこの土地にとって神聖で有り、娯楽の一つでも有るのだぞ。その日、何も成さなかった若者は、入っては成らない掟なのだぞ。食事と同様、食っちゃねのグウタラはこの村では生きていけないのだぞ。男も女も大人も子供も何かをせねば駄目なのだぞ」ビシッ!!


ディスタは自身気に人差し指を立てながら、目を瞑り語っていた。


「と言う事は…?」

『温泉に…入りたいのなら…』

「何かをしなければ成らないと…!?」


「そういう事だぞ、そうして湯印を貰う事でお風呂に入れるのだぞ。だから、入りたいのなら一日中ゴロゴロしてないで何かするのが賢明なのだぞ」


…うーー!!まさかニートお断り施設がここに有ったなんて…絶対に働きたくないで御座る…


「何か役に立つ様な事は無いのでしょうか…正直、私が出来そうな仕事など…」


…いや、ミルフィちゃんはお掃除とか完璧に出来ますよね…って、あれ?私ヤバくない?この村で出来る事が思い浮かばないんだけど…


「仕事で有る必要は無いのだぞ、その日頑張れば良いのだぞ」

「頑張れば?と言いますと?」

「直ぐそこで訓練に励んでいる村人達が居るぞ。彼等は村の為に己を鍛え、お風呂に入れるのだぞッ」


(((『 …ッ!!! 』)))


「ならば私達も訓練に参加すれば良いと言う訳ですね?」

「その通りだぞッ」ビシッ!!

「ラキュア様ッ!!これはやるしか有りませんッ!!」

『ぐ…ぐぬぬッ…やもえないか…仕方ないッ!!ミルフィちゃんッ!!そして下僕よッ!!我等は温泉の為に、この身を捧げ、訓練に励もうではないかッ!!』


(((「『おーーーッ!!』」)))


こうしてラキュア達は温泉に浸かると言う目的の為に、訓練に参加する事となった。


「若いって良いの~…」

「長老…良いのかい?何も言わなくて」

「ん?何をじゃ」

「客人に掟は無用な事ですよ」

「ほーっほっほっほッ!!おおそうかッ!!すっかり忘れておったわいッ!!」

「な、ならどうしますか?俺が今直ぐにでも伝えに行きましょうか」

「この爺がそんな事忘れる訳がなかろうて…さては楽しんでおるな…」

「なあに、このまま行けば彼女達の実力が見れると言うモノよ…」

「やはりそれが狙いですか…」

「さて、数少ない余興じゃ。ここでお茶を楽しみながら見物と行こうじゃないかッ」

「意地汚い爺じゃな~」

「ホーっホッホッホッ!!饅頭追加じゃ~ッ!!」


温泉施設からでた長老達は、その直ぐ隣の食事処でラキュア達を見世物に菓子を楽しんで居たので有った。



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