49話:宴の後の
後書きストーリーは今回は無しで…後から付け足す可能性があります。
宴が終わる頃、大事な話も終わった事で珍しい客人(ラキュア達)を目当てに村の子供達が殺到し始めた。
揉みくちゃに成らない為の配慮を取り、一足先に長老とジョイスに連れられて別室へと向かったラキュア達。そしてディスタはと言うと…
「ちょ、ちょっと待つのだぞ!!あんまり押すとッ…!!」
「だったらお前が退けば良いだろ!!ディスタ!!」
(((「そーだそーだ!!」)))
「大体ディスタだけ可愛い子ちゃん達とイチャイチャしてるなんてズルいぞ!?」
(((「そーだそーだ!!」)))
「ディスタ君イチャイチャしてたの!?」
「不潔~!!」
「はッ!?イチャイチャ何かして無いぞ!!どうしてそうなるんだよ!!」
「だって一緒に夜を過ごしたんでしょ?」
「俺も父さんに聞いたぜ、美人と川の字で寝てたってな!!」
「私も~!!」
((「誰だよッ!!そんな出鱈目を吹き込んだ人は!!大体オイラ達は助けられたんだぞ!!何でそんな方向へと話が向かって行くんだよ!!しかも野営で!!」))
「だからこそ心にキュン!!って来るものよね!!」
「そして助けられた乙女は王子様を想いながら雪山の夜を…」
「ロマンティックですわ!!」
「でもディスタは男だよ?その設定だとディスタが乙女だね」
「何だかダサいなディスタ…」
((「うるせーお前ら黙れ!!」))
「あ~あ~、私達もあの子達とお話ししたかったですわ」
「ねー!!遠くから見ても可愛かったものね!!」
「どこが可愛いんだよ!!あのチンチクリン!!」
「ちんちくりん?」
「ディスタお前、もしかしてあの小さい子が目当てなのか?」
「え、嘘!?」「「おいマジカよ…」「幼女趣味!?」「ディスタ君…」
「な、!!な訳ないだろ!!」
「その反応…凄く怪しいよな!!まぁ俺達の目的は勿論…」
(((「ミルフィちゃんッ!!」)))
「だよな~!!お前ら分かってるぅ!!」
「フッフッフ!!だから安心しろディスタ、お前のお気に入りは仕方ないが譲ってやるさ」
((「お前らなッ!!」))
「と言う訳だ、さぁ通して貰おう」
「だから駄目だって言ってるだろ!!オイラは長老に任せられたんだぞ!!お前らは大人しく飯でも食ってろって!!」
「そう言ってお前だけ抜け駆けして、またイチャイチャしに行くんだろ!!」
(((「そうはさせねーぜ!!」)))
「え、ちょ!!」
「うおーーーー!!」「おりゃーーー!!」「私達も行くわよ~~~!!」
ドタドタドタドタ!!
「ディスタ君を…幼女なんかに渡さないわッ…」ボソ
(((「っえ!?」))) チラッ
「きっと聞き間違えだ」
「だ、だよな、よし気を取り直して!!」
(((「うお~~~!!」)))
ドタドタ!!ドテン!!ドテン!!ズササー!!ぽこぽこぱこぱこ!!
ディスタは弁慶の如く、押し寄せる子供達の侵入を必死に防いでいたので有った。
そしてその頃のラキュア達は、ディスタの頑張りにより波(子供達)に呑まれる事無く、ジョイスに案内され部屋の前へと到着していた。
『何だか後ろが騒がしかったですが…大丈夫ですか?』
「ディスタ君の声が響いて居た気がしました…」
「物音も聞こえて居たな」
「ハハハ…まぁ大丈夫でしょう…あの子はああ見えて結構タフですからね…」
『タフって…』
「子供達は元気だからのう、あの子はそれを纏めるのに適しているのじゃよ」
「タフだからですか…?」
「そうじゃな、タフだからのう」
…なるほど、このタフと言う言葉と後ろでの騒ぎから何を連想されるかは想像出来ました…
…がんばれディスタ君よ、私達の礎となれ…
「さて、君達が今日から寝泊まりする部屋なんだが…」ガチャン
『こほっこほっ!!』
「すまないね、やはり埃が被っているか…」
「物置…倉庫でしょうか?」
「まぁ…今はそんな所ですかね…」
「本当はもっと広い部屋へと案内したかったのだがな、この村は家と家が繋がって居る故にプライベート空間がそれ程整っておらん。皆が家族見たいなものだからの」
…村全体が家族ですか…中々良い響きです…
「ですので君達を見物する為に、ゾロゾロと集まり出すので長老の家へとお招きしました。寝顔を見られたくないでしょ?特別な用が無い限り立ち寄る事を禁止しておりますのでね。と言ってもこの様な部屋になってしまいましたが…」
「他にも部屋は有った様に見えましたが?」
「そうじゃな、儀式などの行事で使う部屋などもあるからな。寝室としては使えんのだよ。申し訳ないがこの埃被った部屋でご勘弁を…」
『だ、大丈夫ですよ!!埃被った部屋なんて慣れてます!!冷たい地べたで寝るより遥かに嬉しいですよ!!』
「そうか、では討伐に向かうまでの間はコチラで寝泊まりしてもらおうかの。ワシの部屋も直ぐそこじゃし用が有れば勝手に入って構わん。体を動かすので有れば庭も好きに使っていいぞ」
「ご配慮助かります。ではラキュア様、一緒に綺麗にいたしましょうか!!」
『ミルフィちゃんと一緒ならなんだってやる気がでるね!!さぁ下僕も手伝うのだよ!!』
「くッ…私が汚れた部屋掃除などするとは…」
『グダグダ言ってないで早く入るのです!!この下僕!!』ドスン!!
「ハハハ…何とも不思議な光景です…それでは私達はこれで…」
「体調が整い、出発の目途が立った時はワシの所に来ると良い。毎日、飯時には使いを向かわせるので、のんびりしといて良いぞ」
「有り難うございます長老さん!!」
『さっさと片受けて休息とりましょ~!!』
(((「『おー!!』」)))
ラキュア達が体調を整える間、長老が住まう家の一室を借り寝泊まりする事となった。
許可が無いと入れない敷地な為、見物人が来る事無く気ままに過ごせるだろうと言う。
借り受けた部屋を綺麗したラキュア達は細かい事は後回しに、倒れる様に布団の上で眠りに付いたのであった。
「長老…あの部屋で良かったのですか?我が家の屋根裏なら…」
「お前の恩人である彼女達をそんな寒そうな場所で寝かすつもりか?それに美女三人もジョイスの家に転がり込んだら村人達が黙っちゃ居ないだろう…終いには女房にドヤされるぞ?ディスタだって落ち着いて寝れるとは思わんしのう」
「そ、それはそうですが…この部屋は長老の…」
「そんな事はどうでも良いのじゃよ」
「で、でしたらあの様に残しておく必要など!!」
「ジョイス…今はそんな事などどうでも良いでは無いか、それより彼女達じゃよ」
「長老…」
「先ほどは突然の来訪であったからのう、もう一度ワシらで集まり詳しく決めて行く事にするぞ。さぁお前さんは先に人を集めておくれ」
「分かりました…それではお先に待っております…」
「うむ」
タッタッタッタ………。
「すまんなジョイス…」
ラキュア達が部屋へと入った後、大部屋にて村の上の者達による話し合いが真夜中に開始された。ジョイス達が置かれた雪山での詳しい状況報告やラキュア達の行動、そしてこれからについての話し合いが…。
ギシッギシッ…ガラガラ…
「…ふむ、若いのが少ないのう」
ざわざわ…
「ちょ、長老ッ!!」
「すまんな、少し考え事をして遅れたわい」
「長老、宴と言う事で酔いに廻った者は呼んでおりません…」
「うむ、それもそうか…さて、何処まで話が済んでおる?」
「長老が知っている範囲で知らない者達へと伝えていた所ですね」
「そうか」
「いや~俺は只の美人さんのお客かと思って居たがな…」
「俺は宴で聞いていたから知っていたが、今一信じられんけどね」
「それは皆の者がそうであろうな」
「実力も定かじゃないのに、群れを成したウルフ達に立ち向かうなんて話しをあの場で決めてしまうなんて…」
「酒が回っていたのも有るし、あの話しは殆どの者が余り信じておらんだろうな。アタシ等ジジババからしたら頭イカれてるとしか思わなかったからのう」
「それに言いだしたのがあの小さな幼女、あの様な可愛らしい幼女をあの場で不快にさせる訳にもイカンかったしな。どうで有れ、あの発言は流し半分で聞き入るのが正解で合って居たさ」
「しかし彼女達はその気満々なのでしょう?止めなくて宜しいのでしょうか?」
「問題は其処だね、普通の客であるなら止めるのですが、そんな客が許可も無くフリズヘイム内に入るれる訳が無い」
「空間移動に失敗してこの地に訪れたと言って居たな…」
「そんなのは英雄や魔王の昔話しじゃ。彼女達がその類だと言うのか?」
「流石にそれは…」
「英雄や魔王の類か…見た所、魔族の子供二人にダークエルフじゃったな…」
「英雄の線は無いですね、しかし…魔王なら…」
「どういう事だ?」
「彼女達を見て無い者もいるからな…その子供の一人だが…」
「だが?」
「美しく捻じれた立派な角が二つ」
「ッ!?」
「間違いなく下級魔族の我等より上位に君する存在じゃよ」
「そしてダークエルフ、聞き間違えでなければエレメンタラーと言って居た筈だ」
「あの美人がエレメンタラーとは魂消たな!!化け物じゃねーか」
「危険すぎませんか?そんな者達が我等の神聖なるフリズヘイムに無断で立ち入り、長老の家に寝泊まりなど…」
「不確かな事ばかりじゃな。ジョイスの人相判断に頼るしかないと言う訳か」
「もっと念入りに探りを入れるべきでは!!」
「あまり警戒されたくは無いのう、逆鱗に触れればそれこそ危険じゃ。さて、どうかねジョイス」
「私は…彼女達は問題ないと思って居ます」
「ふむ、根拠の様な物は何かあるかね?」
「根拠と言うよりは憶測ですが…そうですね、彼女達の不思議な関係性と言うのでしょうか」
「不思議な関係性?」
「はい、ざっくり言うと上下関係が逆様なのですよ」
「すまんジョイス、俺には意味が分からんぞ」
「そのままですよ、ボッスさん。彼女達3人の上下関係を上から表すと順番にこうです。
1.ラキュアさん。2.ミルフィさん。3.シルバさん。です」
「ふむ…」
「はぁ!?信じらんねーんだが?なんでエレメンタラーが一番下に行くんだよ!!と言う事はあれか!!嘘なのかエレメンタラーは!!」
「そこまでは分かりません。が、序列としては合って居る筈です」
「それで?」
「そうですね、理由としては彼女達の呼び名、そして扱い方です。まず一番であるラキュアさんですが、二人からは 様 と慕われています」
「うむ…」
「そしてラキュアさんがシルバさんを呼ぶ際に、下僕と呼ぶ事です。更に彼女への雑な扱いと、その言葉を言われても受け止めるシルバさん。目上でも無い子供に下僕と罵られ刃向かわない大人が居るでしょうか…」
「…俺なら叱りつけるぞ…そんな子供に育てた覚えは無いとな!!」
「自分の子供なら普通はそうでしょうね、しかしそうでは無かった。彼女達の間柄は妙に特殊だと思えました…」
「その特殊な間柄と言うのが上下関係の逆様と言う訳か…何処ぞのお偉いさんの子供か?」
「まぁ要するに一番逆鱗に触れちゃいけ無いのはラキュアと言う子供な訳だな?」
「はい…しかし、だからと言って他の二人を蔑ろにしてもダメです。特にミルフィさん。ラキュアさんが心を許している様な存在だと見受けられます…」
「どの道、彼女達に危害を加える者はそう居ないでしょう。それに村長が黙っちゃ居ないですよ」
「ホッホッ!!」
「実力が不確かでさえ無ければ待遇なんてどうにでも成るんですけどね…」
「私共で聞き出せれば良いのですがね、村の者達が警戒視してるなど客人にしれたら良い気分で過ごせないでしょうしね…」
「最悪敵対も有り得るのう…」
「だったらジョイスの息子にでも頼んでみたらどうだ?確かラキュアちゃんと普通に接していたよな?」
「彼女達の腕前を把握する様に仕向ける訳か…果たして上手くやってくれるかのう…」
「すみませんババ様…出来た息子で無くて…」
「ホッホッホ!!やんちゃだからな!!責めたつもりはないのじゃよ!!だがアタシ等より自然に振る舞えるだろうな」
「皆がそれで良いので有れば…私の息子に」
「皆、異論は無いな?」
(((「…」))) コクリ
長老の言葉に無言で頷く一同。意義を唱える者など居なく、ジョイスの息子であるディスタに彼女達の実力を測る為の口実を決める事になり、この日の集まりが終了した。
翌日、ジョイスは息子のディスタにラキュア達の世話係を託しつつ、実力を探る様に遠回しに伝えてた。
「頼めるかい?」
「と、とうちゃん?なんでそんな役オイラがやらなきゃ行けないんだ!!」
「あの中で彼女達と交流が有るのはディスタ位だからね…他の大人や子供達に頼むは少々心配なのですよ」
「心配って…」
「ほら、昨日はディスタが足止めしてくれたでしょ?またあんな事になっても困るのですよ。その点ディスタなら興味本位で客人に迷惑かけるような事はしないでしょ?」
「うぐぐ…分かったよとうちゃん…オイラがチンチクリンの世話係すれば良いんだろ」
「ありがとうディスタ…それともう一つ有るんですが…」
「ま、まだ有るのかよ!!」
「彼女達がウルフ狩をするのは聞いて居ましたね?」
「オイラも宴に居たからね…一応きいていたぞ」
「でもね、あの一番小さな女の子とかは流石に危険だと思うのですよ。ですから彼女達の様子を見てディスタが少し訓練をつけて揚げられますか?」
「だからなんでオイラが…」
「大人顔負けの狩りが出来る子供はディスタ位なのですよ?ディスタが認めれる程強くないとあの子達を討伐に出したくないのです。ですからディスタが彼女達に手解きして戦えるのかを確認して来て欲しいのです」
「そんなのオイラより強い大人達がやれば良いじゃないか!!」
「子供が大人に負けても、それは当たり前だと思いませんか?でも腕の立つディスタとなら、あの小さな子でも実力の差を感じ退いてくれるかもしれません」
「んぐぐぐッ!!」
「それとも自分より小さな女の子に手ほどきも出来ないヘタレなのですか?」
「と、とうちゃん!!オイラはそんな軟弱な戦士じゃないぞ」
「そうですね、なら…やれますよね?」
「当たり前だぞ!!オイラが生意気なチンチクリンに指導してやるぞ!!」
「そうです、その意気です!!余裕が有れば他の二人にも指導してあげて下さいね!!」
「う、うん任せて!!オイラが狩りの手ほどきをしてあげるぞ!!」
「それでは最初のお仕事です。彼女達を起こし、食事の席へ案内してきなさい。今日はまだ疲労が残っているかもしれないので明日以降から指導してあげて下さいね」
「分かったぞとうちゃん!!さっそく行ってくるぞ!!」
タタタッ!!
「長老様!!失礼いたします!!」ガラガラッ
「おお、ディスタか。そうか、ジョイスは巧くやったのだな…。役割は分かっておるな?」
「え、えっと…世話係と狩りの手ほどきと…」
「手ほどきか…うむ、まぁ良いじゃろう。しっかり勤めを果たすのじゃよ」
「オイラに任せて下さい!!」
「それと余り無礼の無い様にの」
「はいッ!!それでは食事の席へと案内してくるぞ!!」
ジョイスは息子を焚きつける事でやる気を引き出させ、ディスタの一日の習慣に新たな役割が誕生した。しかしそれは、苦悩な日々の始まりでも有った。そんな事など知る由も無いディスタは意気揚々とラキュア達の部屋へと向かった。




